知財に関する仕事の志望動機とは?

知財に関する仕事の志望動機は?

興味があるけれど志望動機がまとまらない、知財に関する仕事の具体的なやりがいがイメージできない、就職・転職するために身につけるべきスキルや知識がわからない、このように考えている方は少なくないと思います。

今回は、そんなみなさんが知財に関する仕事に就くための、志望動機や求められるスキルなど、必要な情報をまとめてみました。

企業の知財部だけでなく、特許事務所や特許庁への就職を想定した情報も盛り込んでいます。

これから知財に関する仕事に就きたい新卒・未経験の方や、知財業界での転職を検討されている方にとって参考となればうれしいです。

知財業界ならではのやりがい・魅力

知財業界への転職を成功させるためにも、まずは「この仕事でしか得られないやりがい・魅力」を押さえましょう。

知財業界は専門性の高い職種ですから、他業種では得られない経験があります。例えば企業の知財部にはこんな魅力があります。

  • 常に新しい物事に触れられる
  • 型に捕われない仕事ができる
  • 「経営」の観点から仕事を進められる
  • 目指せるキャリアが多様

常に新しい物事に触れられる

知財部員は、これまで知られていなかった物や方法などについて、特許や意匠をはじめとした出願を行います。

知財に関する仕事をし続ける限り、新しい物事に触れ続けられることは魅力の一つと言えるでしょう。

研究開発が好きだけど、一つの研究テーマではなく複数の事業に関わりたいという方にも適している職種です。

型に捕われない仕事ができる

知財に関する仕事は、産業財産権に関する法律でルール化されています。

しかし、個性を発揮し豊かな発想で、自らが企業の発明により得られる権利の範囲を考えられる、自由度が高い仕事であるとも言えます。

「経営」の観点から仕事を進められる

特許や意匠をはじめとした知的財産権は、企業の経営を支える要素の一つです。

特許や意匠などを出願し、権利化したあと、どのように活かすかを検討することも知財部の重要な業務になります。

一つの研究開発テーマだけでなく、経営というポイントから仕事を進められることは、知財業界で働く魅力と言えます。

将来経営に本格的に関わるために、日々の業務を通じて経営戦略・知財戦略を学びたいという気持ちは、企業の知財部を志望する理由の一つとなるでしょう。

目指せるキャリアが多様

詳しくは後述しますが、知財に関する仕事はキャリアの幅も広いです。

  • 企業の知財部に就職した後、別企業の知財部や特許事務所などに転職する
  • 経営や研究開発などの異職種に異動・転職する

自身が最も活躍できる場所を見つけるために、知財に関する仕事に就き、各職種の役割を学びたいという気持ちがある方は、キャリアプランの一つとして知財部を検討してみるとよいかもしれません。

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知財部への志望動機【例文】

知財部へのエントリーシート例文を紹介します。

就職を希望されることが多い、理系出身の知財業務未経験者を、応募者として想定しています。

【例1】

私が知財部を志望した理由は、常に新しい物事に触れられるためです。

私はこれまで、大学(企業)にて〇〇に関する研究を行ってきました。その経験において、新しく取得した誰もが知らないデータを教授(上司)に報告し、それをどのように活かすかを検討することが私のやりがいでした。

貴社の知財部では、◇◇や△△といった複数の事業を行っており、特許をはじめとした様々な出願を行っています。貴社に勤め、多くの発明に触れながらそれらの権利化に携わり、第三者による模倣の抑制や貴社の研究開発の継続に貢献することを希望します。

【例2】

私が知財部を志望した理由は、経営の視座からも仕事を進められるためです。

大学(企業)での研究における、科研費(予算)獲得の経験を通し、研究成果が産業においてどのように活かされるかが重要であることを学びました。以来、最終的に収益に繋がるかどうかといった、教授(経営者)目線でも研究に関わることを意識してきました。

経営戦略を検討する際、知財戦略は欠かせない要素の一つであると理解しています。貴社の知財部にて大学(企業)の研究テーマであった〇〇の知識を活かし、専門性の高い出願業務を行うとともに、事業全体に関わることを希望します。

さきほど紹介した知財業界ならではの魅力・やりがいや具体的な経験を盛り込みつつ、経歴をどのように活かせるかをアピールできることが望ましいでしょう。

【パターン別】求められることや、アピールするべきポイント

知財の仕事に就くと言っても、様々なパターンがあります。

ここでは、それぞれのパターンにおける、求められることやアピールすべきポイントをお話します。

  • 企業知財部から別の企業の知財部
  • 企業知財部から特許事務所
  • 企業知財部から特許庁
  • 知財に関する仕事の未経験者
  • 新卒の方

ちなみに、知財HRの求人の多くには独自情報が掲載されています。これから履歴書を書く人はもちろん、面接を控えている人にも役立ちますので、ぜひ求人情報をご確認ください。

別の企業の知財部への就職

別の企業の知財部への転職時には、以下のような点をアピールするとよいでしょう。

  • どのような分野の出願業務に携わっていたか
  • どのように社内の発明を発掘していたか
  • 保有している権利をどのように活かす取り組みをしていたか

企業の知財部特有の仕事として、企業内の発明の発掘があります。

発明の発掘に、研究開発職とのコミュニケーションは欠かせません。

自身がどのように社内の他部署の方と関わり出願のタネを見つけてきたかは、面接時のアピールポイントにもなります。

また、近年IPランドスケープ、コーポレートガバナンスなどの単語を多く見かけるようになりました。

保有している権利の活かし方は、現在どの企業も積極的に検討をしていることでしょう。

事業の分野は違えど、産業財産権の出願を行う目的は同じはずです。

第三者による模倣を防ぐために、自身がどのような取り組みをした実績があるか、まとめておくとよいかもしれません。

特許事務所への就職

特許事務所への転職時は、所属していた企業において

  • 明細書といった書類作成業務をどの程度行っていたか
  • 特許事務所とどの程度実務で関与していたか
  • どのような分野の中間処理業務に携わっていたか

のアピールが効果的でしょう。

特許事務所は企業の知財部員に比べ、出願後から権利化までの中間処理業務に関わる頻度が多いです。

自身が複数のタスクを並行して取り組んだエピソードや、企業内での折衝の経験などを整理しておくとよいかもしれません。

知財部員は日々実験結果に触れ、発明発掘をすることが、特許事務所は中間処理業務を通し、企業と特許庁を繋ぐことが重要という違いも押さえておきましょう。

特許庁への就職

特許庁への転職時にアピールするポイントとしては、所属していた企業において

  • どのような分野の中間処理業務に携わっていたか
  • 外部機関との折衝にどの程度関与していたか

があげられます。

特許庁は、企業が行った出願を審査する立場にあります。

企業の立場として行っていた、第三者の出願の評価や中間処理業務の経験を、どのように特許庁での業務にて活かせるのかを整理しておくとよいでしょう。

また、企業や特許事務所以上に様々な技術に関する出願に触れるので、判例について見解をまとめておくとよいかもしれません。

未経験の転職者

知財未経験者はこのような点がアピールポイントとなります。

  • どのような分野の仕事に携わっていたか
  • 知財部と共にどのような業務を行っていたか

知財部に転職する異業種として考えられるのは

  • 研究開発
  • 経営企画
  • 法務

などです。

異業種から専門性が高い知財部への転職は、別業界への転職よりも難しく感じるかもしれません。

しかし研究開発職として現場の目線でもデータを考察できることや、物事を経営や事業といった高い視座から見慣れていることの、知財部の仕事における重要度は増しています。

知財と異なる業種を経験したからこそできることを自身の業績と合わせてまとめておくとよいでしょう。

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新卒

新卒として知財部の仕事に就く際のアピールポイントと具体的なエピソードとしては、

  • 文章力:執筆した論文はあるか
  • 分析力:研究で得られた結果から今後どのような可能性があると考えているか
  • 好奇心:新しいものをどのくらい探求することが好きか
  • 発想力:どのような研究成果の用途や展開を提案したことがあるか
  • 折衝力:研究を進める際に、教授や外部機関とどのような討議をしたか

などがあげられます。

配属前からこれらのスキルをすべて備えている方はほとんどいらっしゃらないと思います。

自身の語りやすいエピソードと組み合わせて、何をアピールするのがよいか検討してみるとよいでしょう。

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自己PRのために身に着けておくべきスキルは?

就職・転職時の自己PRのためには、実務経験に加え、資格取得や知識習得が欠かせないでしょう。

ここでは、自己PRをする際に、自身にどのような付加価値をつけておくことが望ましいかをお話します。

資格の取得

資格を取得することで、採用時に第三者が応募者を評価しやすくなります。

アピールしやすいのは「弁理士」「語学」の2資格。

実務を行いながら資格の勉強をすることは、決して容易ではありません。

だからこそ、取得することで他者との差をアピールできます。

弁理士

知財に関する仕事をする上で、働く場所に関わらずアピールできる資格として、弁理士があります。

特許事務所で働く場合には、特に必要となる資格でしょう。

弁理士試験の合格率は一桁であり、国家資格の中でも難易度の高い試験の一つです。

ちなみに、特許庁にて審査官・審査事務に7年以上従事すると、実務修習を経て弁理士資格を取得することができます。

知財業界で長く働くことを想定した場合、特許庁からキャリアをスタートすることは、魅力的な選択肢の一つと言えます。

語学

外国への出願業務を行ったり、外国の文献を調査したりする際に必須となるスキルが語学力です。

英語力の指標として、主にTOEICが扱われます。

募集要項において、内資系企業であれば730点以上、グローバル企業であれば800点以上を求められる傾向があります。

経営・M&Aに関する知識

キャリアアップには知識の習得も必要です。

その例としてあげられるのが、経営・M&Aに関する知識です。

近年、知財に関する仕事の幅が広がっており、出願業務と管理業務をできるだけでは物足りなくなってきています。

特に管理職は、実務職に比べ経営に関わる機会が増えます。

それぞれの立場において活躍できることをアピールできるよう、各企業の経営戦略を学んでおくとよいでしょう。

まとめ

ここまで読んでいただき、いかがでしたでしょうか。

今回は、知財に関する仕事の志望動機を明確にするために、知財部の仕事の魅力・やりがい、求められるスキル、選考時のアピールポイントなどをまとめてみました。

これから知財業界にて働くことを検討されている方、知財業界内での転職を検討されている方にとって、少しでも参考となればうれしいです。

専門性が高く、かつ、関わる業務の幅が広い知財の仕事は、今後ますます重宝されるでしょう。

ぜひ一度、知財業界で働くことを今後におけるキャリアの選択肢の一つとしてみてはいかがでしょうか。

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