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ライドシェア事業、取得するべきはどんな商標?

(この記事は、2024年1月31日に作成したものです。)

モビリティのシェアリングの市場拡大が進む中、どういった商標取得がなされているか調べてみました。

Uberをはじめとしたライドシェア事業者の、本格的な日本での事業開始が目前となっています。

今回はシェアリングモビリティ事業に必要な商標とは何かを調べてみたいと思います。

そもそも、どんな事業モデル?

ライドシェアリング

海外では、サービスに登録したドライバーと利用者を、Uberなどのライドシェアアプリ事業者がマッチングするというモデルになります。

日本では、従前の法規制だと同様のモデルを利用することは認められませんでした。

しかし今年の4月からは、時間帯や地域等の制約はあるものの、タクシー会社に登録したドライバーをライドシェアアプリでマッチング可能にするモデルとしてスタートすることになりました。

なお海外と異なり、ドライバーの所属はタクシー会社になります。

ウーバーやDiDi、ライドシェア支援事業に参入 – 日本経済新聞

モビリティシェアリング

個人や企業が保有する乗り物を、ユーザーがアプリなどを通じて一定時間レンタルするビジネスモデル。

最近では車だけでなく、EVキックボードや自転車のシェアも進んでおり、都内や観光地での利用が増えています。

Uberの場合

ライドシェア事業者としてトップクラスに有名なUber。権利者が「ウーバー テクノロジーズ」の商標を調査してみました。

ヒット数:27件
区分  :| 09(19件) | 39(19件) | 42(19件) | 35(17件) | 38(11件) | 16(4件) | 12(2件) | 36(2件) | 21(1件) | 25(1件)

区分としては、9類、39類、42類が特に多いようです。このなかの9類は、コンピュータプログラム等のアプリ自体が該当する分類です。

しかし今回重要な点は、それ以外の役務の内容かと思います。代表的な商標を一件、抜粋して見てみましょう。

登録番号:第5658207号
出願日:平成25(2013)年 1月 28日
権利者:ウーバー テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
38類
電話による通信,携帯電話による通信,コンピュータ端末による通信,モバイル機器による通信,電気通信
39類
インターネットを利用して行う車両による輸送に関する情報の提供,輸送,貨物のこん包及び物品の保管,旅行の手配
42類
輸送車両の予約・配車の管理に使用されるオンラインによるダウンロード不可能なソフトウェアの一時的利用の提供,コンピュータのハードウェア及びソフトウェアの設計及び開発

これを見るに、ライドシェアに関しての役務としては39類と42類の商標が重要そうです。

電動キックボードのシェアサービスを展開する”LUUP”の場合は?

Uber以外の事例も見てみましょう。

電動キックボードのシェアサービスということで、LUUPはドライバーの手配がないという点でビジネスモデルが大きく異なります。

こちらもヒットした商標のなかから重要そうな部分を抜粋して紹介します。

権利者 :株式会社Luup
ヒット数:8件
区分  : 36(6件) | 39(5件) | 09(4件) | 12(1件) | 37(1件) | 42(1件)

登録番号:第6688052号
出願日 :令和4(2022)年 2月 1日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9類 アプリ系(詳細は割愛)
36類 支払代金の決済又は清算…(中略)…支払等の金融系
39類 自転車の貸与,原動機付自転車の貸与,動力付きスクーターの貸与

同社の商標の取得区分はUberと似ている点もありますが、異なる点として、39類の指定商品に乗り物の貸与自体があるということが挙げられます。

事業モデルがUberと共通する点としては、”アプリ”の開発及び運用(9類)と、輸送や貸与に関係する39類を中心に商標を取得していると考えられます。異なる点としては、具体的な指定商品に乗り物の貸与が含まれているかという点と、傾向として、LUUPのほうに決済に関わる36類が比較的多いことが挙げられます。

総じて、9類と39類の取得が、シェアリング事業においては重要そうです。

まとめ

今回は、二つのシェアリング事業を基軸とする代表的な2社の商標を調べてみました。
各社のビジネスモデルは
・配車手配
・乗り物の貸与
という点で異なっており、これによって必要な商標は39類となるようですが、それぞれ指定商品が異なっている点に着目する必要がありそうです。
また、アプリを起点とするビジネスの場合は、9類の取得も忘れずに行う必要があります。

「シェアリング事業」と一言でまとめてしまうことはできますが、それぞれのビジネスモデルの違いから、必要とされる商標は異なってくることが分かりました。

シェアリング事業を行う際には、ぜひこの点にもご注意ください。

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