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アメリカでの特許の取り方!米国出願の流れも徹底解説!

はじめに

アメリカ特許入門IDS解説手続戦略グレースピリオドなどの記事により、これまで分野別にアメリカの特許制度を解説してきました。

本日は、これまで解説してきたことを取りまとめて、アメリカの特許の取り方を概説したいと思います。

特許取得ルート

アメリカ特許入門で解説したとおり、取得ルートとしては、大別して以下の3通りがあります。

  • (1)パリルート出願
  • (2)PCTルート
  • (3)アメリカ直接出願

それぞれのルートの詳細については、アメリカ特許入門をご参照ください。

アメリカでの特許出願の流れ

1.パリルートの場合

  • 米国特許庁(USPTO)への出願書類提出(優先権主張を行う)
  • USPTOによる方式審査
  • ③USPTOによる出願公開(出願日又は優先日から18か月経過後)
  • ④USPTOによる実体審査
  • (限定命令)※単一性に問題のある場合 
  • (拒絶理由通知)※発明適性・新規性・非自明性(進歩性)等の特許要件に問題がある場合
  • ⑤許可/拒絶確定
  • ⑥発行手数料の納付
  • ⑦特許発行・告知(特許性の発生)

2.PCTルートの場合

  • ①日本国特許庁(受理官庁)へPCT出願書類を提出
  • ②受理官庁による方式審査
  • ③国際調査・国際公開
  • (国際予備調査)
  • ④米国特許庁(USPTO)への国内係属書類提出
  • ⑤USPTOによる方式審査
  • ※以降はパリルートと同様

PCT出願そのものの解説については、こちらもご参照ください。

3.アメリカ直接出願

出願の流れは、パリルートと全く同じです。パリルートとの違いは、優先権主張をするかしないかのみです。

手続の留意点

1.出願

<出願書類>

出願書類として提出が必要なものは、以下のとおりです。

  • 願書
  • 明細書(発明の内容詳細が開示された書類)
  • クレーム(特許権がほしい範囲を記載した書類)
  • 要約書
  • 図面

<言語>

出願書類としては、英語で作成して提出することが原則となりますが、日本語やその他の言語で作成して提出することもできます
この場合には、方式審査の過程で不備ありと判断されて、「不備通知」が来ますので、「不備通知」に指定の期日(2か月以内)までに、英語翻訳文を提出することで対応します。

<仮出願>

例えば、学会発表用に発明の詳細を記載した原稿はあるものの、特許出願書類に整える時間がなく、急ぎ出願したいような場合、仮出願を行うことができます(この仮出願は、日本語でも行うことができます。)。
仮出願を行った場合、12か月以内に本出願に切り替える必要があります。
詳しくは、仮出願をご参照ください。

<優先権主張>

また、パリルートの場合、日本の基礎出願について優先権主張を行うわけなのですが、優先権主張は、願書において記載するとともに、明細書の冒頭にもその旨を記載することにより行います。
一昔前は、優先権主張を行った後、出願人側で日本国特許庁から優先権証明書を取得し、所定期間内にUSPTOに対してその原本を提出することが必要でしたが、現在では、USPTO・日本国特許庁間では、優先権書類の電子交換プログラムを行っています。
そのため、USPTOから特に求められない限り、出願人側では、基礎出願の情報を含めた優先権主張さえすればよく、後はUSPTOの方で日本国特許庁から優先権書類を取り寄せてくれます。

<出願人適格>

米国でも、現在は発明者本人ではなく、発明者から特許を受ける権利を譲り受けた使用者などの承継人が出願人となって特許を出願を行うことができますが、一昔前は、発明者本人でなければ出願人になれませんでした。
特許を受ける権利の帰属の考え方が日本と若干異なる点に注意が必要です。
詳しくは、日米特許の違いをご参照ください。

2.実体審査

<審査請求>

米国では、日本と異なり、審査請求制度が取られていないため、全ての出願が実体審査に付されます。
よって、日本では審査請求時に支払う審査料を、米国では出願時に支払うこととなるので、日本と比較して、米国では出願時の費用が大きくなりがちです。

<審査>

実体審査内容としては、日本とあまり変わりませんが、その時代の特許政策の影響を受けることが多く、以前は拒絶されなかったものが拒絶されるようになったり、反対に以前は拒絶されていたものが許可されるようになったりします。
現在の特許政策とUSPTOの対応については、現地代理人に確認するとよいでしょう。
また、上述のとおり、実体審査としては、新規性や非自明性(進歩性)などが審査される点は日本と同様ですが、何が先行技術になるのか?については、日本と若干差異があります。
例えば、日本では、自分が特許出願前に自ら公開した発明であっても、特許庁に対して新規性喪失の例外手続を取らない限り、先行技術となってしまって、特許を受けることができなくなってしまいますが、米国では、そのような手続を取らなくとも、特許出願前1年以内の自己開示は、先行技術にならないという制度になっています(グレースピリオドといいます。)。
詳しくは、グレースピリオドをご参照ください。

<分割出願>

審査の状況によっては、日本でいう分割出願をしたい場合があるかもしれません。
米国においては、分割出願は、限定命令を受けた場合にのみ行うことができるもので、そうではない場合には、継続出願又は一部継続出願を行うことになります。
限定命令とは、単一性違反の是正命令に近いところではありますが、米国での単一性の考えは非常に狭く、多くの場合審査の負荷軽減のために限定命令が発せられます。
このあたりの詳細については、手続戦略をご参照ください。

<拒絶対応>

実体審査の結果、問題ありということになれば、担当審査官より、「Office Action」(日本の拒絶理由通知に相当)が発せられ、これに対して補正等により不備を解消していくことが必要となります。
「Office Action」への応答によっても不備が解消されない場合には、Final Rejection(日本でいうところの拒絶査定)になってしまいますが、米国では、日本と異なり、審査を最初からやり直すことのできるRCEという制度があったり、日本同様、審判請求制度により拒絶の是非を争うことができます。
その詳細は、アメリカ特許入門をご参照ください。

3.その他

米国では、特許性について重要であることが出願人において知れている情報を、USPTOに対して開示しなければならない制度が採用されています。
この手続のことをIDS手続といい、その範囲、時期、具体的提出物などの要件について、実務上非常に手間のかかるものです。
詳しくは、IDS解説をご参照ください。

審判関係

1.拒絶査定不服審判

上述のとおり、特許出願が最終拒絶となった場合、最終拒絶の妥当性を再検討する審判が米国でも用意されています。

2.異議申立

米国においては、「異議申立」(Opposition)という名称の手続はありませんが、特許付与後の所定期間中に公衆からの請求により特許付与の妥当性を再検討する類似の制度がいくつかあります。

(1)PGR

まず、Post Grant Review手続(PGR)という特許付与の再検討手続があります。
PGRは、特許付与後9か月以内利害関係人から申し立てる必要があります。
再検討される範囲は、発明適格、新規性、非自明性(進歩性)、記載要件等が対象となっており、これらについての要件充足性が再検討されます。

(2)IPR

PGRと似たような制度として、Inter-Partes Review手続(IPR)というものがあります。
IPRも、利害関係人から申し立てる必要がありますが、その時機としては、特許付与後9か月の日又はPGR終結日のいずれか遅い方以降に限って申し立てることができます。
IPRが申立可能となる前は、PGRを利用する、ということになります。
一方、PGRとは異なり、再検討の範囲は、新規性・非自明性(進歩性)、しかも刊行物や先行特許を理由とするものに限られます。

(3)再審査

また別の制度として、Ex-Parte Reexamination手続(再審査手続)というものがあります。
こちらは、利害関係なく誰でも(特許権者でも)申し立てることができ、また時機としても特許付与後いつでも申し立てることができます。
再検討の範囲は、IPRと同様、新規性・非自明性(進歩性)、しかも刊行物や先行特許を理由とするものに限られます。

(4)小括

PGR・IPR・再審査のいずれにおいても、申し立てられた特許権者は、付与された特許の訂正を申し立てることができますが、審理の進め方として、PGRとIPRは審判部の面前における申立人と特許権者の攻防による進行(当事者系進行)、再審査は原則として特許権者と審判部とのやり取り(申立人は場合によって意見を述べることができるに留まる)による進行(査定系進行)となっています。

3.無効審判

米国においては、無効審判という独立した手続はなく、上記のPRG・IPR・再審査を無効審判としても利用している現状です。
PRG・IPR・再審査のいずれにおいても、その再検討範囲が限定されているところ、この再検討範囲に含まれない範囲の事情による特許無効を申し立てる場合(例えば、権利を有しない者が特許を得ている冒認出願など)、裁判所に対して特許無効確認訴訟を提起することになります。

4.訂正審判

米国において、特許付与後に特許の訂正を行いたい場合には、以下の2つの手続があります。

(1)再審査手続

上述の再審査手続は、特許権者でも申し立てることができるので、これを自ら申し立てて訂正を行うことになります。
これによる訂正は、あくまで特許付与されたクレームの範囲内となっています。

(2)再発行手続

米国では、再審査とは別に、再発行(Reissue)手続が存在します。
これは文字通り、特許を発行し直すことであり、特許付与から2年以内であれば、クレームを拡張する訂正も可能です。

(3)小括

以上のように、米国でも付与後の特許を訂正することができますが、日本とは異なり、訂正を行った場合、訂正前に行われた第三者の行為に対しては権利行使ができなくなります(訂正により放棄したものと取り扱われます。)。
一方、訂正後の特許については、訂正後に行われた第三者の行為に対してのみ権利行使することができます。
このように、訂正を行ってしまうと、権利行使ができる場面が限定的となるおそれがあるので、その時機の見極めは慎重に行う必要がありそうです。

特許付与後

1.特許期間

アメリカ特許の存続期間は、特許の発行日(つまり特許性審査に合格し手数料支払い等の所定の手続きを完了した後)に開始し、その出願日から20年が経過するまでとされています。
なお、「出願日」とは、優先日とは関係なく、USPTOに実際に出願された日(PCT出願の場合には、日本国特許庁にPCT出願をした日)となります。

2.特許年金(維持年金)

アメリカ特許を維持するためには、日本同様、特許料(維持年金)を支払うことが必要です。
この維持年金の支払いタイミングは、初回が発行日から3.5年の経過時、2回目が発行日から7.5年の経過時、3回目が発行日から11.5年の経過時となっています。

おわりに

アメリカでの権利化について一通りの流れを解説しました。
アメリカの手続は、日本と同種のものであっても、制度設計が細かいところを含めると相違が結構多く、米国特許弁護士とのコミュニケーションが非常に重要です。

特許には専門知識が要されますし、またアメリカの専門家とやり取りをするのにも非常にハードルが高いものです。

普段より日本国内・国外の知財について実務に携わっている弁理士に、気軽に相談されるとよいように思います。

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