人気タイトル「オーバーロード」の先願商標への取組
(この記事は、2024年9月29日に作成したものです。)
人気作品「オーバーロード」の関連知財情報を調べてみました。調査の結果、先願商標に対する苦労点が浮き彫りとなりました。
オーバーロードとは?
『オーバーロード』(Overlord)は、丸山くがねによるライトノベルで、イラストはso-binが担当しています。作品は2012年から連載が開始され、シリーズ累計発行部数は数百万部に達し、アニメ化もされている人気作。
アニメ化最新作として、2024年9月20日(金)より全国公開中の映画『劇場版「オーバーロード」聖王国編』も公開開始された。
最近は、関連するコラボイベント・商品が多数展開されている。
参考:PRTIMES アニメ「オーバーロード」シリーズ初となる完全新作劇場版の公開を記念して「オーバーロードIV オンラインくじ」がくじ引き堂に復刻登場!
オーバーロード関連の商標をリサーチ
出願人:株式会社KADOKAWA、商標検索:称呼「オーバーロード」でそれぞれJ-PlatPatで検索を行った。
結果として、関連する知財権として以下の商標がヒットした。
※称呼オーバーロードの検索結果
一連の権利取得の流れ・展開
まずは商標「オーバーロード」について、エレクトロニックアーツ社が最先で保有済。(登録番号5231056号 区分:9類、41類)これは2007年にリリースされた『Overlord』というゲームについての商標だろう。
その後、KADOKAWAより、「OVERLORD絶対支配者光臨」の商標が出願・登録となっている。(登録番号6186648号 区分28類)
こちらの商標は遊技機への展開に当たっての出願となっている。先願の商標もあるため、オーバーロードだけの文字列の出願とせずに副題も添えて出願したのだろう。
その後にスマホゲームタイトル「MASS FOR THE DEAD OVERLORD」に関連する商標を出願。(登録番号6257458号 区分:9類、41類)こちらに関しては、エレクトロニックアーツ社の商標を意識したネーミング・商標出願となっていると思われる。
更に後、ついに株式会社KADOKAWAより『オーバーロード』のロゴ商標を2022年に出願。(登録番号6676737号)拒絶理由の対応をしながらも登録と相成った。拒絶理由対応に際して、分割出願を実施して、こちらも登録。(登録番号6778141号)さらに、「オーバーロード」の標準文字で商願2024-091130が追加で出願される。
【時系列まとめ】
2007年 エレクトロニックアーツ社、『Overlord』をリリース
2008年 エレクトロニックアーツ社、「オーバーロード」を商標出願
2012年 丸山くがねによる『オーバーロード』連載開始
2018年 KADOKAWA、「OVERLORD絶対支配者光臨」を商標出願
2019年 KADOKAWA、「MASS FOR THE DEAD OVERLORD」を商標出願
2022年 KADOKAWA、『オーバーロード』のロゴ商標を出願
分割出願(6778141号)の審査時に意見書にて共存契約に関する検討状況にうちても触れられており、エレクトロニックアーツ社との間での交渉が行われていることが伺える。
今回、標準文字での追加出願がなされたことから、この点での進捗があったものと考えられる。
小説タイトルが様々なメディア展開、ライセンス事業を行う際には、各分野での先願商標の存在に注意しなければなりません。
オーバーロードの場合では、サブタイトル等を活用をすることによる回避や交渉をしていることが伺え、事業拡大の際の参考となる事例と言えます。
健康関連商品の知財、企画開発や生産立ち上げを経験してきた元エンジニア。皆さまに役立つ情報を発信したいと思いWEBライター活動中。趣味はスポーツ全般、カメラ、映画鑑賞
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