韓国No.1美顔器ブランドmedicubeの知財活動面の戦略を探る
2023年5月2日、韓国でNo.1美顔器ブランドmedicube(以下、メディキューブ)は、本田翼さんをCMキャラクターとして起用し、韓国シェアNO.1*「美顔器」の 日本初となるテレビCM 「今日よりも前へ」篇が、同日より全国で放映開始される旨を報じました。
*2023年1月~3月の韓国における家庭用美顔器購入者数(Opensurvey調べ)( https://www.opensurvey.co.kr/ )美顔器購入者30~49歳女性140人へのWEBアンケート調査 / 調査期間:2023年4月11日~4月12日
メディキューブの知財状況と事業
同ブランドの運営元であるAPR Co. Ltd,で日本・韓国で知財調査を行いました。
(設立:2014 年 10 月 10 日 引用元)
検索日:2023年5月4日
結果としては、次の通りになります。
出願国(データベース) | 特許 | 意匠 | 商標 |
日本(J-PlatPat) | 0件 | 0件 | 21件 |
韓国(KIPRIS) | 1件 | 15件 | 702件 |
結果を見ると、商標に対しては、かなり注力し、特許・意匠については、ごく少数の出願動向になります。
このことから同社の事業の動向について推察されるのは次の通りです。
1.特許・意匠に注力しないのはなぜ?
可能性1:ハードウェアは既製品の流用+カスタム
美容業界では、生産工場が独自に商品開発を行い、それをブランド側が色の調整やロゴを入れて独自モデルにして販売する事業モデルを採用するケースが多くあります。
この場合、オリジナル商品を開発する負担(デザイン費・開発費・量産における金型の用意等)を抑えることで、事業リスクの低下とスピード感のある商品展開が可能となります。
流行の移り変わりの激しい美容業界において、後発企業の場合はこのモデルをとるケースが多くあります。
可能性2:特許・意匠を出願しないのは、短期展開?
上述の通り、美容業界の流行の変化の速さから、特許・意匠を保有していても、あまり効果を得られない可能性があります。
特許では、未公開時期や審査期間中に事業のピークを迎えてしまい、後発のけん制に有効に使えない可能性があります。意匠も取得したところで、商品がすぐ廃盤になれば、必要がなくなることが考えられます。
早期に黒字化・撤収というようなことを考えている場合は、最低限の知財対応として商標を出願するだけに留め、知財コスト分を利益に回すという手を取ることが考えられます。
2.広告宣伝×商標
同社は、今回のCM等の積極的な広告宣伝や商品のブランディングを行うことで、後発企業の弱み(特に認知度面)を補っていると思われます。
そして、積極的な広告宣伝を行うにあたっては、商標の取得は重要となり、出願も積極的に取り組んだものと思われます。せっかくブランドの認知度を高めても、関連する商標を他社に冒認出願されてしまったら、事業のスピードにブレーキがかかる恐れがあります。
積極的に打って出る前に、このように商標出願を整えておくことは、重要であると思われます。(日本でも2017年ごろから特に積極的に出願をしている)
知財の活動は、事業を伸長させるうえで欠かすことはできませんが、事業のモデルにあわせて取得するということも非常に重要です。
自社のモデルに合った出願戦略というものをぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
参考
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000108700.html
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