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技研製作所&ダイヘンがEV用新駐車場開発。本事例にみる協業前の特許出願検討の重要性

2023年5月17日、株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)は、株式会社ダイヘン(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:蓑毛正一郎)と共同で、技研製作所高知本社の超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパークⓇ」を用いた自動ワイヤレス充電の運用実証を開始したと報じました。

同社によると、機械式駐車場での自動ワイヤレス充電の運用実証は国内で初めてで、10月末までの運用実証によって、実用化に向けた課題抽出を行い、サービスインの推進に努める模様です。

出典:PR TIMES
出典:PR TIMES

両社の動向を特許の観点からみると、技研製作所側では、駐車場の技術開発をしていることがわかります。

同社の駐車場ではコネクタ式の充電を想定されており、ワイヤレス充電に関する技術はなかったことがうかがえます。

特許7209059号

【特許権者】株式会社技研製作所

【発明の名称】車両充電装置及び機械式駐車装置

【課題】車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡す機械式駐車装置であっても格納する車両に充電を行なえる、車両充電装置及び機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】車両充電装置60において充電ボックス62は、車両が搬送装置によって搬送される際に、搬送装置に設けられている配置部64と接続している。そして、充電ボックス62は、搬送装置から格納部へ車両を移動させることで格納部に設けられている充電ボックス受け部66と接続する。充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続した後に充電ボックス62と配置部64とが非接続となる。

特開2023-067133

【出願人】株式会社ダイヘン

【発明の名称】非接触充電システム

【課題】使用率の目標値を適切な値に調整することができる非接触充電システムを提供する。
【解決手段】非接触充電システム1では、受電装置11は、送電装置10が無線で送った交流電力を受ける。受電装置11では、受電コイル30は、送電装置10が送った交流電力を受け、交流電圧を出力する。この交流電圧は直流電圧に変換される。変換された直流電圧は蓄電器に印加される。送電装置10では、インバータ23が交流電圧を送電コイル20に印加する。この場合、送電コイル20は受電コイル30に交流電力を無線で送る。送電制御器26は、蓄電器33に流れる充電電流の電流値に基づく許容使用率を設定し、設定した許容使用率に従って、インバータ23を制御する。許容使用率は、所定期間にて連続してインバータ23が送電コイル20に交流電圧を印加できる時間を示す。

両社の組み合わせにより、より利便性の高いEV用の駐車場の開発が進むことが期待できます。

しかしながら、技研製作所の特許出願の惜しい点としては、物理的な充電器との接続に限定した特許出願となっている点にあるでしょう。※上記特許の請求項参照

特許出願の際に気を付けるべきポイントとして、特許にかかわる技術要素の代替案についてしっかりと検証することがあります。仮に、技研製作所が単体でワイヤレス充電も包括するような駐車場の特許を保有していた場合、こういった協業案件でも優位に立てる可能性が高いです。

昨今、オープンイノベーションとしてさまざまな企業が協業していますが、自社技術の応用分野についての特許のフォローが不足していることもしばしば見受けられます。

協業企業の探索前に、可能な限りアイデアを膨らませて自社単独でのアイデアレベルでも特許出願を行うことをおすすめします。

そのことが、協業先候補の誘致や交渉時に優位に進める材料になることもあります。

参考

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000120506.html

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