三菱ケミカルが植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発

三菱ケミカルグループは、高いバイオマス度と耐熱性を有する、植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発したことを2023年9月29日に発表しました。

当開発品は植物由来原料を使用しており、独自の材料設計技術により最大で70%のバイオマス度を実現しています。高い耐熱性（融点：180℃以上）を有し、かつマイナス10℃の低温環境下から150℃の高温環境下に至るまで柔軟性が変化しづらいことから、幅広い温度領域において使用が可能です。さらに、透明性や耐アルカリ性、無黄変性にも優れており、さまざまな分野への展開が可能です。

近年、環境負荷低減の観点から、プラスチックの原料も石油一辺倒ではなく、さまざまな原材料が模索されています。

その中で、三菱ケミカルはバイオマスと呼ばれる植物由来のプラスチック原材料に注目し、技術開発を進めてきました。植物由来のプラスチックは、環境負荷が少なく、地球環境にやさしいという特徴があります。

反面、製造コストが高く、汎用性が低いという問題がありました。今回発表されたプラスチックは、これらの問題の解決の糸口になると考えられます。

そこで、JPPで「三菱ケミカル　バイオマス」のキーワードで調査をすると、累計で64件の特許出願がなされています。

三菱ケミカル全体の出願件数から比べるとかなり少ないですが、三菱ケミカルの事業領域が非常に多岐にわたっていることから、小規模ではありますが、確実な息の長い研究開発が行われていることが分かります。

近年、市場の多様化によって技術開発の見通しが不透明感を増しています。三菱ケミカルのように、多彩な技術開発を行うことで、市場の状況がどうなっても対応できるようにしていくことも技術開発戦略の一つの方向性です。

参考

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000104418.html

https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/cmd/expo/1215872_8147.html