住友重機械工業、二酸化炭素を20%混合した合成ガスからのFT合成燃料生成に成功
2023年10月12日、住友重機械工業(東京)は二酸化炭素(CO2)を20%混合した合成ガスからのFT合成燃料の生成に成功したことを発表しました。
本研究により、発電所や工場などから排出されるCO2を原料に液体燃料を生成する技術が確立されました。また大気中あるいはバイオマス由来のCO2と、CO2フリー水素を原料とすることで、脱炭素社会の実現に向けカーボンニュートラルな液体燃料・灯油・SAF(ジェット燃料)・軽油などへの展開が期待できます。
FT(フィッシャー・トロプシュ)合成は、一酸化炭素(CO)と水素(H2)の合成ガスから液体燃料(液状炭化水素)を合成する反応で、1920年代にフィッシャー・トロプシュ氏によって確立されました。CO2を原料としたプロセスはメタン・メタノール・DME合成など共に、「カーボンリサイクル(CO2の再資源化)」の有望技術として期待されています。
FT合成は100年以上昔にその原理が確立しましたが、長い間忘れ去られていました。しかし近年の地球温暖化問題を背景に、大気中のCO2を効率よく回収し、再利用する技術の確立が望まれています。
このような背景から、FT合成の技術が再評価され、現実的な実用化のための技術開発が活発に行われています。
そこで、FT合成関連の特許を調査してみたところ、累計で131件の出願がなされており、期間の割に件数はあまり多くありませんでした。多くはエネルギー関連の大企業や、公的機関によるものです。また、FT合成のキーテクノロジーとなる「触媒」の製造法に係わる出願が多くなっています。そして、この出願件数は、細々とではありますが継続的に技術開発が行われてきたことを表しています。
このように、忘れ去られた技術であっても、状況や環境の変化によって再評価がなされ、脚光を浴びることもあります。技術開発型の企業は、諦めずに経営を維持し、技術を磨いていくことが求められます。
参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000100192.html
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元機械技術者のWEBライター。その後は→専門商社→特許技術者へと渡り歩く(飲み歩く)。その後フリーランスで特許調査に関わる。ミドル世代。
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