日本自然発酵が「自然発がん予防剤」の特許取得。新規性なしから登録へ
株式会社日本自然発酵は、新たに「自然発がん予防剤」の特許(特許第7209193号)を取得したことを、2023年3月9日にプレスリリースで発表した。
同社は野菜・果物・キノコ等の植物原料を、複数の微生物をその性質を考慮した、多段階発酵食品を製造・販売している。以前から多くの愛用者より「食べるとなんとなく元気になる」という声があったが、老化に関わる諸症状の緩和を科学的に証明することで、2016年9月30日に「老化抑制剤」の特許(特許第6013670)を取得した。
そしてこの度、老化促進マウス(SAM)を用いた約1.5年の長期飼育試験により、SAM学会の老化判定基準に基づいたすべての老化指標を有意に抑制し、またマウスの平均寿命の有意な延長と最大寿命も延長した。更に老化抑制のメカニズム研究を進めた結果、今回の新たな特許登録に至った。
試験はSAMマウス(オス)の若齢マウスで開始し、サンプル群(植物発酵物)と対照群(水)を比較した。この時点で見掛けの老化指標の判定では対照群は老化が進んでいた。中にはガンの特徴でもある毛細血管の侵襲を示す腫瘍も見られ、組織検査ではリンパ腫(ヒトでは悪性リンパ腫に相当)と判定された。一方、植物発酵物(市販品)2%の水溶液を自由摂取させたSAMマウスはリンパ腫は全く見られなかった。
ヒトで発生する「がん」の殆どは「自然発生がん」だが、抗がん剤の試験等で使用されている試験系は「自然発生がん」ではない。自然発生がんの発生には時間が掛かり、試験研究に使用するのは難しいためだ。遺伝子操作により発癌遺伝子を組み込んだマウスでは約35日掛かるが、同社のSAMの系ではこの1.5倍程度の期間で発癌が判定可能となる。
今回登録された「自然発がん予防剤」の特許は当初、新規性がないとして特許庁から拒絶されていた。しかし、飲食品の用途発明として未知の属性を発見し、この属性により新たな用途への使用に適することを見出したことを主張して登録に至っている。
このように新たな用途を見出したことも特許になるため、モノとして同じだからと発明を見過ごすことのないよう企業として注意したいところだ。
参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000116517.html
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特許関係の仕事に従事して10年。5年間は特許事務所で500件以上の出願原稿の作成に従事。その後、自動車関連企業の知財部に転職し、500件以上の発明発掘から権利化に携わってきました。現在は、知財部の管理職として知的財産活用の全社方針策定などを行っています。
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