セイコーエプソンが、令和5年度関東地方発明表彰「長野県知事賞」を受賞
セイコーエプソンは、令和5年度関東地方発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、『シリコンがんぎ車を用いた機械式時計(特許第6891622号)』の発明により「長野県知事賞」を受賞したことを2023年11月30日に発表しました。
今回「長野県知事賞」を受賞した発明は、ぜんまいがほどけるトルクをエネルギー源として時分針を運針する機械式時計において、時間精度や駆動時間に影響する重要部品である「がんぎ車」に、エプソンとして初めてシリコン材料を採用したものです。
「シリコンがんぎ車」を、金属製の中心軸と軽量なシリコン材料からなる回転部材とで構成することで、回転部材を中心軸に対して回転ずれなく、かつ偏心することなくはめ合わせられるようになりました。
つまり機械式時計に「シリコンがんぎ車」を搭載したことで、エネルギー効率が向上し、時間精度を保ちながら駆動時間を延長することができました。
機械式腕時計というと、精密機械の代表的な製品です。腕時計内部には様々な歯車がいっぱい詰まっており、男心をくすぐるメーカーのものもありますね。
このような機械式腕時計には今までは主に金属材料が使われていました。しかし、近年の機械式腕時計の高度化に伴って金属加工技術が限界に近づいてきています。
そこで、金属に変わる新たな材料の模索が続いています。
このような新材料の代表的なものにはシリコンがあります。シリコンは金属に比べると軽量でばね性に優れているという特徴があります。そして半導体の主な材料でもあり、半導体デバイス製造で培われた超精密加工の技術を比較的容易に転用でき、金属加工を超える精密加工が可能というメリットがあります。
今回受賞の対象となった特許は、このような、機械式腕時計の部品の一つである「がんぎ車」にシリコン材料を用いたものです。ばね性に優れたシリコンを歯車に用いることで歯車同士の「かかり」が良くなり、時刻の精度が向上します。また軽量化が図れることでエネルギー効率が向上し、駆動時間を延ばすことができます。
機械式腕時計は長い歴史をもつ製品です。しかし、新しい技術を取り入れることで新しい展開があることを、今回の受賞は示しています。つまり特許の歴史は技術の展開の歴史ともいえ、特許を詳しく調査することで、技術の「過去・現在・未来」を探ることができるのです。
参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000187.000042912.html
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元機械技術者のWEBライター。その後は→専門商社→特許技術者へと渡り歩く(飲み歩く)。その後フリーランスで特許調査に関わる。ミドル世代。
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