出光、バナジウム事業を推進するオーストラリア企業への出資を拡大~投資戦略と特許~
出光興産株式会社は、豪州でバナジウム事業を推進するヴェッコ社(本社:ブリスベン)へ追加投資しました。すでに行っている初期投資と合わせて当社の出資額合計は2023年3月24日時点で1,316万豪ドル(約11.4億円)となり、株式保有比率は14.7%となります。
ヴェッコ社は、オーストラリアでバナジウム鉱山と電解液プラントに関するプロジェクトを進めています。現在、次世代の蓄電池であるレドックスフロー電池用のバナジウム電解液の生産が最終目的です。
レドックスフロー電池は、エネルギーを電解液に蓄える仕組みの電池です。一般的な自動車に搭載されている鉛蓄電池に似ていますが、電池容量の拡大が容易で、長寿命といった特徴があり、電力系統用の蓄電池に適しています。そのため、再生可能エネルギーの導入促進に寄与すると注目されています。
レドックスフロー電池の研究はかなり昔から盛んで、1983年~2021年の間に836件の特許出願がなされています(特願2021-137815など)。しかし、出光の出願は1件もありませんでした。つまり、出光は自社でレドックスフロー電池自体の開発は行ってこなかったと推定されます。
このため、出光はあくまで電解液の供給に特化してこの分野での事業を進めようとしていると考えられます。
出光はレドックスフロー電池自体の開発は行わない代わりに、電池に必須のバナジウム電解液を安定供給することで商売を成り立たせようとしています。
参考
https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/230324_1.html
https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/221026_1.html
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元機械技術者のWEBライター。その後は→専門商社→特許技術者へと渡り歩く(飲み歩く)。その後フリーランスで特許調査に関わる。ミドル世代。
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