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東レがスマートウェアによる長期心電図測定で心房細動検出率を向上~医療分野と特許~

2023年3月31日、東レは筑波大学の研究グループとともに、カテーテル手術後の心房細動の再発を検出するための診断ツールとして、繊維技術を使用したドライ電極を備えた医療用スマートウェア(着衣型心電計)による2週間の心電図測定の臨床的な有用性を検証しました。

心房細動の患者数は日本だけで100万人を超え、近年急速に増加しています。治療法としては、カテーテル手術が広く普及しています。しかし手術後にも再発することがあり、また心電図で記録されないと診断できないという性質を持っています。そのため、心房細動を漏れなく心電図で検出することは、重要な課題となっています。

そのため、2週間ほど連続して心電図検査をすると発見率が高いのですが、従来の心電図検査では、シールで電極を貼り付けたり、導電性クリームやゲルを使用したりするためカブレが発生し、平均連続検査時間は7日間程度が限度でした。

そこで東レでは、ゲル等を用いない導電性繊維によるドライ電極を備えたスマートウェアタイプの心電図を開発し、有用性を検証しました。その結果、検査期間として2週間を達成しつつ、従来のホルタ心電図に比較して、3倍高く心房細動の再発を検出できることを確認しました。

スマートウェアは着脱が簡単で、被験者は自分の都合に合わせて入浴ができ、着用感についても被験者の約8割から「ホルタ心電図より優れている」との回答が得られました。

そして調査の結果、東レのこの分野の「スマートウェア」での特許は2件しかありませんでした。そこで比較的キーワードが近いと思われる「ウェアラブル」で調査を行ったところ、2016年~2021年の間に19件の出願が行われています(特願2021-129710など)。会社の規模からするとあまり多くないようにも見えますが、まずまずの件数と推測します。

東レは医療機器の分野にも積極的な企業です。そして、医療機器の開発は医師との共同で行われる場合が多いです。医師の指示と検証を繰り返しながら改良を加えていきます。

今回の研究開発は、特許で保護された企業の持つ応用性の高い技術を、医療分野に応用した典型です。

参考

https://www.toray.co.jp/news/details/20230329153759.html

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