【体験談】真摯かつ丁寧に相談に乗ってくれる!東京都知的財産総合センターで知財の悩みを解消しよう

知的財産について、だれかに相談したい…。そんなとき頼れるのが東京都知的財産総合センター(以下、知財センター)。
とはいえ、はじめて相談に行くとか専門家に相談するとかいったことは、少しハードルがあるもの。
そこで今回は、知財タイムズ編集部が詳しく取材してきました。
などの疑問を尋ねてきました。
どんなときに相談すると良い?よくある相談事例10選
そもそも、どんなとき知財センターを頼ればいいのか?
よくある相談事例を10個聞いてみました。
先に伝えておくと、知財センターは知財関連の悩みならなんでも相談OK!専門知識を持ったアドバイザーが話を聞いてくれて、課題を整理し、いろんな選択肢をアドバイスとして提示してくれます。
専門家が優しく話を聞いてくれるだけでも、かなり悩みがスッキリしますよ。
- うちの製品、権利問題はきちんとクリアになってる?
- 製品製造に使ったアイデアを特許にしたい!
- 中国で作られた模倣品の輸入を食い止めたい!
- 大学との共同研究で契約トラブルが発生!
- 海外進出にあたって他社特許の調査がしたい。どうすればいい?
- 中国で意匠権侵害のコピー品が。中国での行政摘発はどうすればいい?
- うちの商品を知財化したい!
- 私が考えたこの商標、権利化できる?
- 商標出願したけど、拒絶理由通知が届いてしまった…
- 自社の商標に対して不使用取消審判を起こされた
1:うちの製品、権利問題はきちんとクリアになってる?
こちらは、コロナ禍にフェイスシールドを作っていた会社からもらったという相談。
フェイスシールドを注文してもらうに当たって、「うちの製品は他人の権利を侵害していないか?」を明らかにしたく、知財センターを訪れました。
1週間程度で結論を出したいとのことで、自分で調査・分析する方法をレクチャーすることで悩みを解消されたとのことでした。
2:製品製造に使ったアイデアを特許にしたい!
2番目に教えてもらったのは、コスメ関連製品のアイデアを特許にして事業と結び付けたいから、出願書類の書き方や権利化方法を知りたい、という事例です。
相談者の方は、別の場所で明細書の書き方を教わり、出願・審査まで済んでいたそう。拒絶理由通知をもらったため知財センターを訪れました。
ここからどうすれば権利化できるか?ということを数年かけて何回も相談しサポートを受けました。
具体的には、
- 相談当時の出願明細書だと拒絶理由を覆すのは難しいので、いったん出願を取り下げる(まだ未公開で取下可能だったので)
- 明細書を作り直す
- 拒絶理由通知が来たあとの、審査官面接での話し方をレクチャー
- 審査官面接の回答・内容の解釈と解説、特許査定後の手続き
- 特許取得後のライセンス活動のフォロー(秘密保持契約など)
など多岐にわたる提案・フォローで支援を行ったとのことでした。
3:中国で作られた模倣品の輸入を食い止めたい!
中国で大量に模倣品が製造されているから、日本国内に入ってこないよう、助成金も活用して税関で差し止めたい!という例も教えていただきました。
この時は助成金活用についての考え方を主にアドバイスされたそう。
知財センターは海外で起きたトラブルについても経験・知識があるので、そういった意味でも非常に頼れる存在と言えます。
4:大学との共同研究で契約トラブルが発生!
4番目は契約トラブルの例。大学と共同研究をしていたところ、ある理由から研究結果は大学単独の出願になり、相談者さんは「このケースでは実施許諾契約を結んでください」と言われたそう。
でもこれって特許性があるのか?契約する必要はあるのか?と疑問を持ち知財センターを訪れました。
特許性の有無は特許庁の審査官が判断するので、知財センターが見解を出すのは難しいとのことでしたが、最終的には相談者の代理人からどのようにコメントを引き出せばいいか?をアドバイスしたそう。
結局は特許性はないであろうという話になり、契約も不要と判断され、難を逃れたとの話でした。
5:海外進出にあたって他社特許の調査がしたい。どうすればいい?
続いては、韓国進出を計画しているから関連する他社の特許があるか否かを確認したい、という相談例。
特許調査は自分でやることも必要だけど、外注調査も必要になる。
そこで外注先の例示や、外注調査の結果をきちんと読めるよう相談者自身ができる準備(関連技術の簡単な調査方法)、着眼点などをお話されたそうです。
6:中国で意匠権侵害のコピー品が。中国での行政摘発はどうすればいい?
「証拠はあるんだけど、中国で出回っている意匠権侵害品を行政摘発したい」という相談が持ち込まれたこともあったそう。
実は中国は特殊で、公証人という専門家が得た証拠を”証拠能力が高い”としています。そうでないと”本当に証拠能力があるのか?”という話が中国では発生するからです。
- どうすれば公証人とコンタクトが取れて証拠を探してもらえるか?
- 証拠能力を上げるために公証人を使いまくると費用がかさむので、そのバランス感や調査会社・現地事務所の選定・使い方等をレクチャー
- 現地で発生した交渉事に関する連絡・進捗状況を簡単に解説
など、中国の事情と相談者さんの事情を鑑みたアドバイスをして、問題解決をサポートしました。
7:うちの商品を知財化したい!
この個人事業主さんは、作った製品を知財化したい、意匠権を取りたいがどんな方法があるのでしょうか?と連絡しました。
意匠権は物品の形状などが一番大事なので、六面図を提出するのが基本です。
ただ六面図相当の写真、それから規格内なら現物を提出(見本提出)することも可能なので、相談者さんの製品なら、多分見本提出で受け付けてくれるとアドバイスしたとのこと。
こういった、ちょっとしたポイントなどもアドバイザーさんの方から先回りして提案してあげるよう努めているそうです!
8:私が考えたこの商標、権利化できる?
自分が考えた商標が権利化できるか?という相談もかなり多く持ち込まれるそう。
実際編集部も、このあと行っていただいた模擬相談は「商標取るべき?取るならどうすればいい?」という内容。
こちらで詳しくお話ししますが、商標の調査方法をはじめ様々なポイントをアドバイスしていただきました。
9:商標出願したけど、拒絶理由通知が届いてしまった…
商標の拒絶理由通知が届いた、というのもあるあるな相談とのこと。
その時は弁理士の方にも協力を仰ぎながら、こうしたら良いのでは、とアドバイスをし、無事に商標登録されたそうです。
知財センターはアドバイザーに加え、弁理士・弁護士のような専門家にも力を貸してもらえるので、本当にいろんな悩みの解消に近づけます。
10:自社の商標に対して不使用取消審判を起こされた
自社商標に対し、「あなたの商標は実際使っていないから権利として取り消されるべき」と商標の不使用取消審判を起こされた。こんな相談も珍しくはないんだそう。
こういった相談に対しても、アドバイザーが、そしてときには弁理士・弁護士などの協力も得ながら問題解決のために力添えをしてくれるのが知財センターです。
知財センターはとっても頼れる機関!利用者の声ピックアップ
ここからは、知財センターに相談をした方の実体験をピックアップ・抜粋してご紹介します。
ニッカー絵具株式会社
こちらは、ポスターカラーはじめ多くの愛され続ける絵具・画材を製造販売する会社です。
ある分野で相談ごとがある場合に、普通に考えたらまず、つてを探すところから始めますよね。でも知財センターは、一つの窓口から案件ごとに必要なプロフェッショナルを用立てしてくれるので、事がスムーズです。
(中略)
どんな相談ごとでも、むげにされないので(笑)、まずはそこの信頼というか安心感はありますよね。そしてどんなことでも親身になって何らかのアドバイスをもらえるので、私は知財センターをコンサルタント的なイメージで利用していました。
有限会社丸越商事
こちらは特許が活きて、展示会出展などビジネスの状況が激変した和装履物店。
特許庁の審査官に電話して拒絶理由を聞いている間、一生懸命メモを取り、知財センターのアドバイザーに伝えました。そして、アドバイザーや弁理士の先生の助言により、無事に特許を取得できました。こちらの話をよく聞いて、的確に丁寧に分かりやすく対応していただいたことに感謝しています。
イリスコミュニケーション株式会社
こちらは「アーレン症候群」などまぶしさを感じる人をはじめ、すべての人に心地よい明るさで色彩豊かな世界が見えるレンズを提供している研究開発型ベンチャー企業。矢野社長(東北大学 名誉教授)と伊藤取締役が取材に答えています。
知財センターに費用を助成してもらい、事業化の後押しになったと感じます。(中略)私はビジネスの世界は知りませんでしたし、社会との接し方を一緒に考えてアドバイスしてくれると、研究もさらに進み、本当の意味で社会に役立つと実感します。(中略)資金的な支援だけではなく、さまざまな展開の助言までもらい、他の企業や組織との契約などについてアドバイスを受けたのも大きな力になりました。
知財戦略は難しく私たちには経験もありませんから、知財センターのアドバイザーから経験も交えた親身なアドバイスをもらえたことは貴重でした。
HPには他にも様々な活用例が掲載されているので、こちらもぜひご覧ください。
実際、アドバイザーに相談してみた
また今回は、読者の方にリアルな相談の雰囲気をお伝えするため、特別に模擬相談を行っていただきました。
今回編集部が事前に送った相談内容はこんな感じ。架空のアパレルブランド運営をする知財初心者という想定です。
私は「柄日和」という柄シャツメインのアパレルブランドを運営しているのですが、恥ずかしながら最近ようやく商標のことを知りました。
ネットなどでは商標は早めに取ったほうがいいと言われていますが、まだ駆け出しのブランドなので無駄な費用は削りたいのが本音です。
そもそも商標って取ったほうが良いんでしょうか? またもし取ったほうが良いのだとしたら、 具体的に何をすればいいんでしょうか?商標のこと全然知らないので助けてほしいです。よろしくお願いいたします。
編集部:相談前に伺いたいのですが、予約フォームの相談内容ってどこまで書けば良かったでしょうか?
アドバイザーさん:今回送っていただいた程度で十分ですよ。ご自身のレベル感や事業の概要、相談内容があるので、こちらも事前準備がスムーズでした。
もし不明点があればこちらから確認の連絡をするようにしていますから、予約フォームも気負わずに入力してください。
編集部:なら良かった!ではここからは、模擬相談のほう、よろしくお願いします。
アドバイザーさん:お願いします。通常は、まず相談者の方と相談内容について話し、本当に解決するべき問題はなにか?を確認していきます。
今回は時間の都合で早速質問していきますが、「無駄な費用は削りたい」というのは、商標も取りたくないということでしょうか?
編集部:これは、そもそも商標がどれくらい自分のブランドにとって必要なのか分からないので、もし効果が薄いとか事業にとっての貢献度が低いとかなら、出願を止めたり対応の優先順位を下げてもいいのかな、と思ってのことです。
もちろん商標が本当に必要なものなら、お金をかけようと思います。
アドバイザーさん:なるほど。結論から申しますと、商標は取った方がいいです。というのも、商標=投資だと思っているからです。
これは実際にあった例なのですが、商標権を取っていなかったために商品名の変更を迫られた会社があります。詳しくは「キリンラーメン 商標」で検索すると出てきますが、これは愛知県の一部で限定販売されていた小笠原製粉株式会社の「キリンラーメン」が、飲料メーカーのキリンホールディングスの商標を侵害していると訴えられた一件です。
ネーミングの使用自体は「キリンラーメン」が先だったのですが、最終的には「キリマルラーメン」と名前を変える事態になりました。
商標権侵害が巡り巡って破産につながった例もあります。山口県にあったうどんチェーンが「どん兵衛」を看板や商号などに使い、日清食品から訴えられた件がそうでして、裁判自体は和解で終わったのですが、和解の3ヶ月後には事業停止し、自己破産準備に入ってしまいました。
編集部:なんと…!商標権に注意していれば回避できたかと思うと、商標=投資という言葉が身に沁みましたし、私も商標を取ったほうがいいなと思いました…!
そしたら、具体的に、なにをすればいいんでしょう?
アドバイザーさん:まずはやっぱり、類似の商標があるか検索することです。J-PlatPatというサイトを使って検索していきましょう。
まずは商品役務検索というところに、「シャツ」と入れて検索してみます。
するとシャツがどの区分になりそうか?とか類似群コードはなにか?とかが分かります。
編集部:シャツなら第25類に相当しそうですね!
アドバイザーさん:そうですね!
次に商標で重要な”称呼”が似ているかチェックする、称呼類似検索をしてみましょう。自分の出願内容を考えるときの参考にもなりますしね。
「ガラビヨリ」だと2件、「奈良日和」と「葛花日和」がヒットしました。
「ビヨリ」or「ヒヨリ」で類似群コードまで同じものは36件と出ました。中身もちょっと見てみると、第 5409947号の「K-biyori」は毛織り関係の商品に使う商標だと思われます。
こういった何々日和っていう登録例はいくつかありますし、今回の「柄日和」もなんとか登録できそうですね。
編集部:本当ですか!ブランド名変更もしなくて済みそうで良かった。
アドバイザーさん:ここからですが、実際出願するなら区分を決めなくてはいけません。
今後こんな製品やサービスも展開するだろうと思って複数区分を選ぶのも良いですが、本当に展開しないと「それは使ってないだろ」と言われるリスクもあります。
なのでもし、明確に展開する商品・サービスがあるなら該当する区分も含めて出願したほうがいいでしょう。そうでないなら、最低限の区分で出願して、必要になったら追加で出願するほうがいいかなと思います。
編集部:うーん、そこはいったん持ち帰って考えてみようと思います。ただ少なくとも、第25類で「柄日和」を商標出願しておくのがベターってことですよね。
アドバイザーさん:そうなります。もし考える中で、ブランドの方向性など、相談したいことが新たに出たら是非またいらしてください。知財センターには、都度「これって大丈夫でしょうか?」と確認に来られる方もいます。
編集部:ちなみに相談中、知らない専門用語が出てくることもあると思うんです。そういったとき、すごーく初歩的なことでも質問しちゃって大丈夫ですか?
アドバイザーさん:もちろん大丈夫です!よく分からないこと、知らない言葉、ガンガン聞いちゃってください。分からないことは恥ずかしいことではありません。
編集部:アドバイザーの方直々にそう言ってもらえると安心できますね!本日はありがとうございました。
相談をしてみた感想は
編集部が知財センターのアドバイザーさんと相談をしたのは初めてですが、最初から最後まで穏やかな、優しい雰囲気で進行してもらえたので、なんでも気軽に質問できました。
”専門家に相談する”というのは敷居が高いと感じがちですが、知財センターは全く怖くありません。「馬鹿にされる」「話を聞いてくれない」「説明が分からない」なんてことは一切なく、3行程度の相談文章でも真摯に対応してくださいました。
それから人と話すと、悩みや問題点、今後考えなければいけないこともたくさん見つかって、有意義な時間になったとも感じます。
具体的には、今後サービスをどう発展させていきたいか?とか、どうブランディングしていくか?などが宿題として出てきたなと思いました。
まとめ
結論、知財関係の困りごとを抱えている都内の中小企業・個人事業主はぜひ東京都知的財産総合センターを使うべき!
知財のことを全然知らなくても大丈夫、というか知財初心者こそ、丁寧かつ真摯に説明・アドバイスをしてくれる知財センターに相談する価値があると思います。
相談は無料なので、知財のお悩みをお持ちの方は一度使ってみてください。
東京都知的財産総合センターに相談したい方はこちら(公式HP)
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