最高人民法院、不正競争法に関する司法解釈を公布、3月20日より施行
(2022年4月発行)
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(提供:北京フェアスカイ特許法律事務所)
3月16日、最高人民法院は「 中華人民共和国不正競争法の適用に関するいくつかの問題に関する最高人民法院の解釈」(以下、 解釈」という)を発表した。この解釈は2022年3月20日より施行される。
今回公布された「 解釈」は29条あり、改正後の不正競争法に基づき、
- 不正競争法第2条
- 模倣・混同
- 虚偽宣伝
- インターネット上の不正競争
などに焦点を当て、詳細な規定を作成した。
「解釈」で、特定のビジネス分野で一般的に守られ、認知されている行動規範は、人民法院が不正競争法第2条の 商業道徳」として認定することができることを明確にした。人民法院は、案件の具体的な状況、すなわち、業界の規則または商慣習、事業者の主観的状態、取引の相手方の選択意思、消費者の権益、市場競争の秩序および社会の公益に与える影響などを考慮し、事業者が法律に基づき商業道徳に違反したかどうかを判断するものとする。事業者が商業道徳に違反しているかどうかを判断する際、人民法院は、管轄の業界部門、業界団体または自主規制組織が策定した実施規範、技術規範、自主規制規約を参照することができる。
「 解釈」では、事業者が市場競争の秩序を乱し、他の事業者または消費者の合法的権益を損害し、かつ不正競争法第2章および特許法、商標法、著作権法などが規定した状況に違反する場合以外に、人民法院は不正競争法第2条を適用して認定することができると述べている。事業者が、事前明示同意なしに、誤解させ、欺き、または修正、閉鎖、アンインストールをユーザーに強要して、他の事業者が合法的に提供するネットワーク製品またはサービスを悪意をもって妨害した場合、人民法院は、不正競争法第12条第2項第2号に基づき、その判断を行うものとする。
出所:中華人民共和国最高人民法院:https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-351291.html
「知的財産の高品質な発展を促進する年次指針(2022年)」
3月21日、国家知的財産局は「知的財産の高品質な発展を促進する年次指針(2022年)」を発表。(以下、 指針」という)
特許審査期間を16ヶ月半に短縮するように要求。
新たに発表された「 指針」では、より良い知的財産権サービスシステムの構築と創造、知的財産権関連法の改正、中国が締結した知的財産権関連の国際条約「・協定の中国国内での履行確保など、各級の知的財産権局「・部門における業務の主要目的を概説している。
また、審査の質と効率を向上させるために、発明特許の審査期間を16.5ヶ月「(そのうち、高価値特許は13.8ヶ月)に短縮し、商標登録の平均審査期間を4ヶ月に安定させると明確にした。
出所:国家知識産権局 :https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/3/21/art_75_174166.html
賠償額520万元 「美巢集団」が「美巢建材」に全面的に模倣された案件
【案件概要】
上訴人「(一審被告):江蘇美巢建材有限公司「(以下、 美巢建材公司」という)
被上訴人(一審原告):美巢集団股份公司(以下、 美巢集団公司」という)
一審被告:成都市武侯区鴻發装飾材料経貿部(以下、 鴻發経貿部」という)
美巢集団公司の商標「 美巢」は、 北京市著名商標」として認定され、馳名商標の保護を受けたことがある。
美巢建材公司は、 美巢」を商号として登録し、美巢集団公司と同種の家庭用装飾補助製品を製造「・販売し、これらの製品に「 美巢」ロゴを目立つように使用した。 美巢」グループの有名なサブブランドである「 易刮平」 刮墙腻子」 粘瓷宝」などと同一または類似の商標を同種の製品に使用していた。製品説明や宣伝広告には、美巢集団と混同性を有する宣伝用語を使用している。美巢建材公司は、美巢集団公司の登録商標とドメイン名の主要部分をウェブサイトのドメイン名「(www.meichaoxz.com)として登録し、ウェブサイトのレイアウトに美巢集団公司のものと酷似したデザインを使用し、本社が美巢集団公司の本社である北京にあると偽っていたほどであった。
美巢建材公司は、全国12地域に代理店を設け、支店も多数設置し、美巢集団公司のプロモーション戦略を踏襲し、CCTVにも広告を出している。
美巢集団公司は、美巢建材公司の行為は商標権侵害及び不正競争に該当するとして、美巢建材公司に侵害行為の停止と美巢集団の経済損失及び合理的費用、合計1,000万人民元の賠償を求め、裁判所に提訴した。
【案件意義】
市場事業者は、その業務において信義誠実原則を守り、既に存在する他人の営業上の信用にフリーライドしてはならない。会社名、商品名、商品の包装「・装飾、ドメイン名、ウェブサイトのレイアウト、宣伝文句など、あらゆる面で商標権を模倣していれば、悪質な侵害と認めるに十分である。悪質な侵害の場合で、懲罰的損害賠償の適用条件を満たさないときは、特定された状況に応じて、裁量的に賠償額が決定されることがある。
本判決は、悪質な侵害の判断や、懲罰的損害賠償に該当しない状況での悪質な侵害の懲罰の仕方について、参考になるものである。
- 一審判決番号:成都市中級人民法院(2019)川01民初7068号
- 二審判決番号:四川省高級人民法院(2021)川知民終896号
北京フェアスカイ特許法律事務所は、本件勝訴側を代理しました。
中国の北京に本社を構え、アメリカ(サンフランシスコ)・日本(東京)にオフィスを展開している北京フェアスカイ特許法律事務所。
知財の係争を得意としており、中国では数多くのビックアントの知財係争をサポートしてきました。
日本の中小企業の中国進出を積極的に支援しており、日本語の堪能なスタッフがしっかりと中国での権利化をサポートします。
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