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サステナブルなブランドの商標とは?

(この記事は、2024年2月16日に作成したものです。)

今や世界中の企業が意識せざるを得ない「サステナブル」。商標観点で、関連する取り組みを調べてみました。

サステナブル、サステナビリティ、持続可能といった言葉が世の中に浸透していく中、それを主軸にブランディングする企業も増えています。

サステナビリティブランディングに取り組むメリットは色々あります。

  • 企業価値、ブランドイメージの向上
  • リスク管理:環境配慮への対応の進行
  • 法規制への適合:様々な観点での法規制の変化への適合
  • 従業員の満足度向上 など

今回は、その中で企業価値・ブランドイメージ向上のための取組として、商標観点で調べてみました。

Nikeの事例

Nikeでは、「MOVE TO ZERO」というフレーズ掲げて、二酸化炭素排出ゼロと廃棄物ゼロを目指し、スポーツの未来を守ることを目指しているそうです。

関連して、どれがサステナブルなプロダクトか分かりやすいようにサンバーストロゴを使用しています。サンバーストロゴはNikeのスウッシュを円形に並べた形となっています。

従来のロゴに加えて、サステナブル観点での対応を併記することで、従来の商品・サービスとの差別化を図る取り組みをしていることがわかります。


参照:ナイキのサステナビリティへの取り組み。Move to Zero.オンラインストア

関連する商標は?

関連する商標を調べると以下の4件が見つかりました。

同社の事業領域である靴や衣服を中心に、関連する区分を取得しております。しかしながら、指定商品としてサステナビリティやリサイクルなどといった文言は含まれておりませんでした。

あくまで事業領域に関わる観点で商標を取得し、Move to Zeroに関連する商品のブランディングとしてこれらの商標を活用しているようです。

登録番号:第5192358号
出願日:平成20(2008)年 6月 2日
出願人:ナイキ イノベイト シーブイ
区分:25

登録番号:第6377763号
出願日:令和1(2019)年 10月 21日
出願人:ナイキ イノベイト シーブイ
区分:25,35,41

登録番号:第6395790号
出願日:令和2(2020)年 5月 21日
出願人:ナイキ イノベイト シーブイ
区分:35,41

登録番号:第6463221号
出願日:令和3(2021)年 2月 19日
出願人:ナイキ イノベイト シーブイ
区分:14

良品計画の事例

無印良品を展開する良品計画は、サステナビリティ活動を創業以来継続的に行っています。

良品計画は、創業から変わることなく、社会全体の課題と向き合ってきました。「社会や人の役に立つ」ことは良品計画の根本方針であり、この価値観を企業の根幹に据え、すべての事業活動を行っています。
私たちが大切にしている3つの視点「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」は、世の中でいわれるサステナビリティの先駆けであると捉えています。

引用:創業以来変わらないESGの考え方

無印良品は全社的にサステナブル活動を行っていますが、その中でもさらに特徴的な事業について商標を取得していることがわかりました。

水に関するさまざまな取り組み「みずから、はじめよう。」

登録番号:第6547936号
出願日:令和3(2021)年 6月 29日
権利者:株式会社良品計画
区分:9,35,40,41,42,43

サステナブル観点でこの商標を見てみると

40類の指定商品で「廃棄物の再生,ペットボトルの再生,リサイクル品又は中古品の収集・分別・処分又は再資源化処理に関する情報の提供・技術指導又は助言」も含まれています。

良品計画は、水を起点としたさまざまな取り組みを「みずから、はじめよう」と題して始めていて、主に無料の給水とアプリを通じた計量を行い、ペットボトルの削減の可視化を図っています。

「おゆずり良品」

登録番号:第6568916号
出願日:令和3(2021)年 9月 28日
権利者:株式会社良品計画
区分:35,36,37,41

登録番号:第6568915号
出願日:令和3(2021)年 9月 28日
権利者:株式会社良品計画
区分:35,36,37,41

「おゆずり良品」は、良品計画が行っている古物販売の取り組みです。地域で買い取り回収した古物を譲り渡す販売スペースを設けており、地域とともに「捨てない暮らし」「譲り合う暮らし」を目指すものです。

千葉県で事業を行っていましたが、現在は閉鎖されているようです。商標権としては2032年まで維持されるため、商標が再利用される可能性も考えられます。

サステナブル観点でこの商標を見てみると

指定商品として、中古の食器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれています。

IDEEのブランドは

登録番号:第6506746号
出願日:令和3(2021)年 6月 23日
権利者:株式会社良品計画
区分:18,20,24,25,27,35

無印良品とは別ブランドとして展開しているIDEE。

その中で、H& by POOLと評してブランディングしている商品群があります。

商標の区分にサステナブル要素は含まれていませんでしたが、幅広い指定商品を含んでおり、事業展開としても広く展開したいという意思が見えます。

生産地や倉庫で行き場を無くした残反、残糸、端切れなどを集め、日本のものづくりの技術とクリエーションにより、これからの暮らしをリファインする H& by POOL。
生産者とお客さまを繋ぎ、生産背景も丁寧に紡いでいく、POOLの新しい取り組みです。

引用:H& by POOL|IDEE SHOP Online

RENUの事例

RENUは、伊藤忠商事が開発した再生ポリエステル繊維およびそのリサイクル事業です。衣料品の生産時に発生する端切れや古着を分子レベルまで分解・再重合して作られるケミカルリサイクルを行っています。

RENUは、石油などの化石燃料の使用量削減と衣料廃棄量の削減を実現する環境配慮型素材。

従来の「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」というリニアエコノミー(直線型経済)のなかで利用されることなく廃棄されていた繊維を有効活用し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現することを目指しています。

登録番号:第6230761号
出願日:平成31(2019)年 3月 8日
権利者:伊藤忠商事株式会社
区分:18,20,21,23,24,25

サステナブル観点でこの商標を見てみると

23類では「糸,再生ポリエステルを使用した糸」を、ほかの区分でも「再生ポリエステルを使用した〇〇(被服などの物品)」を指定商品として挙げています。

リサイクルの回収事業自体に関しては、指定商品として挙げられていませんでした。

まとめ

サステナブルと一言でまとめても、各社によって商標の出願の考え方は異なりました。

指定商品にリサイクルなどの要素を含むものもあれば、HP上でのみサステナブルと関連付けた見せ方をして、商標の指定商品では特にサステナブル要素を含まないケースもあります。

重要な点としては、ブランディングとして強く押し出す場合は、そのシンボルとなる商標を出願することが多くあるということです。

まだ、サステナブルブランディングができていない企業は、こういった事例を参考にしてみてはいかがでしょうか?

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