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ガンダム好き必見!ガンプラにまつわる知的財産の動向

(この記事は、2024年2月28日に作成したものです。)

今年、待望の新作映画も公開されて大いに盛り上がっているガンダムですが、関連商品のガンプラ(ガンダムの模型)では長年模倣品との争いが続いており、知財的にも大きな影響のあるコンテンツとなっています。
今回は、そんなガンダムにまつわる知財情報をご紹介したいと思います。

最近も、模倣品事件は起きた

昨年、「ガンダムメタバース」上に公開されていた3Dデータにガンプラの構造が流用されていたため、外部に発売前のプラモデル情報が漏洩するというニュースがありました。

この件は様々なウェブニュースで取り上げられており、漏洩したデータは当時公開前の映画『ガンダムSEED FREEDOM』の主人公の搭乗機体「ライジングフリーダム」に関するガンプラデータと推定されております。

海賊版メーカーとして有名なDABAN MODELから、漏洩したデータを基にしたと思われるプラモデルも発売されています。

バンダイは、このようにガンプラ模倣品の対策に奔走されています。

今回は、ガンプラを保護するための関連する知的財産の情報を調べてみました。

特許の状況

ガンプラで特許?と思われる方も多くいらっしゃることでしょう。

実は、ガンプラにも特許技術が使われているのです。ぜひこの機会に覚えて頂ければと思います。

JP4456139B2 人形体
権利者:株式会社バンダイ

【課題】 人形体においてよりダイナミックなポーズを実現する。
【解決手段】 腰部に対して、脚部を回動可能に連結するための連結部301-1を備える人形体であって、前記腰部の側部に一端が軸支され、連結部301-1が取り付けられた面が、該腰部の側面と略平行な第1の位置(a)と、該側面と所定の角度をなす第2の位置(c)との間を回動する連結部取付部材403-1と、連結部取付部材403-1に対して、当接部材804を当接させることにより、連結部取付部材403-1を第1の位置(a)から第2の位置(c)へと回動させる操作部材801と、を備え、当接部材801を当接させ、連結部取付部材403-1を第2の位置(c)へと回動させることにより、連結部301-1により連結された前記脚部の回動中心が、前記腰部の側面から離れる方向に移動すること特徴とする。

このように、プラモデルの関節の稼働構造に関する特許がバンダイから出願されています。

古いプラモデルでは関節の稼働がされなかったものが、時代を経て、様々な動きが可能なガンプラが登場するようになりました。それに関連して特許出願も増えております。

意匠の状況は

日本では、ガンプラに関する意匠権を見つけることはできませんでした。

しかし、過去中国に対して、バンダイがガンプラに関連する意匠を出願した事例を確認できました。

CN300905220D
CN303950890S

とはいえ、これまで展開してきたすべてのガンダムに対して、意匠権を取得しているわけでは無いようです。「中国に対してのみ、特別に数件出願する」という方針だと思われます。

中国と言えば、冒認出願(出願する権利のない人による出願。簡単に言うと横取り)のリスクもありますが、ガンプラも同様の問題に晒されています。

実際に以下の、ガンダムSEEDに登場するフリーダムガンダム及びストライクフリーダムガンダムに関する玩具の意匠が出願されていました。これらの意匠に対し、バンダイから中国の意匠無効審判を請求し無効化も行われております。(バンダイ側からはプラモデル雑誌等の公知文献の提示によって、新規性がない点を指摘されていました。)

CN3595893D(出願人:陈晓芬
)
CN3560986D(出願人:陈振楷)

商標もきちんと取得されている

ガンダムのプラモデル、略して「ガンプラ」は多くの人に知られている言葉です。

このガンプラもちゃんと商標登録がされています。

最初の出願は古く、1989年となっており、ガンダムが長年愛されていることを改めて感じさせられます。

そして商標に関しては、権利者がバンダイではなく株式会社創通となっています。

これはガンダムビジネスの版権が、ファーストガンダムの放送当時、テレビアニメをプロデュースした創通と制作を担当したサンライズに分かれていたためです。

版権管理の窓口である創通にプラモデル「ガンプラ」などの関連商品の権利がありました。

サンライズおよび創通は、現在バンダイナムコHDの傘下に収まっており、一気通貫でガンダムのIPを運用可能な体制となっています。

参考:バンダイナムコ、ガンダム版権を完全掌握 – 日本経済新聞

筆者は、現在30代半ばになりますが子どものころからガンダムを見て育ちました。

そして、中学生のころに放送されたガンダムSEEDが2024年に最新作の映画が公開となり、子供のころのワクワクがよみがえってまいりました。

こういったワクワクを制作陣が提供するためは、知財や制作費といったものが絶対に必要となります。

ガンダムが好きだからこそ、安いからといって模倣品には手を出さないように気を付ければならないですね。

お読みいただいた方もぜひ、模倣品にはご注意ください。

模倣品業者は、売れるのなら(儲かるのなら)知財の保護状況などお構いなしに海賊版を作ります。もしお見かけの際には、決して購入することが無いように気を付けましょう!

【参考】バンダイの知的財産活動

特許事務所・知財部の専門求人サイト「知財HR」
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