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ピカチュウの立体商標、その後の状況は?出願時の図面には要注意 -iP Times.-

(この記事は、2023年11月17日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
・商標出願になじみがないけれども興味がある
・立体商標に興味がある
・キャラクターの商標登録に興味がある

ピカチュウの立体商標の今

2022年6月に出願されて、話題に上がっていた3Dモデルのピカチュウの立体商標出願。

早期審査も請求されて、その後の状況を調べてみました。

出典:J-PlatPat

出願番号:商願2022-66787
出願日 :令和4(2022)年 6月 10日
公開日 :令和4(2022)年 6月 20日

審査経過を確認すると苦戦している模様です。

拒絶理由としては、

①第3条第1項柱書(使用についての疑義)
→六面図の縮尺があっていないとの指摘

②第3条第1項第3号(品質等表示) 
→「本願商標は前記指定商品及び前記指定役務の提供の用に供する物の形状(立体的形状)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」

と判断されております。

どこがダメと判断(拒絶)されているのか?

ここで挙げられている「3D図のピカチュウの縮尺が違う」という指摘はいったいどういうことなのか、具体的に確認してみたいと思います。

■第3条第1項柱書(使用についての疑義)
 この商標登録出願に係る商標(以下、「本願商標」といいます。)は、商標登録願に記載のとおりの構成からなるところ、便宜上、商標登録願に記載の順に、第1図ないし第6図としたとき、第4図において、左右の耳の間隔の長さや、顔及び身体部分の前後に最も膨らんだ部分の間隔の長さ等を比較すると、第4図の縮尺が他各図と異なります。よって、各図が表す立体的形状の標章が合致しないことから、立体商標としての商標の構成及び態様を特定し得るものとはいえません。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しません。なお、例えば、商標登録願に記載された【商標登録を受けようとする商標】中の第4図の縮尺を、他各図の縮尺と同一になるように補正した場合は、この限りではありません

※強調部筆者

引用:拒絶理由通知書 (商標出願2022-066787)

図4の補正をすれば問題ないとのことですが、実際任天堂はどう対応したのか、画像比較をしてみました。

適切な縮尺にして、各図に表示された大きさと相違なくなるように補正されていることが分かりました。これで拒絶理由の1つは解消されたかと思われます。

この事例からも、意匠出願と同様に、立体商標での出願時には、商標の図面の縮尺が合うことが重要であるとわかります。

広く親しまれているピカチュウの商標出願については、ニュースとして取り上げられてることも多くあります。

今回、この拒絶理由の内容は、知財になじみのない方からすれば、「そんなことで!?」と思う拒絶理由かもしれません。しかし、重要な観点であり、特許庁の審査官も厳正な審査に取り組まれていることが一般の方にも伝わるわかりやすい事例かと思います。

立体商標の出願の際には、使用する画像にもぜひ注意して出願手続きをしてみてください。

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