最新映画も高評価放映中!トランスフォーマーの知的財産の動向は?
(この記事は、2024年10月14日に作成したものです。)
最新映画の評価も高いトランスフォーマー。
実は複雑で面白い誕生背景がありました。
トランスフォーマー ONEが2024年9月20日に劇場公開され約1ヶ月。
非常に高い評価を得て人気を博しています。
今回は、そんなトランスフォーマーに関して調査をしてみました。
トランスフォーマーの誕生経緯
トランスフォーマーの起源は、日本の玩具メーカー「タカラ」(現タカラトミー)が1970年代後半に発売した「ダイアクロン」や「ミクロマン」という玩具シリーズにさかのぼります。
これらのシリーズは、ロボットが車や飛行機などに変形するという特徴を持ち、その斬新なコンセプトが子どもたちに人気を博し、現在も2016年版と呼ばれる新シリーズが販売されています。
1980年代初頭、アメリカの玩具メーカーであるハズブロは、タカラの「ダイアクロン」や「ミクロマン」のアイデアに目をつけ、それをベースにして新たなブランドを開発しようと考えました。
これが「トランスフォーマー」シリーズの始まりです。
ハズブロは、タカラと協力しトランスフォーマーのキャラクターやストーリーラインを作り上げ、1984年にアメリカで「The Transformers」として発売されました。
なお一部はタカラ以外の企業のロボット玩具が採用され、日本では未発売となったものもあります。
参考:Shop Transformers Action Figures, Transformers Toys & More – Hasbro(ハズブロ公式サイト)
ハズブロとタカラ、それぞれの役割
ハズブロとタカラ(現在のタカラトミー)は、トランスフォーマーシリーズにおいて異なる役割を果たしています。
ハズブロの役割
アメリカや世界市場での販売とマーケティングを担当。
トランスフォーマーのストーリーやキャラクター開発を主導し、アニメシリーズやコミック、映画などのメディア展開を行ってきました。アメリカ市場向けにローカライズされたキャラクターの名前や背景設定も、ハズブロによって作られています。
タカラトミーの役割
日本市場でのトランスフォーマー玩具の製造と販売を担当。
特にトランスフォーマーの変形ギミックやデザインにおいて、タカラトミーの技術力が重要な役割を果たしています。またタカラトミーは、日本向けに独自のトランスフォーマーシリーズやアニメ作品も展開しており、日本国内でも大きな支持を得ています。
このように、トランスフォーマーの立ち上げにあたっては、ハズブロとタカラトミーの共同プロジェクトとして展開されており、共通のブランドとして強固な協力関係を維持してきました。
アニメと映画での、両社の協力
トランスフォーマーシリーズは、アニメーションや映画でも両社の協力が不可欠でした。
最初のアニメシリーズ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』は、アメリカでハズブロが企画し、日本で東映がアニメーション制作を担当しました。このアニメはアメリカのみならず、日本や世界中でも放送され、トランスフォーマーの人気を高めました。
その後もハズブロとタカラトミーは共に協力し、次々と新しいアニメシリーズや映画を展開してきました。
2007年に公開された実写映画『トランスフォーマー』は、ハリウッドでの大ヒットを受け、トランスフォーマーブランドを再び世界的なメジャーコンテンツとして位置づけました。この映画シリーズの玩具も、ハズブロとタカラトミーの共同開発によるものです。
商標などの知的財産の管理は?
商標に関しては、ハズブロとタカラトミーがそれぞれ自社の地域市場で商標を管理しています。つまりアメリカや欧米市場ではハズブロ社が商標権を持ち、日本ではタカラトミー社が商標を管理しているのです。
これにより、トランスフォーマーブランドは世界中で統一されたイメージを保ちながら、それぞれの市場に合わせた製品展開が可能になっています。
日本における商標の状況
日本におけるタカラトミー社の保有商標(28類:玩具系)としては、12件の登録が確認できます。なお、他の区分の取得もされていることから、様々なビジネス展開に対しても保護していることが伺えます。
米国における商標の状況
米国におけるハズブロ社の保有商標(28類:玩具系)としては、過去の映画タイトルの商標のみが現存しており、トランスフォーマーだけの表記のものは登録がない状況です。
意匠権の出願は?
意匠については、日本で過去積極的に意匠出願(動的意匠も活用)をタカラトミー社がしていた模様です。海外出願についても実績はあるものの、日本と比べごく少数でした。
まとめ
トランスフォーマーシリーズは、ハズブロとタカラトミーの協力によって誕生し、世界的な成功を収めたブランドです。
ハズブロは主にアメリカ市場での展開やブランディング構築を担当し、タカラトミーは日本市場を中心に製品開発を担当してきました。両社の技術力やマーケティング力を融合させることで、トランスフォーマーは玩具、アニメ、映画といったさまざまなメディアで成功し続けています。
日本のIPの活用成功事例の一つと言えます。
これからのIP事業の参考例として学ぶところは多いでしょう。
健康関連商品の知財、企画開発や生産立ち上げを経験してきた元エンジニア。皆さまに役立つ情報を発信したいと思いWEBライター活動中。趣味はスポーツ全般、カメラ、映画鑑賞
あなたの技術に強い弁理士をご紹介!