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米津玄師も商標登録!?自身の名前を商標化する意図は?

(この記事は、2024年10月20日に作成したものです。)

有名人の商標が話題となることが増えています。
今回は、そんな中から有名な音楽アーティストであり、自身の名前の権利化を進める米津玄師の企図を探ります。

昨今、有名人による商標出願がニュースになることも増えてきています。

実は、自身で自分の名前を商標出願し登録しているケースもあります。それが「Lemon」「KICK BACK」など様々な有名曲を世に送り出しているアーティスト・米津玄師。ちなみに”米津玄師”という名前は芸名ではなく彼の本名です。

今回は、米津氏が自身の名前を商標登録した例を分析してみたいと思います。彼の芸術的な活動やビジネス的な視点から、複数の意図や目的を考察できるでしょう。

活動内容&出願内容をチェック

まずは活動歴と商標出願の内容を確認してみます。

なお米津氏はとても意欲的に活動をされているので、ここでは主要な活動・商標出願と関係がある活動のみを取り上げます。

主な活動歴

2009年 ”ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル曲を投稿開始

2012年 本名の “米津玄師” 名義で、アルバム『diorama』をリリース

2013年 株式会社リイシューレコーズ(米津氏の個人事務所)設立。シングル『サンタマリア』をユニバーサルシグマよりリリースし、メジャーデビュー

2014年 2ndアルバム『YANKEE』をリリース。初のタイアップ起用、初ライブの開催を果たす

2018年 楽曲「Lemon」「パプリカ」の発表。「NHK紅白歌合戦」に初出場

2019年 初の海外ライブ。楽曲「馬と鹿」の発表

2020年 5thアルバム『STRAY SHEEP』が各種ランキングで類まれな記録を樹立

2021年 インテリアブランド「REISSUE FURNITURE」を設立し、Room Perfumeを発売。期間限定ショップ「Pale Blue Melt」にてジェラートを発売

2022年 楽曲「KICK BACK」を発表し、同曲が各種新記録を樹立

商標出願の内容

2014年

初のタイアップや初ライブを果たした年に、リイシューレコーズのロゴと米津玄師の名前を商標登録。区分はどちらも同じ内容です。

9類:ダウンロードコンテンツ関連
35類:小売又は卸売関連の役務

米津氏が自身の会社でのオンライン販売などをすることから取得したものと思われます。

2018年、2019年

同様の「リイシューレコーズ」「米津玄師」の商標に区分、指定商品を追加。更に、ネコのイラスト(ロゴに使われている、リイシューねこちゃん)とフォントの異なる”米津玄師”を商標登録しています。

9類:スピーカーやヘッドホンなどの機器等を追加
14類:宝石や装飾、時計関連
16類:紙製品、写真関連
24類:タオル、ハンカチ等の布製品関連
25類:衣類関連
41類:イベント・娯楽およびその配信関連の役務

ライブグッズ等の商品自体やイベントに関する区分を追加で取得しているようですね。更に韓国での商標も取得されていました。

2024年

リイシューレコーズ、米津玄師、リイシューねこちゃんのイラストが、区分をさらに追加するために出願されていました。

3類:化粧品関連
15類:楽器関連
18類:かばん関連
20類:家具関連
28類:おもちゃ関連
29類:食肉関連
30類:植物性食品関連(コーヒー、茶等)

出願の目的は?

1.ブランド保護と模倣防止

“米津玄師”という名前は、音楽業界やファンの間、のみならず世間一般でも非常に知名度が高く、ブランド価値が高い存在です。

商標登録をすることで、彼の名前を勝手に使われることを防げますし、模倣や無断利用に対抗する法的な権利も持つことができます。

特に、アーティスト名やクリエイターの名前はブランドとして利用されることが多いため、その不正利用を未然に防ぐことは重要です。

参考:米津玄師、150万円の“偽物グッズ”に注意喚起「たまたま教えてもらった一件に過ぎず」 | ORICON NEWS

2.商業利用の管理

米津氏は音楽だけでなく、イラストや映像制作など多岐にわたるクリエイティブ活動を行っています。

↓作詞・作曲・イラスト・動画作成・歌唱のすべてを米津氏が手掛ける作品

彼の名前が商業的に使われる機会も多く、例えばライブグッズ、アルバムの特典、コラボレーション商品など、名前や作品がマーケティングの一環として使われます。

商標登録により、彼自身がその使用を管理できるようにし、無許可での商業利用を防ぐことができます。

3.収益源の保護

商標権を持つことにより、米津氏は自身の名前を利用した商品やサービスの提供に関してライセンス料を得ることができます。

たとえば、コラボレーションアイテムやライセンス契約を通じて、名前の使用に対して対価を得ることができるため、商標登録は収益源を確保する手段とも言えます。

また2024年では取得区分を増やしていることから、この動きをさらに加速化させる可能性も感じられます。

参考:米津玄師×ユニクロUT再び、日本カルチャーが世界へ | Dellows News(デロウズニュース)

まとめ

米津玄師が自身の名前を商標登録した背景には、ブランド価値の保護と管理、模倣防止、収益源の確保に対する準備といったビジネス的な理由があると考えられます。

“米津玄師”の名前は、単なるアーティスト名を超えて、一つのブランドとして広く認識されていますから、その保護と管理が重要になっています。

商標登録によって、彼は自身のクリエイティブな活動とその商業的価値をしっかりと守ることにつなげていると考えれます。

個人の名前を権利化するにはハードルも多いことはすでにご承知かと思います。
しかしながら、個人の名前をブランドに活躍される方も増える中、商標をどのように活用すべきかを知る良い事例かと思います。

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