マッチングアプリの商標は何類？各社の出願状況を比較・分析してみた
（この記事は、2023年12月9日に作成したものです。）
昨今、恋人探しや結婚相手探しの場はアプリを介することが多くなっています。
そして、事業者が増えている中、各社がどういった商標取得をしているかを調査してみました。
特にどのような区分が必要か、ご注目ください。
昨今、結婚や恋愛のためにアプリを使う方が多くいらっしゃいます。多くのサービスが出てきていますので、どういった商標登録があるか調べてみました。
Pairs（ペアーズ）
Pairsは株式会社エウレカという会社が運営しています。エウレカは、グローバルでマッチングアプリを展開しているNASDAQ上場のMatch Groupに属する企業です。
以下、代表的な商標を抜粋し紹介します。
【両出願の区分・指定商品の記載（両出願とも同一の区分・指定商品を利用）】
9類
オンラインによる異性の紹介及び社交のための紹介にアクセスするためのモバイル機器に使用されるコンピュータアプリケーションソフトウェア，オンラインによる異性の紹介及び社交のための紹介にアクセスするため及び利用者が異性の紹介及び社交のための紹介のイベントに関する情報を得て参加できるようにするためのデスクトップ・パーソナル及びラップトップ型コンピュータ用コンピュータアプリケーションソフトウェア
41類
社交のための娯楽イベントの企画・運営及び手配，ウェブサイトを通じた社交のための娯楽イベントについての情報の提供及び助言，電子通信による社交のための娯楽イベントについての情報の提供及び助言
45類
異性の紹介，インターネットによるソーシャルネットワーキングサービスの提供，インターネットによる社交のための紹介，インターネットによる異性の紹介
ブランドロゴおよびアプリのアイコンについても商標登録があります。
特徴的な点として、４１類でイベント関連の指定商品を加えていることがあります。アプリの運営だけのブランではないことがここからうかがえます。
Tinder（ティンダー）
Tinderはエウレカの親会社にあたる企業、米国のMatch Group, Inc.が運営しています。
Match Groupは世界中で様々な出会い系アプリを展開しており、Tinderはその中でも特に知名度が高いです。
以下、代表的な商標を抜粋し紹介します。
【商標登録第5787682号の区分・指定商品の記載】
9類
携帯通信端末装置用のコンピュータアプリケーションソフトウェア，社交上の個人及び異性の紹介のためのコンピュータソフトウェア，その他のコンピュータソフトウェア
45類
異性の紹介，インターネットに基づくソーシャルネットワークによる個人及び異性の紹介，個人及び異性の紹介に関する情報の提供
【国際登録商標での区分、指定商品の記載】
9類
インターネットによる異性の紹介及び結婚又は交際を希望する者への異性の紹介のためのモバイルアプリケーションの性質を持つダウンロード可能なソフトウエア，ソーシャルメディアの分野におけるモバイルアプリケーションの性質を持つダウンロード可能なソフトウエア、すなわちウェブフィードの加入者への更新状況の送信用・他人と共有するための電子ファイルのアップロード用及びダウンロード用のもの
45類
モバイルアプリケーションによる異性の紹介，インターネットによるソーシャルネットワーキングサービス、社交のための紹介及び交際を希望する者への異性の紹介
Pairsブランドと異なり、４１類のイベント関連は含まれていませんでした。
グローバルで展開している本ブランドですが、アプリでのマッチング以外のコンテンツは提供していないようです。
Omiai（オミアイ）
Omiaiは株式会社Omiaiが運営しています。株式会社Omiaiはエニトグループに属しております。
以下、代表的な商標を抜粋し紹介します。
【上記出願の区分、指定商品の記載】
9類
コンピュータソフトウェア用アプリケーション（電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの），コンピュータソフトウェア（記憶されたもの），電子応用機械器具及びその部品，電子計算機及びその周辺機器，プリンター，スマートフォン，スマートフォン用ストラップ，スマートフォン用ケース，腕時計型携帯情報端末，電気通信機械器具，眼鏡，コンピュータ用ゲームソフトウェア（記憶されたもの），電子出版物，インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル，アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル，映写フィルム，スライドフィルム，スライドフィルム用マウント
45類
異性の紹介，結婚又は交際を希望する者への異性の紹介，ファッション情報の提供，占い，婚礼（結婚披露を含む。）のための施設の提供，身の上相談，家事の代行，衣服の貸与，装身具の貸与
Omiaiも４１類の出願はありませんでした。
しかし、４５類の役務について衣服の貸与、装身具の貸与も記載されている点が興味深いです。
なおOmiaiは以前まで異なるロゴを使っていましたが、リブランディングされています。このころは、４５類のみの出願となっていました。
with（ウィズ）
こちらのマッチングアプリは株式会社withが運営をしています。こちらのアプリもユニトグループに属しており、Omiaiと並んで事業展開されています。
以下、代表的な商標を抜粋し紹介します。
9類
アプリケーションソフトウェア，電子計算機用プログラム
42類
オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供（ＳａａＳ），電子計算機用プログラムの提供，電子計算機の貸与，電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守
45類
結婚又は交際を希望する者へのパートナーの紹介，交際相手の紹介，オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供，結婚式の企画及び手配，ファッション情報の提供，占い，身の上相談
※登録前
9類
アプリケーションソフトウェア，電子計算機用プログラム
42類
オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供（ＳａａＳ），電子計算機用プログラムの提供，電子計算機の貸与，電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守
45類
結婚又は交際を希望する者への異性の紹介及びこれに関する情報の提供，パーティー形式による結婚又は交際を希望する者への異性の紹介，オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供，婚礼（結婚披露を含む。）のための施設の提供，占い，身の上相談
同社は、はじめアプリに関する部分での商標を出願しておりましたが、追って４5類の紹介サービスに関わる部分を追加出願しております。
また[with]という商標ではまだ登録できていなかったため、さらに追加出願をされています。
権利者も特徴的で、事業会社の株式会社withではなく、親会社のユニトグループに権利がある形になっています。
まとめ
・各社ともに９類と４５類での登録を行っております。
・マッチングという機能をアプリで実現するということで、それぞれの区分での登録が図られています。
・ブランドロゴとアプリアイコンと同様のアイコンでの出願をしている点も特徴的です。
・事業の領域が拡大するに伴い、区分の追加も図られています。
アプリ関連事業を展開する場合の商標出願の考え方の参考になれば幸いです。
健康関連商品の知財、企画開発や生産立ち上げを経験してきた元エンジニア。皆さまに役立つ情報を発信したいと思いWEBライター活動中。趣味はスポーツ全般、カメラ、映画鑑賞
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