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芸術系の大学の商標出願は多い?少ない?~大学の商標シリーズ②~

(この記事は、2025年2月16日に作成したものです。)

芸術関係の大学の知財の取り組みを調べたところ、意外な結果に。

昨今、国立大学を中心に知財活動が活発化しているように見受けられます。

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そのなかでも芸術系の大学は、どのような活動をしているのか、商標の視点で調べてみました。

というのも芸術系の大学は、創造性とデザイン思考を育む教育機関として重要な役割を担っているから。

本記事では、芸術系の大学の商標出願状況を分析し、ブランド活用の可能性について考察します。

現状の商標出願状況

まず調査の結論として、ブランド価値を高めるために重要とされる商標については、半数の学校において、の活用に消極的な傾向が見られました。

逆に積極的な学校は、大学名だけでなく様々な観点での出願が見られました。

日本の芸術系大学の商標出願数比較

以下は、日本の主要な芸術系大学と商標出願件数のリストです。

※理系等を有する総合大学は除外

大学名ホームページ商標出願件数
東北芸術工科大学公式サイト9
東京芸術大学公式サイト20
武蔵野美術大学公式サイト17
多摩美術大学公式サイト17
京都市立芸術大学公式サイト12
愛知県立芸術大学公式サイト0
沖縄県立芸術大学公式サイト0
金沢美術工芸大学公式サイト3 ※共同出願のみ
女子美術大学公式サイト16
成安造形大学公式サイト0
京都芸術大学公式サイト0
大阪芸術大学公式サイト0
名古屋芸術大学公式サイト0
神戸芸術工科大学公式サイト0

具体的な商標出願の事例

以下は、芸術系の大学による具体的な商標出願の事例です。

東北芸術工科大学

  • 登録3005449号「東北芸術工科大学」(学校名の保護)
  • 登録3008982号「TOHOKU UNIVERSITY OF ART & DESIGN」(英語表記でのブランド化)
  • 登録4201582号「TUAD」(略称の商標化)
  • 登録4153081号「情報計画士」(技能のブランド化?)

東京芸術大学

  • 登録5608218号「東京藝術大学」(学校名の保護)
  • 登録5735952号「GEIDAI」(通称の商標化)
  • 登録5896877号「クローン文化財」(同校の活動の名称)

武蔵野美術大学

  • 登録4994584号「武蔵野美術大学」(学校名の保護)
  • 登録4994587号「ムサビ」(略称の商標化)
  • 登録6498060号「ムサビズム」(同校のブランディング及び展示会の名称)

多摩美術大学

  • 登録5932697号「多摩美術大学」(学校名の保護)
  • 登録5932698号「Tama Art University」(英語表記でのブランド化)
  • 登録6309496号「TAMABI」(略称の商標化)

他大学とも比較してみた

ここからは、芸大と他大学の商標出願のうごきを比べてみましょう。

東京大学・早稲田大学などの商標出願動向

  • 「UTokyo(登録5764051号)」など、名称を積極的に権利化
  • 「H-UTokyo Lab.」など、ラボ名の商標化(登録6137249号)
  • 早稲田大学マスコット「WASEDA BEAR」など、キャラクターの商標化(登録4513652号)

ビジネススクールの事例(例:グロービス経営大学院)

  • MBAプログラム名や学習コンテンツの商標登録
  • デジタルプラットフォーム(「GLOBIS学び放題」)の活用
    登録6632604号「GLOBIS学び放題」
  • 登録5828191号「technovateMBA」

積極的に活動している学校であれば、芸大/総合大学/ビジネススクールに依らずその活動内容は似通っており、大学名や略称等を中心に権利化がされていることが窺えます。

芸大と他大学との違いとしては、「オリジナルキャラクター」に関する商標の有無などがあげられるでしょう。

まとめ

一部の芸術大学は、非常に多岐にわたる商標出願をしており、非常に興味深いものがあります。

しかしながら、全体としてはまだまだ商標の活用をしていない大学も多く、これからの動向に期待したい所です。

アートに関わる学校だからこそ、今後の知財に対するリテラシー、活用やブランド強化の活動に期待したく感じますね。

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