マイケルジャクソンの「ゼログラビティ」も特許技術だった!-iP Times.-
(この記事は、7月25日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆マイケルジャクソンが好きな方へ
☆ダンスなどパフォーマンスが好きな方へ
本記事のここがポイント!!
有名なダンスパフォーマンスなので自分もやってみたいけど、真似してもいいのか?或いは、こちらの特許と違う方法でなら似たポーズをしてもいいのか?検証します。
そもそも「ゼログラビティ」とは?
「ゼログラビティ」は2009年に亡くなった「キング・オブ・ポップ」、マイケルジャクソンさんがコンサートの曲中で行ったパフォーマンスです。
マイケルジャクソンさんのパフォーマンスといえば、「ムーンウォーク」も有名ですよね。
「ゼログラビティ」がどんなパフォーマンスかを、娘が赤ちゃんだった頃に作ったウサギのにぎにぎちゃんにやってもらいました。
①両手両足をぴったり揃えた状態で観客に身体の側面を見せて直立する。
②かかとを軸に身体をゆっくり前に斜め45度まで倒し静止する。
③ゆっくり元の姿勢に戻る。
このパフォーマンス、ちょっとやってみてください。私はやろうとしてもすぐ転んでしまって無理でした。
なので特許技術が使われているって知るまでは、「マイケル、ムキムキすぎじゃない?」って思っていました。
どんな特許なの?
確かにマイケルさんはムキムキでした。しかしそれだけでなく実はこれは米国特許US 5255452の技術を利用しているんです。ざっと見てみましょう。
靴のかかとに設けた凹部を、地面から突出したボルトに引っ掛けて行う反重力錯視の「方法と手段」の特許です。
つまりマイケルさんはかかとを地面に引っ掛けながら「ゼログラビティ」を行っていたんですね。
それなら私にもできそう!いや、ちょっと待ってください。特許技術を使っているとはいえ素人がこの方法を行っても、あれだけ前傾姿勢になるのは難しいですし、その後に上手に戻ってこれないですよね。無重力状態に見えるあのパフォーマンスには、やはりムキムキさがかなり必要だったと考えられます。さすが、「キング・オブ・ポップ」!
このパフォーマンス、テレビで他の人がやってたけど大丈夫なの?
一般に、他人の特許権を勝手に実施したら権利侵害で訴えられてしまうことがあります。侵害行為を停止するよう求められたり、賠償金の請求をされたりする可能性があります。
ですのでこの「ゼログラビティ」の特許権が有効な間に、同じ仕組みを用いて勝手にテレビでパフォーマンスしていたらアウト!です。もし権利を侵害しない、全く異なる仕組みで似たようなパフォーマンスを行うことはアウトではないでしょう。しかし、マイケルさん側も黙ってなさそうですよね。
米国特許は原則的には、出願から20年で期限が切れます。
この特許が出願されたのは1992年。今から30年も前なんですね!しかもこの特許、年金未納(※米国では特許権は4年毎にお金を収めないと継続しません)のために20年に到達する前に権利が消滅しているんです。
そのため今では誰でもがテレビとかコンサートとかで自由に「ゼログラビティ」を行っても良いんです。ただし、先ほども述べたようにかなり訓練しないと上手にパフォーマンスするのは難しそうです。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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