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「クリスマスの女王」の称号は誰のもの?-iPTimes.-

(この記事は、2022年9月5日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆音楽好きな方へ
☆日米の商標の違いに興味がある方へ

本記事のここがポイント!!

先日歌姫のマライアキャリーさんがアメリカで「クイーン・オブ・クリスマス(クリスマスの女王)」という商標を申請しました。
今回はその「クイーン・オブ・クリスマス」について詳しく見ていきましょう。

今回の出願の詳細

今年も気付いたらもう秋。あっという間にテレビやラジオから「All I Want for Christmas Is You」が流れてくる季節になってしまいますね。私も毎年この曲を聞くと、あぁもうクリスマスかぁ。年末年始は何を食べようかな?と思います。

この誰もが知るクリスマスソングを歌っているのがマライア・キャリーさん。歌番組など彼女の登場シーンでは「クイーン・オブ・クリスマス(クリスマスの女王)」と呼ばれることもあるようです。

そして今回、彼女はその「クイーン・オブ・クリスマス」を商標出願しました。海外カルチャーへの知識が乏しい私は、たしかにクリスマスの女王といえばマライアだなと思ってしまいました。

でも実は、彼女のこの曲の前から有名なクリスマス曲はたくさんあったようです。そして我こそが「クリスマスの女王」だと思っている大御所たちが今回の商標出願に大ブーイング。異議申し立てを行いました。

ここで、実際の商標出願の第90571927号を見てみましょう。なお、米国の商標出願はこちらで検索できます。

出典:米国商標出願第90571927号

指定商品は香水、宝石、印刷物、衣服、音源、乳飲料、クッキー、酒、オンラインショップの提供、コンサートの提供等など。

この「クリスマスの女王」商標が登録になれば、マライア以外の女王達は、マライアが指定したこれら商品範囲で「クリスマスの女王」グッズを売ったり出来なくなるのです。

日米の商標権の違い

このニュースを理解するためには、日本とアメリカの商標権についての大きな違いを知る必要があります。それは日本では「登録主義」、アメリカでは「使用主義」が採用されているという点です。

登録主義はその名の通り、先に出願して登録にさせた人の商標権!な考え方です。

一方でアメリカが採用している使用主義とは、登録の有無とは関係なく先に使用した人の商標権!という考え方。ただし使用したことで権利になるのは、本当にその商標を使っている地域に限定されます。そのため単に使用したことで権利ゲット!と安心するのではなく、アメリカ全土に権利が及ぶように商標登録(連邦登録といいます)しておくことが重要になってくるのです。

そして今回の件では「マライアより先に私がクリスマスの女王を名乗っていた」と異議を申立てた人の「クイーン・オブ・クリスマス」が周知の商標であるか否かが争点となるでしょう。単に「だって私、先に使ってたもん」だけではなく、それがある程度は世間に知られ渡っていないと異議申立は認められないということです。

まとめ

ちなみに日本では「クイーンオブクリスマス」は株式会社プレジィールという、あのグラマシーニューヨークなどのお菓子ブランドを展開している会社が区分29、30菓子,パンで出願し、登録となっていました。ですのでマライアがもし日本でも商標登録したいと思った場合は、これら以外の商品範囲であれば「クイーンオブクリスマス」を登録できるかもしれません。

クリスマス関連で言うと、日本ではあの有名な「ケンタッキークリスマス」(登録番号第6178074号)や、面白どころですと久光製薬の「貼りークリスマス」(登録番号第6486729号)なども商標登録されていました。気になる方はぜひJ-platpatを覗いてみてくださいね。

アメリカの音楽業界を騒がせているマライアの「クイーン・オブ・クリスマス」商標。マライアは異議申立された後、まだこの件についてコメントを表していないようです。今後の動向が気になりますね。

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