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市川海老蔵さん出願の商標が相継いで拒絶に。その内容は?-iPTimes.-

(この記事は、2022年9月10日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆有名人による商標出願が気になる方へ
☆今話題の商標ニュースを知りたい方へ

本記事のここがポイント!!

歌舞伎の有名な演目を相次いで商標出願した市川海老蔵さん。いずれも審判で登録不可(拒絶)と判断されました。
今回は彼の出願についてみていきましょう。

海老蔵さんの出願と拒絶までの経緯

市川海老蔵さんが出願したのは、歌舞伎の有名演目「勧進帳」、「助六由縁(ゆかりの)江戸桜」、「暫(しばらく)」という語です。これら商標のカテゴリ(出願区分)は41類の「演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」となっており、海老蔵さんはこれらの分野で「勧進帳」などの商標を利用しようとしていたことがわかります。

これら3つの商標出願は全て同様の理由から拒絶されています。「勧進帳」を例に挙げ私なりに解釈を加えると、その拒絶理由は…

「勧進帳」は、歌舞伎の有名な演目であり著名である。そのため海老蔵さんらが希望している区分(演芸や演劇などの分野)で「勧進帳」という語を用いれば、普通はあの有名な歌舞伎の「勧進帳」のことかな?と受け取れる。 すなわち、これらの分野での出願ならば、既にみんなが知ってる名前をあなたが登録したいだけですよね?

という感じです。元々「勧進帳」という語は有名であるし、その有名な分野である歌舞伎と、演芸や演劇などといったコンテンツは被っているのでアウト!ということのようです。

この拒絶査定に対して海老蔵さん側は不服である!と審判請求をしましたがそれも棄却されてしまっています。

ところで、同じ「勧進帳」という語であっても万兵株式会社が出願した「勧進帳」は(登録番号:第4097768号、第424342号)、分類が24類の木綿織物、25類の洋服などであり、登録となっています。これらは歌舞伎とは全然分野が異なるのでオッケーだったのでしょう。

出願した理由は?

海老蔵さんがこれら3つの商標を出願した理由を推測してみます。

審査官による拒絶の判断に対し海老蔵さん側が提出した意見書などには、「市川家が何百年もかけて築いてきたお家芸である、これらを守りたい」という意志が表れていました。

また先程説明した出願区分から推測すると、DVDなど歌舞伎の舞台そのもの以外のコンテンツでもこれら内容のものを販売するため権利が欲しかったというのもあると思います。

なお、「勧進帳」などの演目が本当に市川家だけが演じるものであれば登録の可能性もあったでしょう。しかし審判官は、市川家以外の人も演じているのに海老蔵さんが登録するのはダメですよ。と登録を拒絶しています。

普通、審判請求に対する決定(審決)に不服の場合、審決が送られた日から30日以内に、知的財産高等裁判所へ訴え出ることができます(詳しくはこちら)。しかし知財高裁の裁判例検索ページで検索してみても「勧進帳」など今回の商標はヒットしませんでした。 

まとめ

今回、これら3つの歌舞伎の演目については商標登録が叶わなかった海老蔵さん。「株式会社成田屋」という名で他にもたくさん商標出願をしています。例えば「海老蔵歌舞伎」や、「市川ぼたん(海老蔵さんの娘さんの芸名)」などです。今後もたくさん出願していくのでは、と楽しみです。

もっと他の出願を詳しく見てみたい方はJ-platpatをチェックしてみてくださいね。

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