あのにこちゃんマークみたいなイラストが商標出願された話-iPTimes.-
(この記事は、2022年10月17日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆イラストやアニメを描くのが好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
「にこちゃんマーク」や「スマイリーマーク」と聞いて何をイメージしますか?きっと多くの方が黄色くて丸くてにこっとした顔のマークをイメージするのではないでしょうか。
先日、この有名なマークに似たマークが商標出願されました。今回はこの商標出願について詳しく見ていきましょう。
「スマイリーマーク」とは?
にこちゃんマーク(スマイリーマーク)には、いろいろな呼び方があるようですが以下、「スマイリーマーク」とさせていただきますね。
これです、これ。このスマイリーマークは「ハーベイ・ボール」というアメリカの商業美術家が、生命保険会社に依頼されて描いたものです。当時ハーベイ・ボール氏はみんなにこのマークを使ってもらいたいということから商標出願もせずデザイン料のわずか45ドルを受け取るのみだったそうです。このマークは1970年代以降、爆発的に人気になりました。
ハーベイ・ボール氏はしばらくして、スマイリーマークから得られる収益を用いて社会貢献を行おう!と方向転換し、「スマイル・ライセンス事業」を開始します。日本国内や米国で何百件もの商標を登録させています。日本の特許庁のデータベースJ-platpatで商標検索をしてみると、スマイルマークの仲間たちがとてもたくさん登録されていることがわかります。
スマイリーマークもUSPTOの商標データベースから登録番号「4,261,640」と検索をかけると以下の通り、しっかり登録されていましたよ。
上の画像の右側、Application Filing Date(出願日)の欄を見てみると「Dec 08, 2008」とありますね。どうやら、ハーベイ・ボール氏の亡くなった後に出願されているようです。
誰が出願したの?区分は?
そして今回紹介したいのは、スマイリーマークだけではなく、スマイリーマークにとっても似ているこちらです。
このマークを初めて見たとき、ちょっとギョッとしてしまいました。
この商標を日本で出願をしたのは、「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」です。ネットで検索してみると、まさにスマイリーマークが出てきます。
日本での活動のページに進むと、「スマイリー・フェイスは1963年末に米国人のハーベイ・ボール氏により創作・著作されました」と書いてあります。
「商品化のお問い合わせ」については「ジャス・インターナショナル株式会社」に、と書いてあります。ジャス・インターナショナルさんはスマイルマークの普及活動や知的財産権の保護などのために活動しているとのことです。
こちらの商標の商品カテゴリ(出願区分)は第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴でした。
出願区分は、この商標を出願した会社がどんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。出願人は、衣服や服飾雑貨の販売のために今回の出願をしたということでしょうか。
この出願と同日には、以下のような目が5つバージョンと6つバージョンのマークも出願されていました。
そして商標速報botのコメント欄を見ていると、この3つ目バージョンは、「エボリューション」という映画にそっくりのマークが用いられていたことがわかりました。映画「エボリューション」は、2001年にアメリカで製作されたSF・コメディ映画です。
この映画に用いられているマーク、確かに今回の出願にそっくりですね(個人の感想です)。ハーベイ・ボール氏側が出願した区分(第25類)は、「映画」の区分は全く異なりますが、この映画、今回の出願の審査結果に影響してくるのでしょうか。
まとめ
スマイリーマークの目がいっぱいバージョンの出願について、今後の動向が気になりますね。なお、今回の出願後には審査官に対して登録を後押しするための主張を書いた「上申書」が以下の通り提出されています。
つまり、「4つ目バージョンが登録されたのだから、目の個数が変わっても登録になるはずでしょう」という主張です。
さて、今回のスマイリーマークの目がたくさんバージョンが登録になったかどうかや、スマイリーマークの仲間たちの出願を他にも見てみたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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