スーパーなどで耳にするあの「呼び込み君」が商標登録されていた件-iPTimes.-
(この記事は、2022年11月6日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆食にはうるさい方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
スーパーに行くと、焼き芋コーナーや惣菜コーナーなど、安売りしている商品の陳列棚で「ポポーポ ポポポ ポポーポ ポポポ…」という音楽が聞こえてくることがありますよね。あれ、「呼び込み君」というらしいです。
さて今回は、最近出願された「呼び込み君」の商標出願について詳しく見ていきましょう。
「呼び込み君」とは?
「呼び込み君」とは、音楽や音声を流すことができる販売促進用の製品です。「呼び込み君」から流れ出る音楽により、「おっ、何か安売りしてるぞ」とお客様の興味を向けることができるというものです。
流れる音楽などはメモリーカードで入れ替えることができるのですが、1番有名なのは「ポポーポ ポポポ…♪」の「No.4」という名のメロディかなと思います。
「呼び込み君」の「ポポーポ ポポポ…♪」と言われてもどんな音楽かわからない!という方のために、音商標として出願されていた楽譜を見つけることができました。
主旋律だけではなく、伴奏やドラムパートまであることに驚きました!
またJ-platpatから出願番号2020-124414で検索をかけるとこの音源も聞くことができます。(なおこちらの出願は登録できません!と審査官から拒絶査定をうけていました。理由は後述。)
そして「呼び込み君」の見た目はこんな感じです。
音は聞いたことあるけど実物がどんな形なのか見た事なかったという方も多いのではないでしょうか。公式オンラインショップをみてみると、上のLEDバージョンは税込32,780円で、下のバージョンは税込23,980円でした。
案外、個人でも買えるお値段ですね!
誰が出願したの?区分は?
さて、その「呼び込み君」ですが、2022年10月6日に「群馬電機株式会社」さんにより商標出願されました。こちらの会社は「呼び込み君」を製造しているメーカーです。
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。2022年10月17日のこのつぶやきに対して、まだ1か月も経っていないのに1000件近くのリツイートと2000件を超える「いいね」がされていました。やはりみんな一度は聞いたことがある音で気になるツイートだったのでしょう。
この商標の商品カテゴリ(出願区分)は第35類の衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供などです。
出願区分は、この商標を出願した会社がどんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
実は、「呼び込み君」の語そのものは、すでに登録されています(登録商標第4423682号や第6431920号)。しかしそれぞれ出願区分が第9類と第28類なので、今回の新たな出願の区分とは異なっていました。今回の出願では「呼び込み君」の語の新たな区分での登録と、このキャラクターの登録を目指したものと考えられます。
まとめ
今回紹介した「呼び込み君」について今後の動向が気になりますね。こちらの商標は出願されたばかりでまだJ-platpatにて公開されていませんでした。
一方、拒絶査定になっている「ポポーポ ポポポ…♪」の音商標について、拒絶理由を見てみると「自他役務の識別標識としてではなく、役務の魅力向上又は広告の演出等に用いられる音の一 種として認識するにとどまると認められます」とありました。
つまり、「ポポーポ ポポポ♪」は販促用の音であってこれを聞いたお客様が「呼び込み君だ!何かが安いぞ!」とわかっても、そこのスーパーで安売りしている商品自体が「焼き芋」なのか、あるいは「コロッケ」なのかは分からないですよね?しかも、それを売っているのは出願人自身ではなくスーパーですよね?そういう場合は登録できませんよ、という判断です。
今年の9月に拒絶査定が出されたばかりなので、出願人はこの査定を不服とする証拠を集めて審判を請求することができます。既に請求済みかもしれませんが、その情報はまだ掲載されていませんでした。今後どのような経緯を辿るか楽しみです。
今回の「呼び込み君」が登録されたか気になる方や、これら出願についてもっと詳しく見てみたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
(価格は記事公開時点のものです)
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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