パテントコンテストで受賞した発明とは
【本記事の内容】
パテントコンテスト/デザインパテントコンテストとは学生の知財学習を支援する取組みとして、文部科学省・特許庁・日本弁理士会などが主催している事業だ。
高校生、高専生や大学生が自分自身で生み出した発明や意匠デザインを応募し、優秀な応募作品を表彰する。
受賞作品は出願支援対象となり、弁理士のサポートのもと、特許庁への出願を検討する。
知的財産マインドの育成と知的財産権制度の理解を促進することを目的に、毎年開催されている取組みだ。
2021年度は738件の応募があり、30件が優秀賞に選ばれ、その中から特別賞が6件、特許庁長官賞が1件選出された。
2022年3月には対面とオンラインのハイブリッド形式で表彰式も開催された。
【弁理士による解説】
パテントコンテストを受賞するための発明には、世の中を変えるような大発明であったり社会の仕組みに変革を起こすようなイノベーションが必要と思ってしまうかもしれないが、そのような事はなく、実際に受賞したものは普段の生活に役立つ生活必需品が多い。
具体的にはハンガー、包丁、割箸立、牛乳パック切断装置、フライ返し、洗濯物干し器具などが今年の受賞対象作品だ。
また、高専生が応募した過去の受賞作の中には特許出願後に商品化に成功し事業化まで達成した刃研ぎ器の事例もある。取得した特許権を「活用」するために複数の高専生がプロジェクトチームを結成し、マーケティングやブランディングを行ってビジネス化まで実現した社会人顔負けのケースだ。
令和4年度パテントコンテストの応募期間は6月27日〜9月30日で社会人経験のない高校生や大学生などであれば発明作品を応募することができる。特許や意匠に馴染みのない学生諸君もこの機会に発明思考を巡らせて応募にチャレンジしては如何だろうか。ほんの些細なアイデアが社会や人々の暮らしを豊かにできる知的財産に変わる可能性は十分にあるし、大発明家や起業家になる最初の一歩となるかもしれない。
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企業勤務弁理士。知財キャリア約20年。研究所勤務経験と発明者として特許出願・権利化の実績あり。
発明発掘から国内外権利化手続き、知財戦略立案など知財に関して幅広く活動してきました。
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