高等学校向けの「授業で使える知財創造教育コンテンツ」まとまる
【本記事の内容】
特許庁は、高校生向けの知財創造教育コンテンツ「SDGsと価値創造~探究の入口」を作成し公表した。特許庁ホームページ及び経済産業省「未来の教室」が運営するSTEAMライブラリーで閲覧が可能だ。本コンテンツは、高等学校の授業における知財創造教育の実践に活用できるもので、価値創造や知財創造と尊重という視点を含む内容になっている。
メインコンテンツ10個と補強コンテンツ4個からなり、学校の授業で活用しやすいよう、説明スライド・ワークシート・指導案から構成されている。SDGsに関連する事例紹介や知的財産のトピックを含む課題を生徒自身が設定し、解決していくための資質と能力の向上につなげる狙いがある。
なお、コンテンツは特許庁ホームページから無償でダウンロードが可能だ。
【弁理士による解説】
「知財創造教育」とは、新たな発見や思考の源泉となる創造性を育むとともに、知的財産の保護・活用の重要性に対する理解を図り、知的財産の創造・保護・活用までの知的創造サイクルを生み出す人材を育成するための教育に関するものだ。
小中高等学校及び高等専門学校における「知財創造教育」を推進することを目的として、「知財創造教育推進コンソーシアム」が設置され有識者による検討が進んでいる。
2021年3月には知財創造教育を取り巻く現状と課題、普及・実践に向けた具体的なアクションプラン、知財創造教育の普及・実践を担う推進基盤について取りまとめた報告書(「ニュー・ノーマルを担う 人材の育成に向けて ―知財創造教育の普及・実践―」)も公開されている。
山口大学や発明協会らが主体となって、具体的な取組みを地域主導で実施する「知財創造教育推進コンソーシアム」が立ち上がるなど、これらの取組みは着実に成果に繋がっている。
ただ、直近の検討委員会における議論では、コロナウイルス対応による教師の多忙化や長時間労働等、「知財創造教育」を実践する上での問題も明らかになっている。
今後はこのような問題に対応するため、各地域における知財創造教育の取組みの紹介、知財創造教育に取り組む教員同士のネットワーク整備や知財創造教育に関連する教材の普及推進などが予定されている。
知財人材を育成するためには、教育課程で知的財産の重要性を理解し、社会生活における知的財産の関係性を考える機会を増やすなど、幼少期から知財マインドを醸成する必要がある。「知財創造教育」が普及・浸透することで社会変革を担う「未来人材」が生まれることを期待したい。
●参考URL
企業勤務弁理士。知財キャリア約20年。研究所勤務経験と発明者として特許出願・権利化の実績あり。
発明発掘から国内外権利化手続き、知財戦略立案など知財に関して幅広く活動してきました。
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