「2022企業価値向上に資する知的財産活用事例集」が公開
【本記事の内容】
特許庁から「2022企業価値向上に資する知的財産活用事例集」が公開された。本事例集は、経営層と知財部門との間のコミュニケーションに着目して取りまとめたもので、知財・無形資産を活用した経営戦略を実践している国内企業の事例をヒアリング調査した内容がベースになっている。国内企業20社を対象として、具体的な取組みを「経営上の課題/中長期的な事業の方向性」、「成長戦略の事例」、「成長戦略の事例における知財戦略」、「経営層と知財部門とのコミュニケーション」、「知財戦略のステークホルダーへの開示について」の5項目に整理されている。巻頭には掲載事例全体の内容を整理したエグゼクティブサマリーが設けられているほか、各社毎に5項目の事例全体像を示す概念図が掲載されている。今後、全国47都道府県に設置されている「知財総合支援窓口」や経済産業局等の知的財産室において無料の冊子版が配布される予定だ。
【弁理士による解説】
欧米のテック企業では企業競争力の源泉が有形資産から知的財産権やデータ・情報を中心とした無形資産に着実に移行しつつある一方で、日本企業は知財・無形資産の投資・活用においてこれらの海外企業に後れを取っている。さらに、近年では欧米企業のみならずHUAWEIやSAMSUNGに代表される中国や韓国のグローバル企業における知財競争力が急速に高まっており、日本企業にとっては知財・無形資産の投資や活用により国際競争力を強化することが喫緊の課題だ。
知財・無形資産を活用した事業経営がされていないことや、経営層の知財経営への意識が低いといったことが要因の一つとして考えられるが、まずは日本企業の知財部門が経営層とコミュニケーションを密にとり、経営判断に欠かせない組織として位置付けられるよう成果を創出していく必要がある。
本事例集は知財経営を実践する上での課題や問題点を解決するためのキーポイントが凝縮されており、知財部門のみならず企業経営者も必見の内容になっている。
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企業勤務弁理士。知財キャリア約20年。研究所勤務経験と発明者として特許出願・権利化の実績あり。
発明発掘から国内外権利化手続き、知財戦略立案など知財に関して幅広く活動してきました。
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