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著作権法違反!?ファスト映画で逮捕ニュース -iP Times.-

ファスト映画 著作権

本記事の概要

2月15日、「ファスト映画」を動画投稿サイトにアップロードしたユーチューバーが著作権法違反の疑いで逮捕されるという事件があった。

「ファスト映画」とは、映画を見なくても作品のあらすじが分かるように、映画の内容をナレーション付きで10分程度に短く編集した動画だ。

逮捕された容疑者は、「パラサイト 半地下の家族」「君の名前で僕を呼んで」「パプリカ」などのファスト映画をYoutube上に無断で投稿し広告収入を得ていたという。

逮捕前には大手メディアの取材に対して「これで犯罪者扱いはおかしい」と主張していた。警察の事情聴取に対しては「引用の範囲内で違法ではないと思っていた」と容疑を否認しているという。

弁理士による解説

「ファスト映画」は以前から問題となっており、昨年6月には別の投稿グループが警察に摘発される事件が起きている。2月3日には漫画のあらすじを無断配信する「ネタバレサイト」を運営していた会社が著作権法違反で書類送検される類似事件もあった。

「ファスト映画」を作成し公開する行為は著作権法上、様々な点で問題になる。

​​オリジナル映画をDVD等から動画を抽出する行為(いわゆるリッピング)などは複製権侵害に、複製した映画を編集して短く編集したり、あらすじが分かるようにナレーションを挿入する行為は翻案権侵害や同一性保持権の侵害、ファスト映画をネット上に投稿することは公衆送信権の侵害に該当する可能性がある。

容疑者の「引用の範囲内で違法ではない」という主張についても、引用が適法といえるためには、『自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること』や「引用の目的上正当な範囲内」であることなどが必要である。

「ファスト映画」については、オリジナル映画を短縮等しているのみで主従関係は見出すことはできず、また「正当な範囲内」と言うことも困難であろう。

インターネット空間の発達により、誰もが簡単に動画やイラストを公開できる環境が整っている。著作権をはじめとした知的財産権を侵害することのないよう、個々人が権利意識を高める必要がある。

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