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特許の非公開制度は実現するか -iP Times.-

本記事の概要

政府は特許を非公開とする制度を導入する方針を固めた。

2月4日の経済安全保障推進会議において岸田首相は「新しい資本主義」の重要な柱の一つに「特許非公開制度」を挙げ、速やかに法整備すべきであると述べた。

2月25日「特許非公開制度」を含む経済安全保障推進法案が閣議決定され、今通常国会にて法制化される見通しである。

核兵器や先進武器技術などの安全保障の観点から必要と判断された特許出願が非公開の対象だ。これらの技術を公開することは国家や国民の安全を損なう恐れがあることから、技術流出を防止し、国外の脅威に利用されるのを未然に防ぐことを目的とした制度となる。

日本の特許法上、特許出願された発明は原則として1年6月経過後に公開されるが、法制化された場合、この原則が変わることになる。

弁理士による解説

特許の出願公開制度に関わる法理の一つに

「公開代償説」

がある。

「公開代償説」とは、発明の公開の代償として、一定期間、独占排他権(特許権)を国が付与するという説だ。

発明を特許権によって保護する根拠を説明する重要な定説であり、裁判例でも

  • 「特許制度は、発明を公開した者に対し、一定の期間その利用についての独占的な権利を付与することによって発明を奨励するとともに、第三者に対しても、この公開され た発明を利用する機会を与え、もって産業の発達に寄与しようとするものである。」

と判示されている(最判平成 11.4.16)。

「特許非公開制度」はこの考え方と相反する制度とも捉えられるが、他の先進国では同様の制度が既に導入されている。

G20(※1)諸国の中で同様の制度がないのは日本、メキシコ及びアルゼンチンだけの状況だ。

例えば、米国では「国家の安全を害するおそれがある場合」、英国では「国の安全保障が害される情報を含む場合」、ドイツでは「国家機密に当たる発明」に該当する場合には、特許を非公開とする制度がある。

我が国も所定の技術成果について公開代償の例外として非公開とし同様の制度を設けることは、国益や安全保障の観点から必要な措置であると考える。

一方で、軍事転用が可能な原子力技術やドローン技術の取り扱いなど、対象とすべき発明をどのように選定するのかといった課題も多い。

今後の具体的な制度設計と運用方針については引き続き注目すべきである。

※1:カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、欧州連合・欧州中央銀行を加えた20か国・地域

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