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弁理士が主人公の小説が「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」が”このミステリーがすごい!大賞”を受賞

本記事の概要

特許を題材とするミステリー小説「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」が、2022年第20回の「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した。

本作は女性弁理士の大鳳未来が、特許権侵害を警告された企業とVtuberを守るため、不利な状況から形勢逆転するために奔走する様をスリリングに描いた作品だ。

著者である南原詠氏の略歴によれば、東京都目黒区出身1980年生まれの元エンジニア。現在は企業内弁理士で本作がデビュー作となる。

弁理士による解説

「このミステリーはすごい!」は1988年創刊のブックランキングが記載されたブックガイドだ。ランキングは投票形式で選ばれ、2002年からは新人作家の作品を募集した『このミステリーがすごい!』大賞が創設されている。賞金として大賞作品には1200万円が贈呈される。

知的財産に関する書籍といえば、馴染みのない法律用語が頻発して極めて分かりにくい内容になるところ、本作は簡潔かつシンプルな表現により、一気に読み進めることができた。

堅苦しい法律用語を使用せず分かりやすい文章表現を多用した結果、知的財産に馴染みのない読者でも興味を持って読み進めることができるだろう。

その一方で、「専用実施権」「冒認出願」「職務発明」といった知財に関する重要論点が満載されているため、この辺りは素人にとっては専門的過ぎて分かり難い印象があった。

また、度々登場した「クレームチャート」は一般人には理解し難いという点や、当事者間でしか知ることができないライセンス契約書の内容が流出してしまうなど、現実世界ではあり得ない構成が残念な点であった。

ストーリー構成としては、VTuberが登場し収益源が動画配信の広告収入やスパチャ、投げ銭であったり、仮想現実、仮想空間の映像技術が関係するなど、今の時代を反映した斬新かつ旬な題材を採用している。

また、警告文を受領した際の臨場感やスピード感が忠実に表現されており、日頃から法律専門書や判決文に慣れ親しんでいる知財専門家でも十分に楽しめる内容の小説だ。

今後も特許権などの知的財産権や弁理士が題材となった小説、さらにはTVドラマ、映画がきっかけとなって知財業界が活性化することを期待したい。

●参考URL

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