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資産運用コンサルティングを対象としたビジネスモデルが特許を取得 -iP Times-

本記事の内容

2022年3月10日、株式会社ボルテックスは、特許出願していた同社基幹システムの発明が特許査定されたことを発表した。

特許発明の概要は、「区分所有オフィス」事業における投資シミュレーション関連発明であって、投資物件の損益予測、投資効果やリスク分析に関する内容だ。

この投資シミュレーションにより、最新情報に基づく投資成果と将来予測が可能となり、常に投資状況を把握することができるようだ。

同社は都心のオフィスビルをフロアごと、あるいは部屋ごとに分割して、リスクを低減した商品「区分所有オフィス」として販売している。

オフィスビルを1棟まるごと購入すると通常数十億の資金が必要になるが、同社の販売スキームであれば、購入資金を抑えることができる。また、売却する際も資金的なハードルが低いため、買い手を見つけ易く物件の流動性が高いというメリットもある。

従って、区分化されたオフィスは不動産賃貸事業や自社オフィスとして最適な資産対象になる。

なお、「区分所有オフィス」は株式会社ボルテックスの登録商標だ。

弁理士による解説

株式会社ボルテックスは1999年設立の企業財務の新しいソリューションを提供する会社だ。都心 5 区を中心とした商業ビルをフロアごとに分譲して販売するビジネスを展開している。

特許情報プラットフォーム「J-plat pat」を用いて同社が出願したと思われる特許を検索すると8件の出願が確認でき、うち5件が特許査定になっている。

2022年2月15日に特許査定になった発明の概要をみると、担当者の評価実績情報と顧客情報を機械学習させた評価モデルを用いて、案件を担当する候補者を選定する情報処理に関する内容だ。本発明により最適化された担当者の配置案が提示されるため、複数タスクが同時進行している場合に担当すべき候補者リストが作成されることで最適な要員配置が可能になるようだ。

また、2022年1月25日に特許査定になった発明は、不動産投資を予測する上で重要な金利の変動や減価償却費の情報を考慮して、区分事務所を投資対象とした場合の不動産投資の将来損益を明確にするというものだ。不動産物件の取得費用、修繕積立基金、専有部設備保証予算、区分所有収入、支出、販売価格、賃貸に関する財務諸表やキャッシュフローなどの情報をもとにシミュレーションし、重要な投資判断材料を提供できるというものだ。

同社の特許はそのほとんどが所謂ビジネスモデル特許といわれるもので、近年その出願件数は着実に増加傾向にある。特許の件数は少なくても、自社のビジネスモデルを特許で抑え、他社の模倣を阻止できれば、利益率の高い事業展開や顧客の囲い込みもできるだろう。

特許といえばモノづくり主体の製造メーカーだけが考えるものといった時代は終わりつつあり、コンサルティング企業、サービス業全般や金融業といった目に見えないサービスを提供する無形財産業も真剣に取り組む必要がある。

●参考URL

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