お月見がもっと楽しくなる!?中秋の名月にまつわる知財を調べてみた【身近な知財】
今年も中秋の名月の時期がやってきました。
みなさんは「中秋の名月」と聞いて何をイメージするでしょうか。ウサギ、お月見、団子など様々なものが浮かんできますね。
秋の風物詩であるお月見を巡って、気合を入れて商品開発をしている会社も少なくありません。
その結果どんなアイデアが生まれているのか?本記事では、中秋の名月にまつわる知財をいくつか紹介していきます。
目次
登録商標「中秋の名月」(登録4755967号)
なんと「中秋の名月」という名称自体が商標登録されていました。出願の内容はこちら。
商標権者は、カレーなどで有名な「新宿中村屋」を運営する「株式会社中村屋」です。2003年7月16日に出願され、翌年の3月12日に登録となりました。
第30類「菓子及びパン」の商品の範囲で権利を取得しているようです。
実際にどのような商品が販売されているのか、見てみました。
月餅の商品名に「中秋の名月」が使われていますね。
登録商標「芋名月/いもめいげつ」(登録1693795号)
旧暦8月の十五夜にサトイモなどの芋類を供える収穫儀礼があることから、中秋の名月は「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれます。
この「芋名月」も商標登録されていました。出願の内容は以下の通りです。
商標権者は、芋けんぴや塩けんぴの製造元「水車亭」を展開する「株式会社南国製菓」です。出願日は古く1981年3月13日で、1984年の6月21日に登録となりました。
権利範囲である商品は、登録商標「中秋の名月」と同様、第30類「菓子及びパン」です。
こちらも実際の商品を確認してみましょう。
カスタードクリームを包んだスポンジケーキの商品名として、「芋名月」が使われていました。5個入り、10個入り、15個入りの3種類から選べるようです。
月見のお供え物の定番・団子にまつわる知財
月見に欠かせないお供え物といえば月見団子ですね。お供え物から団子の数は減りますが、串団子で面白い知財を見つけたので紹介します。
串団子の意匠登録(登録1549233号)
以下が登録の内容です。
意匠権者は、みたらしだんごなどの和菓子を販売する「八雲だんご」の運営元、「株式会社丸八製菓」です。
願書の「意匠の説明」の欄には、「この意匠はスイカ果汁とごまを含む団子にチョコレートを被覆した串団子である。」との記載がありました。
果たしてこの商品は購入できるのか。八雲だんごのサイトを見てみました。
今年分の販売は終了しているようです。平均評価が5つ星中4.5という高評価を得ているだけに残念。来年の販売に期待しましょう!
「月見」バーガーに欠かせない存在・卵にまつわる知財
伝統的な月見のお供はススキと団子ですが、現代では「月見」バーガーも立派な秋の風物詩になっています。
そんな「月見」料理に必要不可欠な存在である卵についても、面白い知財が見つかりました。
スプーンの意匠登録(登録1724071号)
まずはこちらの意匠公報をご覧ください。
とても面白い形状をしたスプーンですよね。では、どのような場面で使えるスプーンなのでしょうか。
願書の「意匠に係る物品の説明」の欄を見てみると、「本物品は、卵の白身と黄身を分けることができるスプーンであり、主にお菓子作りなどで卵白と卵黄を別々の用途で調理する際に使用するものである。」との記載がありました。
なるほど。卵黄と卵白を分けるスプーンなのですね。
ちなみにこのスプーンは、特許庁などが主催の令和3年度デザインパテントコンテストにおいて日本弁理士会会長賞を受賞した作品でした。
実際の使用状態を表す図面では、黄身と白身がキレイに分かれている様子が分かります。
卵の黄身と白身を分けるスプーンは他にも存在しますが、これほどオシャレなデザインのものを私は見たことがありませんでした。
インターネット検索をした限りでは、販売している事実を確認できなかったので、購入できるのであればすぐにでも欲しいところです。
生食用鶏卵の生産方法の発明(特許5581409号)
卵に関する特許を探していたところ、「生食用鶏卵の生産方法(特許5581409号)」という発明が抽出されました。
特許権者は、鶏卵業界のリーディングカンパニー「JA全農たまご株式会社」と「全国農業協同組合連合会」の2社です。
糖蜜、魚粉、米油が黄金比のバランスで配合された養鶏飼料を養鶏に用いることにより、卵かけご飯に特に適した鶏卵を得ることができるという技術内容となっています。
JA全農たまご株式会社の公式ページを見ると、「とくたま」という卵の商品名で販売されていました。
ちなみに「とくたま」という商標も、第29類の「卵」の商品の範囲で、しっかりと登録されています(登録5982354)。
卵かけご飯好きの私としては、見逃せない商品でした。
まとめ
今年の中秋の名月は、2023年9月29日(金)です。
月見団子を飾って食べたり、ススキを飾ったりするかと思いますが、今回紹介した商標・意匠・特許に関連する商品を見たり買ってみたりしても良いでしょう。
それぞれの権利内容をチェックされたい方は、J-PlatPatから検索してみてください。
知財業界歴10年。 都内大手特許事務所勤務を経て、現在は一部上場企業の知財職に従事。 知財がより身近に感じる社会の実現に貢献すべく、知財系Webライターとしても活動中。
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