東急ハンズの新しいロゴ商標が出願された話-iP Times.-
(この記事は、2023年3月1日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆買い物好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
突然ですが、「株式会社ハンズ」ってご存知ですか?
ピンと来ないなという方も「東急ハンズ」と聞けば分かるのではないでしょうか。
今回はその「株式会社ハンズ」の新しい商標出願について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
今回出願されたのは、おしゃれなデザインのこちらです。
漢字の「手」をモチーフにしたデザインですね!
こちらの商標は、最近出願された商標を呟いて教えてくれるTwitterアカウント「商標速報bot」に紹介されていました。
この商標の出願人は「株式会社ハンズ」です。「東急ハンズ」という名の方が親しみ深いと感じる方が多いのではないかと思いますが、株式会社東急ハンズは東急グループから離脱し、2022年10月1日より「株式会社ハンズ」になりました。
そして10月26日よりブランド名も「東急ハンズ」から「ハンズ」に順次変更、ロゴも変更となったのです。東急から離脱した後は、株式会社カインズの子会社になるとのことでした。
株式会社ハンズによる2022年10月26日付けのニュースリリースはこちらです。
そしてこの商標の出願日は10月24日、ロゴ変更の2日前に出願されているんです!
この商標の出願時に選択された商品カテゴリ(出願区分)は、公開公報に記載されています。出願区分はこの商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
こちらの商標の出願区分は、ハンズに売っている商品が網羅されているのでは?と思うほどたくさん列挙されていて、数えたら45区分の全てが選択されていました。選択された指定商品を全て挙げたらキリがないので、ここでは説明を割愛しますが、気になる方は是非J-platpatで公報を確認してみてください。
なおこのように多くの商品を指定すると、特許庁から、それらの商品について「本当にその商標を使用するのか、または使用の予定があるのかを証明せよ」と言われる場合があります。
もし現在使用しておらず、その予定もない場合は拒絶理由通知が出されます。
つまりやみくもに多くの商品を指定してしまうと拒絶されやすくなったり、第三者に異議を申し立てられやすくなったりする可能性があるのです。これらの対応にかかる労力やコストを考えると、本当に使用する(あるいはその予定の)商品に絞って選択することが好ましいかもしれませんね。
他の出願も見てみよう
ところで、先程紹介した出願商標と同日には以下2つの商標も出願されていました。
ハンズビーとは、ハンズが提案するライフスタイルショップで、雑貨やファッション小物、ビューティー雑貨などを売っています。ちょっとしたプレゼントを探しに私もよく行くお店です。こちらの商標では出願区分として、第1〜35類を選択してありました。
ハンズラボは、ハンズの業務を支えるITソリューション企業です。ハンズではネット販売も行っているのでそちらのアクセス負荷軽減なども担っているそうです。こちらの商標の出願区分としては、第9類(水泳用耳栓ほか),第35類(広告業ほか),第42類(気象情報の提供ほか)が選択されていました。
「東急ハンズ」時代はどんなロゴ?今後どうなる?
では、変更前の「東急ハンズ」時代はこれら3つのロゴはどんなものだったのか?見ていきましょう。まずはメインの「東急ハンズ」さん。
お店の看板などでもよく見かけたマークですね。2002年に登録となっていました。この商標権の存続期間満了日は2032年1月18日ですが、公開公報に「分納満了日は2027年1月18日」とありました。
商標権は登録から10年が権利期間で、そして更新すれば10年ずつ永遠に権利期間を延長できる仕組みです。普通は10年毎に登録料を支払いますが、5年ずつ分納することもできます。ただ、後半5年分の支払いをしないとそこで権利が切れてしまうので要注意です。
特許庁から「もうすぐ更新時期ですよ」という連絡はきません。そのため、分納の際は期限管理をしっかりしておかないといけません。権利期間は10年だと思っていたのにうっかり権利が切れていた!ということにならないよう注意が必要です。
この商標も更新料を支払わなければ2027年で権利が切れるということですね。
緑色のイメージを持っていましたが、J-platpatで見つけたのは黒いロゴでした。出願区分が第35類だけだったのも新しい商標と異なっており、「あれ?おかしいな?」という印象です。こちらは2010年登録となっており、2030年1月15日に権利期間満了を迎えるとのことです。
こちらは2014年に登録となっており2024年3月20日に権利期間満了を迎えるとのことです。権利が切れるのが来年の3月ですのでもうすぐですね!
これら変更前の商標たちは、権利期間の経過後には更新をしない、という選択をするのかなと推測されます。
まとめ
今回出願された商標の今後の動向には注目ポイントが多くあります。しかしこの商標は2022年10月24日に出願されたばかりで、その登録の可否についての審査はまだ始まっていないようです。
今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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