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新しく商標出願された「すそいおんのおと」って何だろう?-iPTimes.-

(この記事は、2022年12月16日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆都市伝説好きの方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ

本記事のここがポイント!!

「すそいおんのおと」ってご存知ですか?
私は「水素イオン」の間違いかな?と思ったのですがそうではないようです。そして巷ではこの語の目撃情報が時々あがっています。
さて今回は、最近出願された「すそいおんのおと」について詳しく見ていきましょう。

「すそいおんのおと」とは?

私が初めて「すそいおん」という語を目にしたのはTwitterです。「すそいおんのおと」という語が商標出願されたという情報でした。

「すそいおん」って何だろう?と思いそのままTwitter上で調べていると、自動販売機の小銭投入口付近などにその文字の書かれたシールが貼られているケースがあるようでした。そしてその写真の投稿者も私同様、「すそいおんって何?」とつぶやいているのでした。

さらに「すそいおんのおと」についてネット検索してみました。しかし、公式ホームページを見ても水素イオンのことではなさそうという以外、よくわかりませんでした。

すそいおんのおと 公式ホームページより

公式HPにすら「何かわからない」って書いてあるんですね。

このサイトの中には、「すそいおん」と唱えることで外出時に雨が降らなかった、とか、体調が良くなった、など良いことが起きた!というような体験談がいくつか寄せられていました。

良いことが起きますように、というおまじないってことでしょうか。

では次にその「すそいおん」関連の商標について見ていきましょう。

誰が出願したの?区分は?

「すそいおんのおと」という語は、2022年10月18日に商標出願されました(商標出願第2022-119527)。説明のためこれを出願Iとします。

また、同日にはこちらのマークも出願されています。これを出願IIとします。

商標出願2022-119524号公報

これら商標の出願人は「アイノベックス株式会社」です。出願Iの商品カテゴリ(出願区分)第42類(科学に関する研究・試験及び分析)です。一方、出願IIの区分は第41類(科学技術に関する知識の教授,図書および記録の供覧,インターネットを利用して行う記録の供覧)となっています。

出願区分は、この商標を出願した会社がどんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。

そしてこれら出願I、IIの翌日(10月19日)には、出願IIと同じ第41類が選択された「すそいおんのおと」という語がまた出願されているんです(商標出願第2022-119815号)。これを出願Ⅲとします。

日本の商標出願は、一出願多区分制(同じ商標出願において、複数の区分を選択してよいこと)を採用しています。この制度を使うメリットデメリットについては後ほどお話しますね。

なぜ出願人は同じ語を区分違いで別出願にしたのでしょう?

「すそいおんのおと」だけでなく、「すそいおん」と言う商標も2つ出願されていました(商願2022-88758号と商願2022-119826号)。

2出願のうち前者は今月(2022年12月8日)に登録査定が出たばかりでした。後者は出願Ⅲ「すそいおんのおと」商標と同じ出願日(2022年10月19日)でした。こちらはまだ審査待ちの状態です。

登録査定が降りた「すそいおん」商標の出願区分は第42類(科学に関する研究・試験及び分析)で、これは10月18日に出願された出願Iの「すそいおんのおと」と同じ区分でした。

また後者の区分はこれまでとは異なり、第16類の包装用容器,包装用袋,文房具など、第18類のかばんなど、第25類の洋服でした。

【すそいおん関係の商標まとめ】

商標出願日区分
すそいおんのおと(商願2022-119527号)2022年10月18日第42類
すそいおんのおと※マーク(商願2022-119524号)2022年10月18日第41類
すそいおんのおと(商願2022-119815号)2022年10月19日第41類
すそいおん(商願2022-88758号)2022年8月1日第42類
すそいおん(商願2022-119826号)2022年10月19日第16類

一出願多区分とするか、別出願にするか?

ではここで同じ商標を区分が違えど一つの出願にまとめる場合のメリット、デメリットをみていきたいと思います。

メリットその①は、出願関連費用を抑えられることです。出願費用は以下の通りです。

特許庁のサイト産業財産権関係料金一覧より

なお、国内特許庁への出願に関する費用や登録料は、こちらのページで計算することができます。出願を特許事務所等に頼む場合、区分ごとに別出願にすると、その手数料も出願毎にかかる可能性があります。

メリットその②は、更新の手続きをまとめられることです。区分ごとに別出願とした場合、登録更新などの手続きをそれぞれ行う必要があります。さらに登録日が違えばスケジュール管理も煩雑になるでしょう。

一方で、出願をひとつにまとめるデメリットもあります

複数選択した区分のうち、一部の区分の指定商品・役務のみに拒絶理由があると、拒絶理由がない区分についても商標登録が遅れたり、一緒に拒絶されたりする場合があります。

拒絶理由を指摘された区分は変更する、或いは削除することができますが、補正→再審査という手間がかかる分、登録までに時間がかかるのです。また、もし補正後も拒絶理由が解消されていないと、拒絶理由のない本来登録されるべき区分も含めて全体が拒絶されてしまいます。

当然のことながら、拒絶された区分を削除すると、その区分では権利化できなくなります。拒絶された区分でもどうしても権利が欲しい場合は、拒絶理由のある指定商品・役務を拒絶理由のないものから分割して出願し直し、また始めから審査をしてもらうのが一般的です(分割出願)。

分割出願では通常の出願と同程度の費用がかかるため、それなら最初から別々に出願しておいた方が手間もかからないし安くすんだのに!となるでしょう。

つまり、権利化が難しそうな区分がある場合は、その区分だけ別出願とすることも戦略の一つなのです。

このようにメリットデメリットを考えると、今回出願人が同じ語を区分違いで別出願にしたのは、何かしらの意図があったのかなと推測されます。

まとめ

今回紹介した「すそいおんのおと」という商標は、この語そのものが何なのかも気になりますし、登録されるのかなど今後の動向もとても気になりますね。

これらが登録になったか気になる方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。

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