「そらそうよ」という語が商標出願された話-iPTimes.-
(この記事は、2022年12月24日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆野球の好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
突然ですが、「そらそうよ」って誰の口癖だかご存じですか?
野球ファンの方ならもしかしたら「あぁ、あの人ね」とすぐに分かるかもしれませんね。
さて今回は最近出願されたこの商標について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。2022年12月8日のこのつぶやきは6000件以上もリツイートされていました。まさに「バズって」ますね!
また「アレ」とか「おーん」といった語は出願されないのか?というようなコメントも寄せられていましたよ。
この商標の出願人は「株式会社阪神タイガース」です。
阪神タイガースということは、野球の選手の口癖なんですかね?
さらに細かく見ていきましょう。「そらそうよ」とネット検索すると、すぐに答えが見つかりました。
岡田監督の口ぐせだったんですか!
岡田監督といえば、来季(2023シーズン)に15年ぶりに監督として復帰するそうですよね。
出願の意図は?
ここで、どうして阪神タイガース・岡田監督の口癖を商標出願したのかについて推測していきたいと思います。出願意図を探るために重要になってくるのは商標出願の際に記載事項の一つである「出願区分」です。
出願区分はこの商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かり、つまり商品のカテゴリのことです。そしてこの商標の出願区分は第24類(織物ほか),第25類(被服ほか),第35類(広告業ほか),第41類(野球の教授ほか)です。
織物や被服ということは、「そらそうよ」Tシャツなどのグッズ販売をイメージしているのでしょうか。それから広告という区分も何となくイメージがつきます。
「野球の教授」、これは何でしょう?
スポーツに関して「〇〇の教授」というのは、そのスポーツの教室運営や大会運営のためにその商標を使用する際などによく申請される区分です。例えばスポーツクラブの場合は「スポーツの教授」、サッカー教室の場合は「サッカーの教授」などです。年始の恒例イベントである「箱根駅伝(商標登録第5903377号)」は、第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授」という区分でも申請されています。
しかし今回の「そらそうよ」出願、単に阪神タイガースからグッズ販売するため等のものというわけではなさそうなんです。
というのも以前「阪神優勝」という商標を阪神タイガースとは関係ない個人が出願して商標権を取得し、商標使用料も請求するという事がありました。
この商標は一度登録となったものの、無効になりました。無効となったのは「この商標が用いられた商品は、阪神タイガース又は阪神タイガースより許諾を受けた業者による商品かのように混同を生じさせるおそれがある」などの理由からでした。
この商標が無効になっても、あくまでもこの模様付きのマークが無効となっただけです。そのため阪神タイガースが文字通り「優勝」した場合、球団側やニュース、新聞などで「阪神優勝」という語は使用することかできます。
今回の「そらそうよ」の出願は「阪神優勝」商標事件のように、他人に出願されてしまう前に、先手を打つためのものとも考えられますね。
まとめ
「そらそうよ」の商標出願の今後の動向が気になりますね。そして岡田監督の他の口癖についても今後出願されることがあるのか、とても気になります。2023年のプロ野球も楽しみで仕方がありません!
「そらそうよ」の商標は出願されたばかりで、まだ登録の可否についての審査は始まっていないようです。今回の出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
あなたの技術に強い弁理士をご紹介!