最近商標出願された「宇宙」という語、その製品が気になる。-iPTimes.-
(この記事は、2023年1月7日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆近未来への憧れがある方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
先日、「宇宙」という語が商標出願されました。
出願人は何のためにこのスケールの大きな語を出願したのでしょう?一般的な言葉でも登録されることはあるのでしょうか?
さて今回は最近出願されたこの商標について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。このつぶやきに対しては、「これって登録になるの?」や、「宇宙征服しようとしているのか?」などのコメントが寄せられていました。
また、この商標の出願人は「ディプロモード株式会社」でした。
今回の出願の商品カテゴリ(出願区分)は第25類(被服,ティーシャツ,ワイシャツ類)です。
出願区分はこの商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
宇宙服を作っている会社なのでしょうか?それとも宇宙っていうロゴが書かれたTシャツを販売するとか?
ひとまず出願区分から見ても宇宙征服が目的ではなさそうなので、一安心です。
出願人について詳しく
今回の出願人「ディプロモード株式会社」、この会社について調べてみると東レ株式会社のグループ社、東レインターナショナル株式会社が100%の株主となっていました。
東レといえば最先端素材など化学分野に強いイメージがあるかと思います。そしてこのディプロモード株式会社も、最先端の素材を用いた機能的な衣服を開発するアパレルメーカーのようです。
例えば、JAXA・東レ共同開発技術も入った先端素材の服「MOON-TECH®Tシャツ」も発売されていました。
こちらは国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士の被服向けに開発された消臭機能など、様々な機能を備えています。そしてこの「ムーンテック」という語は既に商標登録されていました。
ここで宇宙やJAXAといった言葉も出てきましたね。
今回の出願は、宇宙用素材を用いた高機能な被服の販売を目的としているのかもしれませんね!
そもそも「宇宙」って登録できるの?
さて、「宇宙」っていう語は一般的な語ですが登録可能なのでしょうか?
今回の出願とは別の出願区分ですが、出願され登録されている商標をいくつか見つけました。
例えばこちらは「株式会社宇宙」による商標で、区分は第16類の印刷物、第36類の奨学金の給付・貸付け・管理など、第41類の映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営などが選択されていました。
なお一般的な語の商標の例として、「アルミニウム」に使用するために「アルミニウム」や「アルミ」という語を出願した場合は登録不可です。このように一般的な語(普通名称)を普通に用いられる方法で使うための商標出願は登録できません。
他にも、一般的あるいは慣用されている語について登録の制限はいくつかあります。他の商品・サービスなどとの区別がつきにくく混乱を生じさせる可能性があるからです。
例えば、単に商品の産地等のみを表示する商標(例えば「東京」という名のお菓子)や、ありふれた氏名(山田、スズキ、WATANABE、田中屋、佐藤商店など)も登録できません。
その他詳しくは特許庁のサイトに記載されていますのでこちらをご確認ください。
これらの条件をクリアできれば「宇宙」も登録可能なんですね!
まとめ
新たな商標出願「宇宙」の今後の動向には注目ポイントが多くあります。しかしこの商標は2022年10月に出願されたばかりで、まだ登録の可否についての審査は始まっていないようです。
今回の出願が登録になったかどうか知りたい方は、J-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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