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「東京科学大学」という語が商標出願された話-iPTimes.-

(この記事は、2023年3月19日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆新しい情報に敏感な方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ

本記事のここがポイント!!

突然ですが「東京科学大学」って聞いたことありますか?先日こちらの語が商標出願されました。
今回はこの商標出願について詳しく見ていきましょう。

どんな出願?

今回出願されたのはこちらです。

商標速報botより

こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。この投稿は約900件もリツイートされていました。またこの投稿に対して、この大学名が「なんとなくしっくりこない」というような内容のコメントがいくつか挙げられていました。

今回出願された商標の出願人は「国立大学法人 東京工業大学」です。2023年01月19日付のニュースリリースによると、2024年度をめどに東京工業大学は「国立大学法人 東京医科歯科大学」と統合を目指しており、統合後の新しい大学名を「東京科学大学(英語表記:Institute of Science Tokyo)」(仮称)とすると発表しました。

「東京科学大学」の商標はこのリリースより1週間ほど前の1月12日に出願されています。またこの出願と同日には関連の商標もいくつか出願されていました。例えばこちらです。

商標速報botより

これは「東京科学大学」の英語表記ですね。

商標速報botより

こちらは「東京科学大学」を短くしたバージョンですね。先ほど紹介したニュースリリースによれば「東京科学大学」の略称は「科学大」で、その英語表記は調整中とあります。

これら商標の商品カテゴリ(出願区分)は、第1類(化学品ほか)、第3類(家庭用帯電防止剤ほか)、第5類(薬剤ほか)、第9類(電池ほか)、第10類(医療用指サックほか)、第14類(貴金属ほか)、第16類(家庭用食品包装フィルムほか)、第18類(蹄鉄ほか)、第21類(デンタルフロスほか)、第25類(被服ほか)、第28類(遊園地用機械器具ほか)、第30類(茶ほか)、第32類(ビールほか)、第33類(清酒ほか)、第35類(広告業ほか)、第41類(大学における教授ほか)、第42類(気象情報・地震情報・津波情報の提供に関する指導・助言ほか)、第43類(宿泊施設の提供ほか)、第44類(美容ほか)でした。

出願区分はこの商標の出願人が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。

出願区分が多岐にわたっていますね。たしかに大学の購買では色々な大学のグッズが売られています。そういったものにも新しい大学名等を載せる予定なのかもしれません。

出願人は複数にできる?

今回の出願では、2つの大学の統合ですので両校を出願人とすることもできました(共同出願といいます)。しかし今回は、出願人に東京医科歯科大が入っていないですね。

なお出願「人」という名前がついていますが、個人でなく会社や団体であっても出願人になることができます。

商標の共同出願には、メリット、デメリットがありますので簡単にご紹介します。

まず、メリットは1.費用を折半できる、2.拒絶対応などの際にアイデアを出し合える、3.期限管理を共に行えば徒過を防げる可能性が高くなる、などです。

そして共同出願のデメリットは1.出願後に出願内容を変更したいときに共有者全員の同意を得なくてはならない、2.利益の分配や手続き費用について後でもめる可能性がある、などです。

共同出願のときには、このような揉め事が起きないように出願前に細部まで契約を交わしておくことが大事です。

今回の出願では、東工大が代表で出願しています。あくまでも推測ですが、統合して東京科学大になったら出願人を「国立大学法人東京科学大学」と名義変更する約束ができているのかもしれませんね。

東京工業大学の、他の商標もみてみよう!

ところで、大学による商標出願は大学名のほかにいったいどういったものがあるのでしょうか。特許庁の検索サイトJ-platpatから「国立大学法人東京工業大学」と入力してみるとたくさん商標出願されていることがわかりました。可愛らしいものも見つけたのでご紹介しますね。

こちらのキャラクターは2017年11月2日に登録されています。

登録商標第5993457号公報より

かわいらしいキャラクターですね。一体どんなときに使われる商標なのでしょうか?

こちらの商標の出願区分は第41類 (オンラインによる通信教育など)でした。東工大のマスコットキャラクターなのかな?と思い、ネットで「東工大 キャラクター」と検索してみました。すると、こちらのキャラクターがヒットしました。

工大祭実行委員会ウエブサイトより

こちらは2011年の大学祭(工大祭)の公式マスコットキャラクター「テックちゃん」です。テックちゃんはTwitterのアカウントも持っておりこちらでそのつぶやきを見ることができます。

こちらもかわいらしいキャラクターですが先ほどの登録商標とは異なりますね。
「テックちゃん」自身は、J-platplatを検索してみてもヒットしてこなかったため商標出願はされていなさそうです。

では先ほどの登録商標はいったい何でしょうか。こちらのニュースリリースをご覧ください。このニュースによればこちらのキャラクターは「大岡山さくら」という名前だそうです。東工大は目黒区大岡山にキャンパスを構えていますものね。「大岡山さくら」さんは、インターネット環境があれば誰でも受講できる大規模公開オンライン講座(MOOC(ムーク))の「電気電子工学入門講座」のガイド役を務めています。

こちらのサイトからメールアドレスなどを登録すると、この講座を覗くことができましたよ。英語と日本語の両方の動画がありましたので両方見ると英語の勉強にもなるかもしれません。内容としては高1、大学1年生向けのものとのことです。またこちらには民法やプログラミング等、他の分野の講座も掲載されていました。

大学が無償で提供しているオンライン講座があるって今回初めて知りました。素敵な取り組みですね。一見難しそうな内容の講座もかわいいキャラクターと一緒になら楽しく学べそうです!

まとめ

今回出願された「東京科学大学」の商標は出願されたばかりで、その登録の可否についての審査はまだ始まっていないようです。

今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。

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