いけだ自動車からトヨタ自動車そっくりなロゴが商標出願された話-iPTimes.-
(この記事は、2023年4月5日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆乗り物好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
先日、「いけだ自動車」から「トヨタ自動車」のロゴによく似た商標が出願されました。
果たしてこれは登録されるのでしょうか?今回はこの商標出願について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
今回出願されたのはこちらです。
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。この投稿に対して「これはアウト」や「トヨタにそっくり」といったコメントもある一方で、「事業所の場所や取り扱い車種から考えて、無関係ではなさそう、打ち合わせ済みの出願だといいな」といったコメントが挙げられていました。
またこの出願の同日にはこちらの商標も出願されていました。
これら商標の出願人「有限会社いけだ自動車」は、愛知県安城市にある自動車の整備や点検などを行う会社です。
そしてこの商標の商品カテゴリ(出願区分)は、第35類(中古自動車その他の自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供ほか), 第37類(自動車の修理又は整備でした。
出願区分はこの商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
そして、最初に紹介したロゴの商標が、下のトヨタ自動車さんの登録商標にとっても似ている気がするのです。
ほら、似てますよね?
トヨタさんのお膝元である愛知で車を扱う会社が、勝手に似ているロゴを使っているとは考えにくいですが、許可を得てのことなのか、あるいは業務提携などしているのでしょうか。
こちらのトヨタさんの登録商標は2011年に出願され、2013年6月28日に登録されています。そして公報には登録商標第1387043号の防護標章登録第44号とありました。
ここで出てきた「防護」って一体何でしょう?
登録商標第1387043号自体は、実は1979年に登録されている同一の商標(マーク)なんです。
以下では防護標章について詳しく見ていきましょう。
防護標章制度とは?
簡単にいうと、有名な商標を広く保護しよう!という制度です。具体的には、有名な登録商標について、指定した商品・役務(サービス)以外であっても、第三者による出願や使用から守るためのものです。詳しくは特許庁によるこちらの説明をご覧ください。
先程紹介したように、トヨタさんの登録商標第1387043号は、防護標章登録されています。例えば、この商標と同じものが第三者によって牛乳のパッケージに印刷され売られていたとしましょう。その場合、「この牛乳ってあのトヨタ自動車が作ってるの?」と消費者が勘違いしてしまいますよね。そのためこの牛乳についても商標権侵害だとしたいわけです。
ということは、今回のいけだ自動車さんの商標も「防護商標登録制度」により登録不可!となるのでしょうか。
とっても似ている商標ですが同一ではない点が、難しいところかなと思います。
先程リンクを貼った特許庁の表では商標が「類似」しており、かつ指定商品で「非類似」の場合は保護の範囲外とあります。
ただし商標の類似の程度によっては、やはり消費者を混同させる恐れがあるので「侵害だ」と認められる場合もあります。
いけだ自動車のロゴは、特許庁審査官によりどのように判断されるか、気になるところです。
まとめ
今回出願された「イケダジドウシャ」商標は出願されたばかりで、その登録の可否についての審査はまだ始まっていないようです。
今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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