新たな「aiwa」という語の商標出願について-iPTimes.-
(この記事は、2023年5月1日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆家電が好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
先日、「aiwa」と言う語が商標出願されました。「aiwa」と聞いて懐かしいなぁと思う方も多いのではないでしょうか。
今回はこの新たな商標出願について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
今回出願されたのはこちらの商標です。
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。
この商標の出願人は「アイワ株式会社」です。
この投稿を見た時、あれ、アイワさんって無くなったのでは?と思いました。
会社概要を見てみると、2017年4月11日設立と書いてありました。しかしグローバルページをみてみると、「AIWA has been developing products … since 1951 in Japan.」とありました。
やっぱり1951年創業ですね。私の知っている家電メーカーのアイワさんでした!我が家にもラジカセがありましたよ。
アイワさんは、創業後1961年にソニーのグループ会社となるものの、2008年に商品の製造を一度終了しています。しかし一部のオーディオファンからは復活を希望する声があがっていました。
その後2017年に秋田県に本社を置く十和田オーディオが、aiwaの商標権を取得、日本で2代目アイワ株式会社を設立しました。
新しい「アイワ」の出願意図は?
では、今回の出願はどういった意図があるのでしょうか。推測してみたいと思います。その意図を探るために着目すべきは、出願された商標の商品カテゴリ(出願区分)や指定商品・役務です。
出願区分や指定商品・役務は、この商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
今回出願された商標の出願区分は第15類、指定商品は楽器,電子楽器でした。
アイワさんは、新たに電子楽器などを販売する予定なのかもしれませんね。
実はこの商標、他の区分では既にたくさん出願されており登録となっているのです。
例えば、こちらの登録商標第2643462号は、出願区分や指定商品として、第9類の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池が選択されています(1991年出願)。
この出願はアイワさんが新しくなる前のものですね。
アイワさんには、ラジカセなどのオーディオ機器メーカーというイメージがある方が多いかと思います。しかし、新しいアイワさんからはスマートフォンやスマートウォッチなども販売されているのをご存知だったでしょうか。
スマートフォンやスマートウォッチは出願区分でいうと第9類です。これらは先程紹介した登録商標第2643462号の指定商品として直接的には記載されていません(1991年当時はまだスマホなどなかったですものね)。またスマホなどを指定商品に選んだ商標も他に見つけることができませんでした。
しかしこの登録商標ではスマホやスマートウォッチを示す類似群コード11C01が選ばれています。
類似群コードとは、審査のために各指定商品・役務(サービス)に付けられたコードのことで、数字とアルファベットの組み合わせ5桁(例えば11C01)から構成されます。
同じ類似群コードの商品や役務については、お互いに似ているものと推定されて審査されます。より詳しくは特許庁のサイトに掲載されています。また出願区分や、商品・役務のコード一覧は、こちらの一覧をご参照ください。
スマホなどを販売するにあたっては、1991年出願のこの商標があるので、新たな出願は不要と判断したのかもしれませんね。
まとめ
今回紹介した「aiwa」商標は、出願されたばかりでまだ登録の可否についての審査は始まっていないようです。今後の動向から目が離せませんね。またアイワさんから今後どのような商品が発売されるのかにも注目したいです。
今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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