なにかと話題の「コオロギ食」の関連商標が出願された話-iPTimes.-

(この記事は、2023年5月15日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆食通な方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
今、ちまたで話題の「コオロギ食」ですが、先日こちらの関連商標が出願されました。
今回はこの新たな商標出願について詳しく見ていきましょう。
なお、筆者が昆虫がものすごく苦手なため、本記事では昆虫の写真は出てきません。
虫の好きな方も苦手な方も気軽にお読みくださいね!
どんな出願?
ところで、コオロギって食べたことありますか?
イナゴの佃煮なら聞いたことありますが、ちょっと虫を食べるのは私は遠慮したいところです。
そもそも、なぜコオロギ食が話題になっているのかを簡単におさらいしていきましょう。
従来より、昨今の食料危機対策として昆虫食など新たな食料資源の開発は進められていました。そして2022年の11月に徳島県内の県立高校で、コオロギパウダー等を用いたお惣菜が給食で試食として出されました。これも食糧危機やSDGsといった教育の一環で行われたものでした。
しかし、コオロギを食べることに心理的な嫌悪をおぼえる人からは、「子供に食べさせるな」「給食にして全員に食べさせたのか」といったクレームが相次いだということです。
給食と聞くと食べたい人だけが食べるのではなく、みんな食べよう!という感じになりますものね。
実際は給食とは言っても、この学校では学食なような形をとっているため希望した生徒や職員のみが口にしたようです。
そして2023年1月23日に出願された「コオロギ食」関連の商標はこちらです。

この商標の出願人は東京の調布市にある「株式会社MNH」です。社名のMNHは「M(みんなで)N(日本を)H(HAPPY)に」というコンセプトの頭文字を取ったものだそうで、SDGsに貢献する製品を製造、販売している会社です。
今回出願された商標の商品カテゴリ(出願区分)と指定商品は、第29類 食用コオロギ(生きているものを除く。),食用コオロギを主原料とする加工品,加工済み食用コオロギ,代用肉を主材とする惣菜,代用肉を主材とする肉製品,代用肉,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。) でした。
出願区分や指定商品はこの商標を出願した会社が、どんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
指定商品に「食用コオロギ」を選んでいますね!
同社の他の出願も見てみよう
先程紹介した「THEコオロギMEAT」のロゴは、株式会社MNHのウェブサイトを探したものの、見つけることはできませんでした。
しかし同社は「未来コオロギ」シリーズとして、「とにかく食べやすく、親しみやすいコオロギフード」を開発しているようです。また「未来コオロギスナックや、姿のままの乾燥コオロギに味付けをしたコオロギオツマミなど」も開発しているということでした。
実はこの「未来コオロギ」という語、株式会社MNHにより2018年に商標出願、その後登録されているんです(登録第6021139号)。出願区分は第29類食用コオロギ(生きているものを除く。)と、第30類菓子及びパン、です。
「コオロギMEAT」の関連商標はもっと色々ありそうですね!
特許庁の検索サイトJ-platpatで出願人を「株式会社MNH」として検索をかけてみました。すると「スーパーコオロギ(登録第6019774号)」、「コオロギガチャ(登録第6587421号)」、「コオロギボール(登録第6589281号)」といった語が登録されていることが分かりました。
さらに株式会社MNHの商品を調べてみると、これらの登録商標がどんな商品のためのものなのかを見つけることができましたよ。

こちらが「スーパーコオロギ」です。七味しょうゆ味のおせんべいということですね。
(コオロギという点を除けば)おつまみに合いそうだし美味しそう!
続いて「コオロギガチャ」です。名前の通りガチャの景品として出てくるため、ボールのような形状です。

こちらは段ボールのカプセルを作っている株式会社ペパポンと株式会社MNHのコラボ商品です。段ボール製のカプセルの中に味のついた食用の乾燥コオロギが入っているとのこと。
外見はかわいいけど、中身はコオロギです!

商品名は「エコプロテイン コオロギボール」のようです。このページの説明によれば、「大豆」+「きなこ」+「コオロギパウダー」でできた、環境とカラダに優しいお菓子だそうです。
これは老舗の豆菓子店「徳永製菓」さんとのコラボ商品で、コオロギパウダーがたくさんはいっているので高プロテイン!だそうですよ。
コオロギってプロテイン豊富なんですね。天然物ですし身体にいいのかも?
昆虫食専門の通販サイトがあったことにも衝撃を受けました!それだけ注目されている食材ということですね。
しかし虫が苦手な方は興味本位でトップページを見ないことをおすすめします。
まとめ
今回紹介した「THEコオロギMEAT」商標の今後の動向には注目ポイントが多くあります。今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。


特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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