Menu

「📖運動療法」という商標が登録された話-iPTimes.-

(この記事は、2023年5月22日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆健康志向な方へ
☆今話題の商標出願に興味がある方へ

本記事のここがポイント!!

先日、「📖運動療法」が商標登録されました。これに対してこれまで患者に運動療法をしてきた理学療法士さん達から、「運動療法をすると権利侵害になってしまうの?」という心配の声があがりました。
今回はこの商標について詳しく見ていきましょう。

どんな出願?

今回紹介する商標はこちらです。

商標登録第6683984号公報より

本記事ではこの商標を単なる単語としての「運動療法」と区別するために、「📖運動療法」と表します。

そもそも、「運動療法」って何でしょうか?

運動療法とは、障害や疾患の治療を運動により行うことです。広く様々な病院やリハビリ施設などで行われている療法で、例えば、肥満解消のためにウォーキングをする治療も運動療法です。詳しくこちらのサイトにも説明されています。

出願人は?

では、この商標の権利を取得したのは誰なのか?あるいはどんな会社なのか?をみていきましょう。

この商標の出願人は「株式会社メディカルブックジャパン」で、2023年1月18日に出願されました。

この会社は、理学療法士の松田 圭太さんが代表取締役を務めており、整体院や、運動療法を独自でアレンジした施術法(MSMメソッド)のコーチング、コンサルティングセミナーの運営等をしています。また動画サイトYouTubeでも独自のチャンネルを持っており、腰痛の治療法などを配信しています。

なお、この「MSMメソッド(登録商標第6659497号)」の語も商標登録されているんです。

権利侵害となるのはどんなとき?

この商標が登録されたことにより、普段から運動療法を行っている人や施設、病院は権利侵害をしていることになってしまうのでしょうか?

それはないのでご安心ください。そもそもそんな商標は登録にならないでしょう。

「運動療法」という語はたしかに一般に広く使われている言葉です。商標法では一般的な名前(これを普通名称といいます)を普通に用いられる方法で使おうとする商標は登録できません(商標法第3条第1項第1号)。詳しくは特許庁の普通名称の審査基準にもかかれています。

「運動療法」って一般的な語なのに、今回の商標はどうして登録できたんですか?

今回の商標も、「運動療法」という語そのままを、運動療法をして商売するために出願した場合、登録は難しかったと思います。

でも今回の商標は一番最初に本のマークが付いていますね。だから登録できたのだと考えられます!

ではこのマーク付き運動療法の商標を他人が使った場合は権利侵害っていうことでしょうか。

この商標を使った場合というだけでなく、さらにもう一つ条件がつきます。それは出願人が選択した出願区分や指定商品・役務の範囲内で使用した場合、ということです。

商標出願の際は、どの分野でこの商標を使うのかを指定して出願します。これを指定商品・指定役務といいます。またそれらがどのカテゴリーに属するのか大まかに分けたもの出願区分といい、第1類から第45類まであります。

この商標の出願区分と指定商品・役務を見ていきましょう。

出願区分(指定役務)は第41類(技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,運動用具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,写真の撮影,カメラの貸与,光学機械器具の貸与)、第44類(医療情報の提供,健康診断,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,美容,理容,入浴施設の提供,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与)です。

つまり、例えばマークつき「📖運動療法」を44類の整体のお仕事のために勝手に使ったら権利侵害だ!と言われてしまうでしょう。

関連記事

【商標の区分】第41類を徹底解説!

【商標の区分】第44類を徹底解説!

まとめ

今回紹介した商標は2023年03月24日に登録されたばかりで、現在は「これは登録されるべきじゃなかった!」と異議申立ができる期間となっています。

異議申立は誰でも所定の手続きを踏めば可能ですので、今後誰かがする可能性も否定できません。今後の動向に注目していきたいですね!

特許事務所・知財部の専門求人サイト「知財HR」
タグ
特許の取得は弁理士に相談!
あなたの技術に強い弁理士をご紹介!