オリンピック商標シリーズ(8)〜北京オリンピックマスコット編〜ビンドゥンドゥンはパクリ?-iP Times.-
(この記事は、2022年2月15日に商標専門弁理士が作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆北京マスコットキャラクターの「ビンドゥンドゥン」について知りたい方へ
☆著作権の侵害要件をざっと確認したい方へ
本記事のここがポイント!!
・著作権法の見落としがちなポイントについて、カンタンに要件を整理してみましょう!
ビンドゥンドゥンはパクリなのか?
オリンピック開催にともない、オリンピックに関連する事項を取り上げるシリーズ企画第8弾!!今回は、北京オリンピックマスコット編となります。
オリンピックの開催時には、新たなマスコットキャラクターが製作され、大会期間中にシンボルとして使用するのが一般的ですよね。しかし、マスコット等がパクリなのではないか?という声は、たびたび発生するものであり、今回もそのような声が上がっているようです。
今回は、パクリと言える要素の一部は何かを解説していきます。
ただし、本記事ではパクリか否かを一刀両断するわけではなく、その基本となる考え方の一部をみなさまにお示ししたいと考えています。
(引用:知的財産保護· 日本代表選手等の肖像使用について https://www.joc.or.jp/games/olympic/beijing_winter/pdf/marketing_guideline.pdf)
問題となっているのは、赤枠で囲ったパンダのキャラクター「ビンドゥンドゥン」になります。
こちらがあるキャラクターと酷似しているとの情報がちらほら記載されておりました。個人的には似ていないようにも思えるのですが、実際のところどうなんでしょう。。。
まず、このパクリ問題で難しいのが、権利を持っている側というのはとかく自分の権利を広く考えがちということです。著作物だけでなく商標などでも、この考えは頻繁に起こりえます。
日々商標の相談を受けている筆者も、似ているから警告して欲しいと言われた商標が「全く似ていない!」と判断したことも1度や2度ではありません。
客観的な視点に立つというのはそれだけ難しいことのようです。
著作権侵害の重要な要件とは?
ズバリ「依拠性」(いきょせい)というものです。
これは、模倣した著作物の存在を知っていたかどうかという要素です。
つまり、全く存在を知らないところから、たまたま同じまたは似ている著作物が出来てしまったという場合著作権侵害にはならないということです。
これは極めて重要なところで、特許や商標と明確な違いがあるところです。
商標については登録商標を使用した時点で基本的に侵害が成立し、知らなかったと言うことを証明しても意味がありません。
しかし、著作権法では、「依拠」したかまでを必要とします。
つまり、ここで表面上の似てる似てないを議論したところでそれほど意味をなさないということです。
まとめ
マスコットキャラクターに罪はない。しかし、スポーツ競技と同じで、ルールを守ることは何より大事なことである。
弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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