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なろう系原作のアニメの商標権者は誰?【転スラ・ルプなな・無職転生】

(この記事は、2024年1月30日に作成したものです。)

人気作品も多いなろう系の作品について商標視点で調べてみました。
商業化デビューする人も増えていますので、参考にしてみてください。

2024年になり、アニメ業界も新しい作品の放送が一通り開始されました。

最近のアニメ作品の潮流として、いわゆる「なろう系」が必ず出てきています。なろう系の定義は様々ですが、「小説家になろう」という投稿サイトにアップされた作品や、「小説家になろう」で人気となったジャンル(いわゆる異世界転生もの、悪役令嬢ものなど)の作品を指すのが一般的。

『転生したらスライムだった件(通称:転スラ)』や『Re:ゼロから始める異世界生活(通称:リゼロ)』といった作品は、多くの人が耳にしたことがあるのでは?

今回は、この「なろう系」作品について、商標権者や区分を調べてみたいと思います。作家デビューを目指す人などにもぜひ参考に読んでいただければ幸いです。

ちなみに取り上げる作品は3作とも2024年1月ないし4月からアニメ放送されます。

転生したらスライムだった件

なろう系といえばまず名前のあがるこちらの作品。

◇作品サイト: 【公式】「転生したらスライムだった件」ポータルサイト

作品が投稿開始されたのが2013年で、翌年から商業化し書籍化・アニメ化・コミカライズなど、各種メディアミックスが展開されるようになりました。

しかし商標出願されたのは比較的最近のようです。どういったきっかけで出願に至ったのかが気になるところですね。

また、略称表記である転スラについても出願している点が特徴的です。

登録番号:第6335627号
出願日 :令和1(2019)年 12月 2日
区分  :9,41
権利者 :株式会社講談社

登録番号:第6335628号
出願日 :令和1(2019)年 12月 2日
区分  :9,41
権利者 :株式会社講談社

登録番号:第6518769号
出願日 :令和3(2021)年 5月 18日
区分  :9,28
権利者 :株式会社講談社

登録番号:第6518770号
出願日 :令和3(2021)年 5月 18日
区分  :9,28
権利者 :株式会社講談社

ここまで見て、転スラに詳しい人ならアレ?と思うかもしれません。

本件商標の権利者は講談社になっていますが、小説版の出版元はマイクロマガジン社、コミックの版元は講談社です。

なぜ講談社が商標権者になっているかを推察しますと、基本的に書籍の題号は商標登録できませんので、マイクロマガジン社は商標取得には動かなかったものと思われます。

そしてアニメ化にあたっては製作委員会方式がとられており、アニメ化等の企画と権利関係の担当として講談社が中心になった、そのために商標権も講談社の管理となっているものと思われます。

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ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

小説家になろうには、転スラのようなハイファンタジー以外の作品も多くあります。こちらは2024年1月よりアニメがスタートした恋愛小説ジャンルの作品で、いわゆる悪役令嬢ものです。

◇作品ページ:ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する|株式会社オーバーラップ

投稿開始および商業化は2020年からのようです。

商標の区分も多いことから、メディアミックスや商品展開を見越しての出願に思います。

ただし作品名が長いので、各種展開の際には略称が活用されることも増えそうですね。記事作成時点では、略称「ルプなな」は商標出願されていないようです。

登録番号:第6536186号
出願日:令和3(2021)年 5月 31日
区分 :9,14,16,24,25,28,35,41
権利者:株式会社オーバーラップ

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

2012年から投稿され始めた本作。なろう系の代表作のひとつでもあります。

◇作品リンク:無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 特設ページ | MFブックス

商業化は2014年から始められ、2021年にアニメの第1クールが、2024年4月から第2クールが放送される人気作です。

作品人気を受けてか、商標区分も様々取られています。転スラの区分数と比較すると一目瞭然ですね。余談ですが『無職転生』と『転生したらスライムだった件』は小説家になろう上だと同程度の人気を誇っています。

登録番号:第6233481号
出願日 :平成31(2019)年 4月 5日
区分  :9,16,28,41
権利者 :株式会社KADOKAWA

まとめ

総じて、小説の出版段階では商標出願はされておらず、メディアミックスが加速した段階での商標出願が行われていると思われます。

しかし、基本的にはタイトルだけでの出願になっており、転スラのような略称まで取得しているケースはまれなようです。

そもそも、小説のタイトルは商標取得が不要と考えるのが一般的です。
とはいえメディアミックスやグッズ展開が行われる場合については、権利化が必要とされます。
商標権の取得にあたっては、メディアミックス(主にアニメ化)の中心となる企業が担当しているものと思われます。
企画を担う企業は、多角的な事業展開を見越してより早期に出願するのも一案と言えるでしょう。

またAIによる動画作成の自動化なども進んでいますから、創作者自身がメディアミックスを主導する時代が来るかもしれません。その際は、こういった必要な知的財産権についても学ぶ必要がありますね。

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