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音の商標が日本で始まって約10年。今の出願動向は?

(この記事は、2024年9月23日に作成したものです。)

音の商標が日本で認められるようになって約10年が経過しました。これまでの出願-登録動向を調査してみました。

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音の商標出願数の推移

データベース:J-PlatPat
調査対象:音の商標※2024.09.07時点でのデータ

音の商標は2015年に商標法が改正されたことで、正式に出願できるようになりました。ちなみに2015年以前もマドプロ経由での出願実績はあるものの、登録には至っていません。

この結果、2015年には大幅な出願増加が見られ、ピーク時には年間367件の出願が確認されています。

しかし、その後の年次では急激に出願数が減少し、2016年には34件、2017年には81件と、出願数が安定的に減少している傾向があります。最新の2024年では、わずか15件まで減少しています。

このような急激な出願減少の要因として、初期の段階で企業がブランドの一部として音の商標を活用しようと一気に出願したことが考えられます。

しかし音の商標は、活用が難しいことや登録に至らないケースも多いことから、出願数は減少しているものと考えられます。

出願年別ステータス分析

データベース:J-PlatPat
調査対象:音の商標※2024.09.07時点でのデータ

各商標のステータスを見ると、2015年の出願では236件が「拒絶/取s下/放棄/却下又は無効」となっている一方、129件が「登録」されていることがわかります。

これにより、音の商標の権利化が厳しい現状が伺えます。

一方2016年以降の出願では、前述の通り、出願数自体は大幅に減少したものの「登録」された商標の比率としては高いものとなりました。

審査実績も増えて、出願側も選りすぐった音の商標のみを出願しているものと考えられます。

音の商標の活用は難しい?

登録されているものの多くは、CMに使われている音源や、その際に社名やブランド名を読み上げるものが多くあります。

こういった出願は、音の観点でブランド名を保護することにつながります。

ビオレ

特に、アルファベット表記の社名・ブランド名の場合、読み方が難しく、ばらついてしまうこともあります。音の形で広め、保護することはブランド構築の上で重要な要素です。

参考:商標登録第5805052号”ビオレ”
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2015-029889/40/ja

※ラストの「ビオレ」箇所が音の商標として登録されている部分

海外とのビジネスの多い企業こそ、こういった視点は重要であり、現在こういった取り組みをされていない場合は、ぜひご検討されてはいかがでしょうか。

WAON

また、名称を含むものだけでなく、電子機器の起動音や操作音でブラディングするということも重要です。

事例としては、WAONによる支払時の音源などがこれに当たります。

参考:商標登録第5984020号”ワオン”
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2015-029881/40/ja

WAONの支払時における音は、顧客体験とも密接にかかわっています。

こういった観点での商標登録を積極的に行うことで、体験自体を差別化し、ブランド価値の向上につながるものと考えられます。

今回は、商標の出願動向について調査をしてみました。
現在は、出願数が下火となっていますが、海外展開をする企業・ブランドや、顧客体験の中で発生する音については、積極的に出願を行う価値が高いと思われます。
ぜひご検討いただければと思います。

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