意外と身近な音商標!具体例も併せて徹底解説!
この記事では、音の商標をできるだけわかりやすく解説しています。
商標=難解。そんなイメージを覆すつもりで、現役弁理士が書いていますので、しっかり学んでいきましょう〜。
そもそもなんで音が「商標」なの?
A:「音」「音声」で、どの会社・企業の商品やサービスであるか、一般の人が認知できるから。
「商標」というのは、商品サービスの目印です。
皆さんの何気なーい日常生活でも、この「目印」を結構活用していますよ!
- 独特な緑のマークを頼りに、スタバに入ってコーヒーを飲み、りんごの形を確認しつつ、アップル製品を見つけ、食欲をそそる黄色と赤色の看板を見て、ふらっとデニーズで食事をするわけです。
それら目印がないと、特定の商品サービスに迷うことなく辿り着くのはなかなか困難になるわけです。
緑の看板で、日本で大人気のコーヒーチェーン店で、店員さんが親切で、
サードプレイスとか言われてて、これを一言でズバッと「スターバックス」と言えるのが
- 「ブランド」=「商標」ということになります。
そして、本題の「音」です。
CMの最初や最後に企業のキャッチフレーズなどが独特のリズムとともに流れますよね。
あれが、一番身近な音商標です(すべてが音商標として登録されているわけではありません)。
そうすると、皆さん「あっ、あの会社だ」と認識できることになります。
その「あっ、あの会社だ」「あっ、あの商品だ」というのが商標の基本的な機能なのです
(ちょっと難しい言葉で、「商標の出所表示機能」と言います。)
音が商標として認められる様になったのは、世界各国で「デジタルコンテンツ」保護の要請が高まったことも挙げられます。
それこそネットのない時代は、紙のチラシ、お店の看板、商品パッケージなど、「物」に付されるものが商標でした。
でも、現代ではそのようなことはなく、物ではない「音」が商標となりうるので、それを保護しようとなったと言えます。
また特許庁は国際的な趨勢(空気を読む機関)なので、世界各国で保護対象としようとしているものについて、日本国特許庁だけ保護対象としないということはなかなかできない。
日本人的空気を読むがここでもうまーく表されていますね!
(引用:特許庁資料:新しいタイプの商標に関する 新しいタイプの商標に関する 海外主要国・地域における 実態について)
上記資料によると、主要国の音商標を含めた新しいタイプの商標の保護がどれくらいから検討されていたのかがわかります。
例えば、ドイツは1996年に既に新しいタイプの商標の保護を図っていた。それを考えると、日本は遅いくらいということもわかります。
どんなものを音商標として登録すべき?
A: 商品サービス名やそれらのコンセプト、経営理念などを、音をつけて示したもの
これは、基本的に文字やロゴの商標と変わりません。
商品やサービス名、経営理念など、宣伝したいもの、そしてそれを真似されたくないと思えば、積極的に登録を検討しましょう。
特に、商標というのは真似が容易なものです。
例えば、商品などの物は盗まれた時点で、「あ、盗まれた」と大体は気付きますよね?
でも、商標は比較的「真似された、パクられた」が、気づきにくいのです。
要は、商標権というのは他人から侵害を受けやすいものであると言えます。
よって、知らぬ間にその音の商標が使用されていたということがないようにしっかりとした保護が必要なのです。
具体的には下記のようなものは積極的に音商標で保護することをお勧めします。
- 企業のサウンドロゴ・キャッチコピー
- デジタルコンテンツ内で使用する特徴的な音
- デバイス/電子機器などで使用する特徴的な音
デジタルコンテンツでいうと今なら、Youtubeの冒頭の挨拶を商標登録するなんて、どうでしょう?
Youtubeを観ていると、皆さん動画の初めに、グループ名や自身の名を音とともに宣伝していますよね。
Youtubeでの動画配信も立派な商標法上のサービスですから(41類オンラインによる映像の提供)、要件が整えば、登録可能ですよ。
一番有名なので、♪ヒカキンティービーエブリデーイですかね!!
音商標を登録するメリット
音商標を登録は
- 「真似されない」
- 「真似されたら使用しないでください」
と言えることが主なメリットです。
企業のキャッチコピーやサウンドロゴなど、音によって消費者にブランドを認知させるものは、しっかりと商標をして模倣品を排除する必要があります。
商標登録は、著作権などと違って自然に保護されるものではありません。
「保護してください」と特許庁へ申請をして(商標登録出願)、許可されたら(登録査定)、はれて登録商標となり、他人に使用しないで(差止請求権の行使)ということができます。
これから動画や音声アプリなどで、どんどん増える「音のマーク」。
しっかりと保護を図っていきましょう!
これは知ってる?音商標の登録例
ある日の休日、私は大好きな「松屋」で牛丼を食べました。その後、大好きな「ファミリーマート」でお菓子をたくさん買い込んで、ぽりぽり食べながら大好きな漫画を「めちゃコミック」で読む、あー幸せ!!!
あ、そうそう。これらのお店、企業のキャッチコピーやフレーズは全て音商標として登録されています。
ね?意外と音商標って身近にあるでしょ?
企業のキャッチコピーの例
松屋の音商標
商標登録第5903788号
「みんなのしょくたくでありたいまつや」
ファミリーマートの音商標
商標登録第5984036号
「あなたとコンビニファミリーマート」
株式会社アムタスの音商標
商標登録第6176207号
「めちゃコミックー」
大正製薬の音商標
商標登録第5985746号
ラッパ音
大正製薬のラッパ音からなる胃腸薬の音商標も有名。
こちらは苦労の末登録がされました。なんと2年6か月の時間をかけて登録されています。
音商標は他の商標に比べて登録のハードルが高いことがわかります。
ゲームの音商標!最強法務部も敗れる音商標の難しさ
知財業界でも、「最強」として業界人を震え上がらせている「任天堂法務部」。
但し、彼らも「音商標」については、苦渋の舐めた経験があるのです。
それに立ちはだかるは、知財の番人・特許庁!!
そんな彼らの戦いを簡単にご紹介!!
任天堂音商標の登録断念
30代から40代男性なら、誰もがやったであろうゲーム「スーパーマリオ」。いや、筆者も当時スーパーファミコンでやったなー。指が変色するくらいやって、ご飯もそっちのけでやるもんだから、親に怒られ……っと、話がそれてしまった音商標の話だった!
最強任天堂法務部は、そのマリオによく使用されているゲーム内の「チャリーン」というコインを取った時の音を音商標として登録しようとした。しかし、これは特許庁から「ダメ」と言われてしまったのです(登録不可)。
大幸薬品もなかなかの苦戦を強いられる
商標登録第5985746号
ラッパ音
あと、有名どころでは、あのラッパの音からなる胃腸薬の音商標も有名。こちらは苦労の末、登録がされました。なんと苦節2年6か月、いやーお疲れ様でした!
知財の番人・特許庁はなぜ登録を認めないのか?
A:一般人や他の企業が使用する場合を考慮しているため
特許庁は何も意地悪で、最強任天堂法務部の登録を認めなかったわけではないんだ。
特許庁は、これを登録すると、この音が皆使用できなくなるのは、経済活動に支障が生じるかもと考えたのです。
例えば、上で例示した「松屋」。
「みんなのしょくたくでありたいまつや」。これはリズムの独特で、かつ歌詞も付いている。そうだとすると、一人に独占的な使用を認めても良さそうですよね。
でも、最強任天堂法務部が登録しようとしたのは、みじかーい「チャリーン」という音。これは日常生活にも活用されうるし、あまりにも短すぎる、かつ歌詞も付いていない。であれば、登録を認めるのはやめておこうとなってしまったわけなんですね〜。
口ずさむとまさか侵害!?どうすると侵害になる?
A:口ずさむくらいでは侵害にはならない。但し、サークルの出店・個人の屋台などで企業の登録商標の音商標を勝手に使用すると侵害の可能性が高まる。
商標権の侵害には、「業として」という要件がある。
まあ、簡単に言うと、商売に使ったらダメということ。
つまり、例えば、口ずさんだり、仲間内で遊んでいる時に音として流すくらいであれば、全く問題がない。
ただ、高校の文化祭や大学サークルの出店で音商標を流して商品を売る、道端で勝手に音商標を流してサービス提供するとなると、形式的には侵害になってしまう可能性が出てくる。
(実際には、この程度では大企業が何か言ってくることは想定しにくいけど、最悪懲役もありうるよ。)
まとめ
以上いかがでしたしょうか。
音商標は新しくできた商標の種類ですが、今後ビジネスを行う上で非常に重要な権利です。
商標登録を行う際には、音商標もしっかりと抑えておくべきでしょう。
特に
- 企業のサウンドロゴ・キャッチコピー
- デジタルコンテンツ内で使用する特徴的な音
- デバイス/電子機器などで使用する特徴的な音
はしっかりと音も商標登録しておきましょう。
取得の難易度の高い音商標は、(R)スピード商標登録申請が非常におすすめです。
原田国際特許商標事務所は、難しいと言われていた商標も粘り強く取得まで導いています!
何名もの弁理士から取れないといわれていた、商標「展示会営業」ついても審査官と粘り強く交渉をして取得してくれました。
もし、原田先生がいなければ、展示会営業に(R)マークをつけることはできませんでした。
(参照:https://shohyo-shinsei.com/voice)
費用は相場の約半額で、経験豊富な弁理士が商標の取得をサポートしてくれます!
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弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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