商標の種類とは?種類や役割をわかりやすく解説!
商標登録には種類や指定役務・区分など、とってわかりずらい専門用語があります。
基本的に商標登録は弁理士に依頼をするので、すべてを理解する必要はありませんが、弁理士と相談する前にある程度理解をしておくと依頼がスムーズに進みます。
本記事では、商標の”種類”とはという所を簡単に解説しています。
弁理士相談の前にしっかりと確認をしておきましょう!
商標とは
商標の種類を説明する前に、そもそも商標とは何かという事をざっくり理解しておく必要があります。
商標とは商品やサービスを認識するための、識別標識です。
特許庁では商標は下記のように定義しています。
- 商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)
(特許庁HP:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai08.html)
簡単に言うと、人が「これはOOの商品だ」と識別するためのもの(できるもの)が商標として登録できます。
人は文字やロゴ、CMの歌やパッケージなど、様々なもので商品やサービスを認識するように、商標にはさまざま種類が存在します。
商標法で定められている種類
商標法では、下記の商標が商標の種類として定められています。
- 文字商標
- 図形商標
- 記号商標
- 立体商標
- 結合商標
- 動きの商標 (平成27年に追加)
- ホログラム商標 (平成27年に追加)
- 色彩のみからなる商標 (平成27年に追加)
- 音商標 (平成27年に追加)
- 位置商標 (平成27年に追加)
下記ではそれぞれの解説と具体例を紹介していきます。
文字商標
文字商標とは、文字のみで形成される商標のことを指します。
ここで言う文字とは
- カタカナ
- ひらがな
- 漢字
- ローマ字
- 数字等
のことです。
最もオーソドックスな商標の種類で、基本的に文字商標は取得しておく企業が多いです。
文字商標の具体例
(出典:JplatPat:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1997-142986/0342688B30689D74A4FC7731CC877439676C017A874B25853A55E76A067B6811/40/ja)
文字商標について詳しい説明はこちらの記事で解説しています。
→文字商標とは?具体例も合わせて解説!
図形商標
図形商標とは簡単にいうと、ロゴやキャラクターなどの商標のことを指します。
ロゴを持つ企業は文字商標と併せて取得するケースが多いです。
図形商標は大きく分けると
- (1)図形のみからなるもの(シンボルマーク・キャラクター)
- (2)図形と文字の結合商標(ロゴマーク)
- (3)文字を図案化した商標(ロゴタイプ)
の3種類です。
少しわかりずらいですが、具体例を見るとイメージがわくと思います。
図形商標の具体例
(1)図形のみからなるもの
商標登録第4734266号
(2)図形と文字の結合商標
商標登録第3296027号
(3)文字を図案化した商標
商標登録第1201532号
図形商標だけでも3種類に分岐するので、すべて取得するとなると費用がかなり掛かります。
どこまで保護すべきかは、弁理士と相談して判断しましょう。
図形商標に関しての詳細はこちら
→図形商標とは?現役知財部員が文字商標との違いも解説します!
キャラクターも図形商標に分類されます。
キャラクターの商標登録についてはこちらをご覧ください。
→キャラクターはどうやって保護したらよい?米国弁護士・弁理士が解説!
→キャラクターは商標登録すべき?現役弁理士がお答えします!
記号商標
記号商標とは「暖簾(のれん)記号、文字を図案化し組み合わせた記号、記号的な紋章」のことをいいます。
具体的には企業のロゴなどが記号商標に含まれます。
図形商標に関しての詳細はこちら
→記号商標とは?現役弁理士が解説します!
記号商標の具体例!図形商標との違いは?
図形商標との区別がしずらいかと思いますが、図形商標は「写実的なものから図案化したもの」と特許庁は定義しています。
例えば三井物産のロゴは記号商標に分類されます。
商標登録第3143903号
一方でクロネコヤマトのロゴは写実的なものを図案化しているとみなされるので、図形商標に分類されます。
商標登録第588235号
立体商標
立体商標とは、立体的な形状をしたもので、商品やサービスを識別する力を持つ物が登録できる商標のことです。
例えばユニークな形状をした商品があるとします。
その商品の形状を見ただけでユーザーがあのブランドだとわかるようなものに関しては、立体商標を取れるということです。
店前に置く人形・銅像や、特徴的な商品のパッケージなどが該当します。
立体商標に関しての詳細はこちら
→立体商標とは?具体例も一緒に解説します!
立体商標の具体例
ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダース人形の形状は、立体商標として登録されています。
カーネルサンダース人形を店舗の前に設置することで、カーネルサンダース人形を見た人は、この店舗が「ケンタッキー・フライド・チキンだ」と判断できるため、商標として登録できた事例になります。
商標登録第4153602号
結合商標
結合商標とは、文字、図形、記号、立体的形状等が結合して構成される商標です。
例えば、以下のような商標が例として挙げられます。
- 文字×文字
- 文字×図形
- 図形×図形
- 文字×立体的形状
結合商標は二つ以上の種類の掛け合わせで登録を行いますが、両方の種類を権利として保護できるメリットがあります。
結合商標に関しての詳細はこちら
→結合商標とは?文字商標との違いも解説!
結合商標の具体例
上記の図形商標の例でも紹介しましたが、下記の花王の商標は文字×図形の結合商標です。
商標登録第3296027号
動きの商標
動きの商標とは文字や図形が、時間の経過に伴って変化する一連の様子を権利として保護することのできる商標です。
テレビやデジタルデバイス上で、動きをつけながら変化するロゴなどは動きの商標で保護することができます。
動きの商標の具体例
ワコールのロゴは動きの商標で登録をしています。
つぼみの形状のロゴが、花が開くように展開していく一連の流れを商標として登録しています。
商標登録第 5804316 号
ホログラム商標
ホログラム商標とは文字や図形を、ホログラフィーやその他の方法によって変化する商標のことを指します。
ホログラム商標の具体例
三井住友カード株式会社のプレミアムギフトカードのロゴはホログラム商標として登録しています。
上記のロゴは見る角度によって色が変わるようになっていますが、変化する一連の色味を商標として登録しています。
色彩のみからなる商標
色彩のみからなる商標とは、
- 単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等に色彩が付されたものではない商標)であって、輪郭なく使用できるもののこと
と特許庁は定義してます。
例えば色の組み合わせだけで、「あの商品だ!」と認識できるものは商標として登録できる可能性があります。
色彩のみからなる商標の具体例
例えばMONO消しゴムで有名な株式会社トンボ鉛筆は、色彩のみからなる商標を取得しています。
確かに下記の色の組み合わせだけで、MONO消しゴムを連想させることができるので、商標として登録できたのだと推測されます。
音商標
音商標は「音」「音声」で、どの会社・企業の商品やサービスであるか、一般の人が認知できるものを登録することができます。
主に
- 効果音
- サウンドロゴ
などが音商標として登録可能です。
音商標に関しての詳細はこちら
→意外と身近な音商標!具体例も併せて徹底解説!
音商標の具体例
ファミリーマートのサウンドロゴである「あなたとコンビに、ファミリーマート」は商標として登録されています。
商標登録第5984036号
位置商標
位置商標とは図形等を、商品等に付す位置が特定される商標のことをいいます。
「この配列はOOの商品だ!」と連想されることのできるものは商標として登録可能です。
位置商標の具体例
有名なものでいうと、プレイステーションのコントローラーが挙げられます。
商標登録第 5858802 号
出願は種類ごとしなくてはならない
商標登録の際は、種類ごとで出願をする必要があります。
例えば、「知財タイムズ」という文字と、知財タイムズのロゴの両方を保護したい場合は、文字商標と図形商標の両方を出願する必要があります。
この際費用は、2出願分発生します。
※費用についてはこちらの記事で解説をしています。
→商標登録の費用をかんたん解説!
登録していない種類は、商標権侵害を訴えられない?
先ほど解説した通り、登録している種類のものしか権利として保護されないので、侵害として訴えるにはしっかりと商標登録をしている必要があります。
ロゴを持つ企業や商品ブランドは、名前(文字)とロゴ(図形)両方を登録しておくケースが多いです。
商標の種類は時代に応じて変わっていく?
平成27年に法改正があり、5つの種類が商標として追加されました。
商標法は世の中の流れに応じて改正されていきます。
平成27年の法改正も、デジタルコンテンツなどの普及により、ホログラムや音、動きなどが商標としての役割を果たすケースが増えてきたからだと言えるでしょう。
例えば音商標を例にとると、デジタルコンテンツの普及により、音が消費者に及ぼす影響力は確実に強くなっています。
テレビやデジタル広告で流れるCMソングや、ゲームで使用される特徴的な効果音など、その音を聞いただけで「あの商品だ!」と思い浮かぶものはたくさんあると思います。
そうなると、企業がその”音”を権利として守りたくなるのは必然的です。
このような時代やニーズの変化に応じて、商標法は随時改正されていきます。
商標登録はしっかりしておこう!
商標登録は早いもの勝ちです。
商標には様々な種類がありますが、自社の状況に合わせて最適な種類の商標を取得しておきましょう。
商標登録は種類を決めるだけではなく、指定役務など決めなくてはならないことが他にもあります。
しっかりと権利を守るためにも、商標登録は弁理士に依頼をしましょう!
商標登録の関連記事
まずは気軽に無料相談を!