結合商標とは?文字商標との違いも解説!
結合商標って色んな種類があるけど、全部結合商標として理解していいの?等と、結合商標がよくわからないという方もいると思います。
結合商標と文字商標との違いを知っておかないと、他社が同じような商品を販売してきたりした時に、商標を取得していても、何も主張できないという可能性があります。
本記事では、結合商標について簡単に説明いたします。
概略をつかんだら、後は弁理士にお任せで大丈夫です!
知財タイムズでは、結合商標について詳しい特許事務所をご紹介していますので、お気軽にお問合せください。
そもそも商標とは?
商標とは、商品やサービスを結びついて、成立します。
例えば、商標「コストコ」×サービス「スーパーマーケット」です。この例の場合、スーパーマーケットで商標が登録されてしまうと、「コストコ」以外の会社は、スーパーマーケットに「コストコ」という名称を付与することはできません。
結合商標とは
結合商標とは、文字、図形、記号、立体的形状等が結合して構成される商標です。
例えば、以下のような商標が例として挙げられます。
- 文字×文字
- 図形×図形
- 文字×立体的形状
文字×文字の事例①
商標登録第4980735号
漢字とひらがなの結合商標になります。
文字×文字の事例①
商標登録第第4277577号
図形と文字の結合商標になります。文字は、英語とカタカナの両方が記載されています。
図形×図形の事例
商標登録第5211605号
図形と図形の結合商標になります。リスの図形が2匹、左右に配置されています。
文字×立体的形状の事例
第4133867号
文字と立体的形状の結合商標になります。
上記のように、色んな組み合わせで結合商標が存在します。
結合商標と文字商標の違い
文字×図形で構成される結合商標とその結合商標で使われた文字商標との違いについてご説明します。
具体例があった方がイメージがつきやすいので、具体例を記載した上で、説明します。
例えば、「アンパンマン」という文字商標
と、「アンパンマン」という文字と図形(キャラクター)の結合商標
とで比較してみます。
以下のケースが3つ考えられます。
ケース1
他社が文字で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という文字商標で出願した場合、「アンパンマン」という文字が記載されているので、商標権の範囲となります。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、文字商標と同様に「アンパンマン」という文字が記載されているので、商標権の範囲となります。
ケース2
他社が図形で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という文字商標で出願した場合、「アンパンマン」という文字が記載されていないため、商標権の範囲外になります。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、その図形を使用しているということで、商標権の範囲となります。
ケース3
他社が文字と図形で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という文字商標で出願した場合、「アンパンマン」という文字が記載されているため、商標権の範囲となります。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、文字と図形が記載されているため、商標権の範囲となります。
つまり、結合商標を出願した場合は文字商標を出願した場合と比較しても、他社が文字又は図形を使用した場合、商標権の主張をすることが可能となります。
ただし、結合商標は、文字と図形の両方を同時に使用していないと、不使用取り消し審判をかけられるリスクがありますので、文字しか使用しない又は図形しか使用しない場合は、結合商標ではなく、文字商標で出願した方が良いです。
文字(ブランド名など)と図形(ロゴなど)両方使用している場合は結合商標は両方カバー可能!
どっちかしか使っていない場合は、個別に出願しよう!
結合商標と図形商標の違い
文字×図形で構成される結合商標とその結合商標で使われた図形商標との違いについて説明します。
具体例があった方がイメージがつきやすいので、具体例を記載した上で、説明いたします。
例えば、「アンパンマン」という文字商標
と、「アンパンマン」という文字と図形(キャラクター)の結合商標
とで比較してみます。
以下の3つのケースが考えられます。
ケース1
他社が文字で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という図形商標で出願した場合、「アンパンマン」という文字が記載されているので、商標権の範囲外となります。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、「アンパンマン」という図形が記載されているので、商標権の範囲となります。
ケース2
他社が図形で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という図形商標で出願した場合、「アンパンマン」という図形が記載されているため、商標権の範囲になります。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、その図形を使用しているということで、商標権の範囲となります。
ケース3
他社が文字と図形で「アンパンマン」を使用してきた場合を説明します。
「アンパンマン」という図形商標で出願した場合、「アンパンマン」という図形が記載されているため、商標権の範囲といえます。対して、「アンパンマン」という文字と図形の結合商標で出願した場合、文字と図形が記載されているため、商標権の範囲といえます。
つまり、「結合商標と文字商標との違い」でも記載した内容と同様に、結合商標を出願した場合は図形商標を出願した場合と比較しても、他社が文字又は図形を使用した場合、商標権の主張をすることが可能となります。
結合商標を取得するメリット
結合商標と文字商標の違い、結合商標と図形商標との違いでも記載しましたが、結合商標は複数の要素(文字、図形、立体的形状等)が使用されているため、他社にその中の一要素が使用された場合でも商標権の範囲内といえます。そのため、他社に対する牽制は、文字商標や図形商標よりも結合商標の方が広いです。
結合商標を取得するときのポイント
文字×文字で構成される結合商標の場合、結合商標での調査も必要ですが、その結合商標を構成する文字の調査も必要です。
また、文字と文字との結合態様についても、一体不可分で表現されているのか、字体が共通しているのか。図形と文字がどのように表現されているか等により異なるため、これらを勘案した上で、どのような内容で商標を出願するか検討する必要があります。
結合商標の類否判断
結合商標の類否判断について説明します。
結合商標の全体を観察することにより、外観、称呼又は観念の3要素に基づいて類否判断をするのが原則です。
しかし,結合商標における結合状態によっては,複数の要素が一体不可分(一連一体)ではなく、一部分が抽出される場合があります。一体不可分の場合は、結合商標全体を通じて、類否判断を行います。
以下、第1の文字と第2の文字から構成される結合商標を基に説明します。
(1)外観について
結合状態については、第1の文字と第2の文字が「色彩」「種類」「字体」「大きさ」等の表示態様が著しく相違する場合は、各々の文字が独立した商標として判断されます。対して、全体としてまとまりがある場合は、一体不可分として判断されます。
(2)称呼について
結合状態については、第1の文字が特に顕著であり、第2の文字が簡略化される可能性がある場合は、第1の文字のみを抽出して、独立した商標として判断されます。
また、第1の文字と第2文字が格別冗長なものではなく一体不可分として淀みなく称呼することができる場合は、全体としてまとまりがある結合商標と判断されます。対して、冗長であり淀みなく称呼することが困難な場合は、第1の文字と第2の文字は各々独立した商標として判断されます。
(3)観念について
結合状態については、言葉の性質によって、一体不可分の造語として判断されます。例えば、「君」「さん」「ちゃん」「ミスター」「ミセス」等を付加することにより、擬人化を図る場合は、一体不可分の造語として判断されるため、結合商標として判断されます。
また、識別力を有さない文字と結合する場合も同様です。識別力が有する文字を抽出して、この文字を商標として判断します。なお、審査基準では、「形容詞的文字(商品の品質,原材料等を表示する文字,又は役務の提供の場所,質等を表示する文字)を有する結合商標は,原則として,それが付加結合されていない商標と類似する。」と記載されており、例えば、「スーパー」や「高級」等が該当します。
結合商標の要部認定
要部について説明します。
外観・称呼・観念で対比する際において、商標の「要部」を抽出して、これらを対比するという作業を行います。
商標を構成する文字のうち、消費者が注意を惹く部分とそうではない部分があります。例えば、ハウスメーカーの商標として、「○○ハウス」とあれば、「ハウス」の部分は消費者が注意を惹く部分ではありません。従って、「○○」の部分が要部になります。商標では、この要部が類似していると、商標権の範囲内となり、商標権の侵害と主張することができます。
結合商標においては、以下のように要部を認定いたします。
(1)識別力を有さない文字と識別力を有する文字が結合している場合
識別力を有する文字が要部に該当します。
(2)識別力が有さない文字(例えば、第1の文字と第2の文字)が結合している場合
第1の文字又は第2の文字と独立して文字として抽出するのではなく、一体不可分の文字が要部に該当します。
(3)識別力を有する文字と識別力を有する文字(例えば、第1の文字と第2の文字)が結合している場合
結合の状態により、第1の文字又は第2の文字だけ抽出されて、その文字が要部に該当します。なお、結合の状態とは、全体の文字に一体不可分であり、全体から一定の外観、観念又は称呼が発生する場合は、全体の文字が要部に該当します。
まとめ
結合商標は、複数の要素で構成されているため、文字商標や図形商標と比較しても、判断が難しいと思います。従って、専門家である弁理士に相談しながら、商品やサービスを守るために、効率よく出願しましょう。
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