図形商標とは?現役知財部員が文字商標との違いも解説します!
商標を登録を考えた時に、
ロゴで取得すればいいの?
文字で取得すればいいの?
片方しか取得しないとどうなるの?
など悩む人もいるかと思います。
本来は、図形商標で出願すべき部分を文字商標で出願すると、図形商標を他社に出願されて、後々その図形が使用できなくなったりします。その結果として、その図形を付与している商品が販売できなくったり、サービスを提供できなくなったりしまうかもしれません。
本記事では、図形商標とはなにか、実際にどのように取得すべきかなど気になる点を簡単にご紹介います。
ある程度理解をしたら、あとは弁理士に相談しましょう!
そもそも商標とは?
商標とは、商標となるネーミング部分と、そのネーミングで使用する商品、サービスを特定する必要があります。商品とサービスの違いは、目に見えるか否かで、目に見えるものを商品、目に見えないものをサービスと理解していただければと思います。
つまり
- ネーミング×商品(サービス)
で、登録商標を受ける範囲が確定されます。
例えば「たけのこの里」は「第30類(菓子)」のみで取得していた場合、保護の範囲は、ネーミング「たけのこの里」×商品「菓子」のみです。
「きのこの里」という名前のお菓子や「たけのこの里」という名前のお酒は範囲外です。
商標の種類
商標は、文字や図形・音・色彩など様々な種類があります。
詳細はこちらの記事で解説をしています。
→商標の種類!現役弁理士がわかりやすく解説します!
図形商標とは
図形商標とは、簡単に説明しますと、「文字商標を除いた商標」を総称して、図形商標と言います。
図形商標には、図形商標や文字と図形の結合商標、文字として視認できないほど図案化した商標が含まれます。
企業のロゴ、キャラクターなどは図形商標として登録をされます。
図形商標は、
- (1)図形のみからなるもの
- (2)図形と文字の結合商標
- (3)文字を図案化した商標
の3種類です。
(1)図形のみからなるもの
商標登録第4734266号
(2)図形と文字の結合商標
商標登録第4753825号
(3)文字を図案化した商標
商標登録第1201532号
どの種類を選択するかは、
- 図形のみが特徴的=上記(1)
- 図形以外にも文字と結合することで特徴的=(2)
- サインポスト(案内標識)として使用する場合は=(3)
で出願すべきです。
上記、図形商標は一見しただけで、文字商標と異なり、特徴的な図形が入ることが理解できると思います。なお、図形商標は、その図の形状も含めた形で需要者(一般消費者)に認識されるため、社名であることが多く、歴史があるものが多いです。
図形商標(ロゴなど)だけでも様々な出願パターンがあるので、まずは一度専門家に相談しましょう。
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図形商標を取得するメリット
図形商標を取得するメリットは主に下記の4点です。
- 類似品の抑止
- 権利の範囲が明確
- 消費者の興味を惹く商標を権利化できる
- Rマークをつけることで、図形商標であることを主張できる
類似品(コピー品)を抑止できる
一点目として同じような図形を排除することができるので、文字商標と比較すると、競合他社が作成した類似する図形を図形商標を取得することで、抑止することができます。
権利の範囲が明確
二点目として、商標の類否判断は、称呼(読み方)、外観(見た目)、観念(意味)という3つの要素で判断いたします。文字商標の場合は、称呼や観念がその商標の類否判断に大きく影響を与えますが、図形商標の場合は、称呼や観念がその内容によっては、生じないことがあります。つまり、外観だけの類否判断になり、非常に商標権の権利範囲が明確になりやすいです。
消費者の興味を惹く商標を権利化できる
最後に三点目として、図形商標はその要素には図が用いられるため、文字商標と比較すると、他社商標との違いがより明確になります。
一見しただけで、インパクトがあり消費者の興味を惹きやすい図形(ロゴなど)はしっかりと権利化して保護するべきでしょう。
Rマークをつけることで、図形商標であることを主張できる
図形商標にRマークを付与することで、その図形が商標であることを対外的に知らしめることができます。つまり、その図形について商標が取得されていることをわかるため、その図形を模倣しようとする動きを抑止することができます。
文字商標とどっちを取得すべき?
つまり、文字商標と比較すると、図形商標は図形商標ならではのメリットが多数あります。
従って、文字に特徴があるのではなく、図形そのものに特徴がある場合、図形と文字を組み合わせることにより特徴がでる場合は、必ず図形商標で出願すべきです。
また、商標に色彩を多く用いることができるというのもメリットの一つでしょう。
図形商標の場合は、その色彩も含めて消費者に認知される事が多いので、どのような色彩で構成されるか。という点が極めて重要な要素になります。模倣する会社は、色彩まで模倣してきますので、色彩も含めて商標権を保有することが極めて重要です。
商標のマーク
商標の横に「R マーク」、「TMマーク」、「SMマーク」 というマークをご覧になられたことが多いと思います。これらの記号が何を示すかを説明します。
記載方法
「Rマーク」については、そのRがつけられた文字や図形、記号等が商標登録された旨を示す記号です。「Registered Trademark」(登録された商標)という意味合いを持ちます。
「TMマーク」については、「Rマーク」は、登録された商標のみではなく、登録されていない商標に対して付与することができます。また、将来的に商標登録出願を予定している場合に対して付与することができます。
「SMマーク」については、「TMマーク」が商品に対して付与されるマークに対して、「SMマーク」は、サービスに対して付与されるマークです。「SMマーク」についても、「TMマーク」と同様に、登録されていない商標や将来的に商標登録出願を予定する商標に対して付与することができます。
メリット
これらのマークを付けることのメリットを説明します。
商標である旨を需要者に対して知らせることにより、商標の希釈化を防ぐことが可能です。商標は多くの人に長い間使われると、その商標が希釈化して一般名称になってしまうことがあります。
更に、Rマークについては登録商標であることから、他社に対する抑止力につながります。
上記の観点から、商標を取ったらその商品にはRマークをつけるのが良いでしょう。
図形商標の具体例
例えば、株式会社不二家のペコちゃんについて、どれだけ商標登録がされているかを紹介します。
ペコちゃんで一番古い商標出願は、商標登録第0582782号で、1959年(昭和34年)8月3日にされて、ペコちゃんの下にFUJIYAと英語で表記されています。
株式会社不二家の歴史を見てみました。
1910年(明治43年)に藤井林右衛門が横浜市元町2丁目に洋菓子店を開店したのが始まりみたいです。その頃はペコちゃんはいなさそうです。
その後、初めてペコちゃんが確認できたのが、1950年(昭和25年)で不二家のキャラクター「ペコちゃん」が誕生しています。
(参考:https://www.fujiya-peko.co.jp/company/company/history02.html 不二家HP)
その9年後に先ほど紹介した商標出願がされていますので、比較的早いタイミングで商標出願をされたことがわかります。
次は、商標登録第0705751号で、1964年(昭和40年)4月24日に商標登録出願されています。この商標は、図形のみで構成されており、FUJIYAの文字は付与されておりません。
なお、最初の出願よりも、今のぺこちゃんに近い印象を抱きます。
3番目として、商標登録第1623426号で、1983年(昭和55年)10月27日に商標登録出願されています。この商標は、図形と文字が構成されており、ペコちゃんの図形に関しては、白黒ではなく、カラーで表現されています。
4番目として、商標登録1710928号で、1984年8月28日に商標登録出願がされています。この商標は、図形のみで構成されており、今株式会社不二家で使用されているペコちゃんと同じであると思われます。
5番目として、商標登録40938887号で、1996年2月14日に商標登録出願がされています。この商標は、ペコちゃんの全身が図形で表現されています。今、不二家のお店で立っているマネキンとおなじペコちゃんだと思われます。
最後に、商標登録4157614号で、1997年(平成9年)5月30日に商標登録出願がされています。この商標は、5番目と同じぺこちゃんの全身が図形で表現されていますが、5番目の商標としては、3Dで表現されているところです。ぺこちゃんの斜めから映った状態もわかることで、より忠実にぺこちゃんの全身が表現されています。
上記以外にも、ペコちゃんは色んな図形で商標登録出願がされているのがわかりました。ペコちゃんが全国的に著名になったため、模倣品が生じるリスクが発生するので、このリスクを排除しようとする動きがみられますし、面白いのは、時系列で観察すると、ペコちゃんの図形が少しずつ時代に併せて変化していき、この変化に併せて商標出願がされていることです。
図形が変化すれば、従前商標登録出願していた内容で保護できていない可能性もありますので、その図形の変化具合に応じて、新しく商標登録出願を行うということは大事だと思われます。どの程度変化したら、商標出願すべきかについては、商標の専門家である弁理士に相談してみたらよいと思います。
図形商標は取得するべき?
図形商標を取得するべき理由は以下の2つです。
- 類似品/コピー品を排除するため
- 自社の独自性を担保するため
類似品/コピー品を排除するため
同じような図形で商品、サービスを他社に使用(販売や製造、広告宣伝、輸出入等)されたときに、その他社に対して、同じ図形で商売しないでください。と差止請求や損害賠償請求することができるためです。
図形は、そのデザイン性によっては、著作権が発生することもあります。しかし、著作権は、相対的な権利であるため、上記のような事例が起きた時に、この図形は自社で考えて創作しました。と反論されると、その自社も図形に対して著作権が発生するため、差止請求や損害賠償請求をすることが難しくなります。
よって、商標権を取得することにより、相手方の上記のような反論を聞くことなく、差止請求や損害賠償請求を行うことができます。
自社の独自性を担保するため
文字商標とは異なり、図形は、需要者から見ると、印象に残りやすいものです。従って、会社名を文字のみで表現するのではなく、図形で表現するような会社も増加してきました。また、会社名に限らず、商品名やサービス名についても、図形で表現するような会社も増加してきました。
このように、意図して図形を使用することで、他社との差別化を打ち出そうとする動きが見られます。このように、他社との差別化を図りたい場合に図形を使用する。そして、その図形に対して商標登録出願を行う。というのは自然の流れだと思います。
図形の作成については、著名なデザイナーさんに委託して、斬新なデザインを作成いただいている会社もあるでしょうから、その斬新なデザインを勝手に他社に使用されることを防止する。そのために商標登録出願をすべきです。
団体商標とは
団体商標について説明します。
団体商標とは、団体(一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人)が、その団体に加入している構成員に対して商標を使用させるための制度です。
つまり、一般的な団体商標以外の商標は、商標を自分(法人なら自社)で使用することが前提になっています。しかし、団体商標は、その団体に加入しているメンバーに対して、その商標を使用させることが前提です。
なお、団体と表現していますが、全ての団体でこの団体商標は使用できるわけではありません。例えば、一般社団法人、公益社団法人、事業協同組合、農業協同組合、NPO法人、商工会議所等があげられます。
ある団体が、その団体へ加入しており一定の条件を満たしたメンバーに対して認定マークを付与する。というケースがあると思います。このようなケースの場合において、認証マークを別の団体に商標を取得されてしまうと、その認証マークが使用できなくなってしまいます。更に、メンバーも認証マークを取得したくて団体へ加入したのに認証マークが取得できないのだと意味がないと判断して、団体から脱退する。というように、団体にとっても、メンバーにとっても、別の業界団体に商標を取得されると、デメリットが発生します。
このような事態を想定して、団体が認証マークを取得することで、団体飲みに限らず、団体へ加入するメンバーも安心して認証マークを使用することができます。
団体商標における図形商標
認証マークは、基本的にマークとも表現されていることから、文字ではなく、図形で表現されます。そのため、文字商標ではなく、図形商標で商標登録出願がされます。
その中の一例を紹介します。
商標登録第6312130号
この認証マークは、一般社団法人全国食品リサイクル連合会が取得しており、この組合に加入したメンバーが使用できるということがわかります。
また、一般社団法人全国食品リサイクル連合会のホームページを確認すると、以下の記載がされています。
正会員にご入会後、3年以内に優良認定審査に合格していただきます。認定合格後、 優良専用ページにて貴社の詳細な情報が公開されます。業界自主基準、優良認定制度 は、優良な排出事業者から適正価格での受託を促進する効果が期待されています。
(参考 https://shokuri.jp/wordpress/wp-content/themes/zsr-1/pdf/seikaiin.pdf)
上記より、登録商標である認証マークを使用したいメンバーは、その団体へ加入して、一定の要件を合格することで、安心して認証マークを掲げることができます。そして、その結果として、需要者は、この認証マークのあるお店なら大丈夫というように一定の品質を担保している旨を保証できたり、ブランドを維持することが可能となります。
参考 地域団体商標
地域の産品等について、地域ブランドの保護による地域経済の活性化を目的として、「地域の名称」と「商品又は役務」の組み合わせで構成されます。
そして、この商標は、団体商標と異なり、文字商標のみを受け付けていますので、図形商標での商標登録出願はできません。
図形商標の検索方法
j-platpatを使った調べ方
j-platpatでの調査方法を紹介します。
商標で図形等分類表を選択します。
図形等分類表で対応する図を選択します。
例えば、子供を図形化した内容を調べたい場合は、「2.5.子供」を選択します。
これを選択すると、更に、細かく選択することができます。
例えば、子供の少女を選択したい場合は、「2.5.3 少女」を選択し、押下します。
押下すると、図形等分類の検索ウィンドウに「2.5.3」という数字が入力されますので、
この状態で、右側の商標検索にセットを押下します。
押下すると、画面が切り替わり、図形等分類という検索項目に、「2.5.3」というキーワードが入力されますので、この状態で、類似群コードや区分を入力して、調査することができます。
図形商標の類似範囲 事例ベースに回答
図形商標の類似範囲について、事例ベースに回答いたします。
図形は、称呼、観念が発生しない場合があります。例えば、商標登録第4734266号では、称呼に関して、「ティ」と記載がありますが、この図形を初めて見た人が「ティ」と読めるかどうか難しいところです。このような場合は、やはり外観(見た目)の印象が見る人には大きく影響してくると思われます。正方形の外観で、青色と黄色の2色で構成されている等とこの図形に大きく寄与する外観については、商標の類似範囲に影響をしてくると思います。正方形の縦横比を少し変形しただけでは、この商標の類似範囲に含まれると思います。
しかし、図形商標によっては、称呼、観念が発生する場合があります。例えば、商標登録第
第5893980号です。このような場合は、図形商標であるにも関わらず、「グーグル」という称呼が発生します。また、造語であるため、観念は発生しませんが、図形商標の内容によっては、発生することもあります。このような場合においては、外観だけに限らず、称呼、観念を総合的に勘案して、商標の類似範囲を判断することになります。
まとめ
文字商標と図形商標は理解いただけたでしょうか。もし、どちらで取得すべきか、の判断に迷われた場合は、積極的に専門家である弁理士に相談してみてください。
商標出願に長けている弁理士は、様々な出願事例や訴訟のケースなどを把握しているので、適切なアドバイスをしてくれます。
(R)スピード商標登録申請を行う原田国際特許商標事務所は2020年、商標出願件数全国2位の経験豊富な特許事務所です。
ユーザーからも非常に高い評価を得ています。
今まで商標登録をするなんて事は、全く頭にありませんでした。
しかし商標登録をしていない場合のリスクなど、原田さんのプレゼンを聞くたびに怖くなってきて私を含め同業の知人とともに治療院名の商標登録をお願いすることにしました。
原田さんの仕事ぶりはとにかく迅速で、申請やその後のトラブルに対しても、あっという間に解決し済んでしまいました。
(参照:https://shohyo-shinsei.com/voice)
費用は相場の約半額で、経験豊富な弁理士が商標の取得をサポートしてくれます!
商標登録は自分の判断で行うのではなく、しっかりとプロにお任せしましょう。
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ゲーム業界の知財部で10年以上勤務。日々、他社の知財を警戒しながら、自社の商品を守るため、奮闘中。 調査や出願、一通りの業務をこなしてきました。
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